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CR-Zは生まれるのが早すぎた!? 2030年問題でMTのハイブリッドスポーツはまた生まれるのか?

 菅総理就任時に突如として宣言された「2050年カーボンニュートラル(温室効果ガス排出ゼロ)」宣言。実際は世界的にもその動きが加速していた近年だが、クルマは今後電動化が一気に進むことは既定路線だ。

 そうなるとEVやハイブリッドの効率を考えると、トランスミッションを持つクルマ自体も激減するに違いない。つまり電動車+MTのクルマが登場するのは絶望的だ。

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 そんなことを考えていると、販売的には成功しなかったもののハイブリッドのMTがあったホンダCR-Zを思い出し、当記事ではCR-Zが歩んだ軌跡などを振り返ってみた。

文/永田恵一、写真/HONDA

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■CR-Zが歩んだ軌跡

2010年2月に登場したホンダ CR-Z。ハイブリッド車ながら6速MTを設定していた

 CR-Zは2007年と2009年の東京モーターショーに出展されたコンセプトカー(2009年は市販車にかなり近いもの)を経て、2010年2月に登場した2代目フィットベースのハイブリッド専用となるライトな性格で小さなリアシートを持つ3ドアファストバッククーペである。

 ハイブリッドシステムは1.5リッターガソリンNAに初代と2代目のインサイトやシビックハイブリッドなどに搭載されていた、トランスミッションを介して小型のモーターを組み合わせることで加速の際のアシストと回生制動で燃費を向上させるホンダIMAだ。

 これは現在のスズキスイフトのフルハイブリッドに似たもので、トランスミッションはCVTに加え冒頭に書いた通り6速MTも設定していた。

 なお、初期モデルの動力性能は1100kg台中盤の車重にCVT/113馬力、6速MT/114馬力の1.5リッターガソリンNAに14馬力のモーターを組み合わせ、フルパワーとなるシステム出力は6速MTで124馬力だった。

 またCR-Zは全長4080mm×全幅1740mm×全高1395mm(シャークタイプのルーフアンテナも含む)というコンパクトなボディサイズながら存在感の強いエクステリアに加え、インテリアも未来的なメーターなど、スペシャリティカーとしても魅力的な仕上がりだったことも思い出す。

リアシートを装備するが、実質2シーターといってもよかった。センターのシフトノブを見るとハイブリッド車だとは思えない

 CR-Zは2012年9月に大規模なマイナーチェンジを受けた。

 この際には内外装の変更やサスペンションの見直しに加え、エンジンのパワーアップ、駆動用バッテリーをニッケル水素からコンパクトながら充放電性に優れ、容量も大きいリチウムイオンへの変更、それに伴うモーターのパワーアップにより、動力性能を大幅に向上。

 さらに追い越し加速時などにハンドルに付くボダンを押すと、瞬間的にエンジンとモーターによるフルパワーをさらに向上させるプラススポーツシステムも追加し、電動車ならではの面白さも備えた。

 CR-Zはこのあとも2013年10月の一部改良、電動パーキングブレーキの採用などが行われた2015年8月のマイナーチェンジを受けるのだが、後述する販売台数の減少もあり2017年1月に惜しまれながら絶版となった。

■CR-Zの販売状況

ルーフからリアのラインを見てもわかるように、後席の居住性はかなり悪い。尻上がりのボディがスポーティーさを演出する

 CR-Zは登場した2010年当時スポーツモデル、特に一グレードではなく専用ボディのモデルが絶滅寸前だった時代に登場したというインパクトがあった。

 それに加え、スポーツモデルながらエコカー減税の対象になったことによるお買い得感の高さ(価格は上級グレードのαで6速MT、CVTともに249万8000円)により、2010年は月平均約2000台となる2万2372台という好調な販売を記録した。

 しかし2011年以降は、この種のクルマは登場時に販売が集中するという傾向はあるにせよ2011年/6794台、2012年/5060台、2013年/3007台、2014年/1315台、2015年/732台、2016年/1059台と販売は一気に落ち込み、一代限りの絶版もやむを得ない状況だった。

■なぜCR-Zの販売は落ち込んだのか?

運転席正面のメーター類がどことなく戦闘機のような雰囲気だ

 このことに関しては2つの理由が浮かぶ

●スポーツモデルと考えると刺激がもっと欲しかった

 CR-ZはハイブリッドカーながらMT設定があるなどのインパクトはそれなりにあったが、スポーツモデルと考えると絶対的な動力性能をはじめ刺激に欠けるところがあった。

 また燃費もCR-Zに搭載されたホンダIMAが簡易なものだったのもあり、1.6リッターNAエンジンを搭載していたスイフトスポーツの先代モデルなどに対し、「すごくいい」とまでは言えないのも事実だった。

●86&BRZの存在

 2012年に86&BRZが登場したことはCR-Zにとって不幸だった。

 というのも86&BRZは2リッターNAのスポーツエンジンの搭載による動力性能、FRゆえのエンジンパワーによりドリフト走行も可能といったスポーツカーらしい刺激に加え、価格も初期モデルのGグレード(標準グレード)なら6速MTで241万円とCR-Zとも迷えるものだった。

 そうなると装備内容やエコカー減税による実質的な価格や燃費もあるにせよ、趣味性の強いスポーツモデルはそのあたりのウエイトが実用車を選ぶ際に比べれば小さい(実用燃費も86&BRZはカタログ発表並と良好だ)。

 矛盾するようだが86&BRZのリアシートはそれなりに使える広さを備えているというのもあり、CR-Zのアドバンテージは少なかった。

 そんなことを考えていると、ハイブリッド専用車のCR-Zに対しては禁句ながら絶版になっているので言わせてもらうと、エンジン車にしてパワーアップなども行いよりスポーティな方向とし、エンジン車とした分で価格も下げたCR-Zがあったらと当時から感じていたのを思い出す(まるでかつてのCR-Xのようだが)。

 ただCR-Zは登場後大きな改良はあまり行われないイメージがあるホンダ車のスポーツモデルとしては、前述したマイナーチェンジや一部改良もあった。

 それに加え、特別仕様車が出たタイミングでシフトフィールが向上していたことなど発表されない改良も含め、「クルマを少しでも良くしていこう」という意欲が強かった点は高く評価できる。

■まとめ

よりスポーティーな方向に寄せつつ純エンジン車にした、かつてのCR-Xのようなモデルも見てみたかった。逆に考えるとCR-Xのハイブリッド版がCR-Zだと言えなくもない

 冒頭に書いたカーボンニュートラルもあり、ハイブリッドカーも中途半端な感が否めないトランスミッションが組み合わされる1モータータイプがこれから出る可能性は非常に低い。加えてCR-Zが専用ボディだったことも考えると、MTという点も含め今後CR-Zのようなスポーツモデルが出るというのは絶望的だ。

 これは仕方のないことだが、4代目モデルとなる現行フィットに3代目モデルまでのフィットにあったMTもあるスポーツモデルがないというのはあまりにも寂しい。

 「いいクルマだけど、存在感が薄れている」という印象のあるフィットのテコ入れとCR-Zがターゲットにしたユーザーの受け入れのためにもフィットのスポーツモデルの復活も望みたいところだ。

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