2026年8月27日、日産は「フェアレディZ」と「フェアレディZ NISMO」のマイナーチェンジモデルを発売しました。価格は、車両価格ベースで980万2100円から。最大の注目点は、NISMOへの待望の6速MT追加です。標準モデルもフロントマスクを刷新し、空力性能や足まわりを改良。新型フェアレディZの進化と、気になる価格を詳しく紹介します。
文:吉川賢一/写真:NISSAN
【画像ギャラリー】待望の6速MTがついに登場!! 新型「フェアレディZ/フェアレディZ NISMO」(17枚)
フロントの「Z」エンブレムが復活! 標準モデルも走りを改良
日産は2026年8月27日、「フェアレディZ」と「フェアレディZ NISMO」のマイナーチェンジモデルを発売しました。
現行のRZ34型は2022年に発売されたモデルです。初代S30型を思わせるロングノーズ・ショートデッキのプロポーションに、最高出力405PS・最大トルク475Nmを発揮する3.0L V型6気筒ツインターボエンジンを搭載。後輪駆動で、6速MTと9速ATを用意しています。
今回のマイナーチェンジでは、歴代Zが受け継いできたデザインをさらに強く打ち出すとともに、操縦性やクルマとの一体感を高めました。
新しいフロントマスクは、従来の大きな長方形グリルをボディ同色のバーで上下に分け、フロントノーズ先端を延長。ロングノーズをいっそう強調しながら、低くワイドな構えに仕立てています。
一見すると、グリル中央へバーを加えただけのようにも思えますが、東京オートサロン2026のトークショーでは、グリル中央のバーが走行風を遮り、冷却性能に影響するため、採用には工夫が必要だったことが明かされています。フロントノーズを約30mm延長し、ダクトやソナーの配置も変更することで、歴代Zを思わせるデザインと、冷却・空力性能を両立させたそうです。
また、フロント中央には、S30型からZ32型まで採用されていた「Z」モチーフのエンブレムも復活しました。
アルミホイールも新デザインです。3代目Z31型のエアロディッシュホイールをモチーフに、リム周辺へ幾何学模様の切削加工を施しました。RAYSの協力によって開発された鍛造ホイールで、従来とほぼ同等の重量に抑えながら、足元の存在感を強めています。
ボディカラーには、初代S30型の「グランプリグリーン」から着想を得た新色「雲龍グリーン/スーパーブラック 2トーン」を追加。2トーン5色、モノトーン5色の計10色が設定されました。グリーンは紫外線の影響を受けやすく、美しい発色を長く保つことが難しい色だそうで、雲龍グリーンでは黄色と青の塗装粒子を組み合わせることで、耐候性にも配慮したといいます。
内装には、S30型をモチーフとしたタンカラーをグレード別に設定。雲龍グリーンのボディとタンカラーの内装を組み合わせることで、初代Zを思わせる落ち着いた雰囲気を演出しています。
走りに関わる部分では、大径モノチューブショックアブソーバーをグレード別に採用。ダンパーが油圧を受ける面積を従来モデル比で26.6%拡大し、路面からの入力に対する車体姿勢の変化を抑えました。従来モデルのユーザーからは、限界付近で走行した際、リアの動きがつかみにくいという声もあったそうで、今回の改良では、路面へ粘るように追従する動きを狙い、高速走行時の安定性と乗り心地の向上を図っています。
さらに、12.3インチ液晶メーターの起動時には、S30型から現行RZ34型までのシルエットが順番に現れる新しいオープニングムービーが表示されるという、ファン心をくすぐる心憎い演出も用意されています。
Z NISMOに待望の6速MT! エンジン制御も専用設定
今回のマイナーチェンジでもっとも注目されるのが、「フェアレディZ NISMO」への6速MT追加です。フェアレディZ NISMOは、最高出力420PS、最大トルク520Nmまで高めたハイパフォーマンスモデルですが、これまでは速さを重視して9速ATのみを設定していました。
ただ、NISMOへ6速MTを追加する構想は、以前から検討されていたようです。現行フェアレディZの標準モデルは、発売当初の販売の6割以上を6速MTが占めるほど、MTを選ぶユーザーが多かったそうですが、NISMOへ6速MTを組み合わせると、加速性能で標準モデルの9速AT車を下回る可能性があり、採用には慎重な意見もあったといいます。
ただ、2023年のNISMO発売後には「NISMOのスタイルでMTに乗りたい」という要望が相次いだそうで、こうした声を受けて設定されたのが今回の6速MT仕様。シフトレバーには、標準モデルとは異なる専用のショートストロークタイプを採用。日産は「手首で操るような素早いシフトレスポンス」を追求したと説明しており、絶対的な速さだけでは測れない、操作する楽しさを求める声に応えた仕様となっています。
スロットル制御と点火タイミングも6速MT専用に最適化しました。標準モデルが低回転域から中回転域で力強さを引き出す特性であるのに対し、NISMOの6速MT仕様は、低回転域から高回転域まで加速が伸びていく感覚を重視しています。
ドライブモードには、街中や長距離走行で扱いやすい「STANDARD」と、走行性能を引き出す「SPORT」を設定。STANDARDでは加速時のエンジン音を抑え、中回転域から伸びのある加速感を演出。SPORTでは高回転域でのアクセルレスポンスとエンジン音を強め、シフト操作から加速、サウンドまで一連の動きとして楽しめるようにしています。
VDC(ビークルダイナミクスコントロール)には、NISMO専用の「TRACTION」モードも設定されました。アクセルやステアリング操作に対する応答性を高め、ドライバーの操作に対して車両がより素早く反応するようにチューニングされています。
ブレーキと足まわりにも手が加えられました。フロントブレーキには、GT-R(R35型)に採用されていた2ピースドリルドローターを搭載。優れた放熱性によってブレーキ性能を高めながら、ばね下重量も軽減しています。トークショーでは、ローター1枚当たり約4.5kg、左右合わせて約9kgを軽量化したことも明かされました。
この軽量化に合わせてサスペンションも専用に調整。とくにリアのショックアブソーバーを従来より柔らかい方向へ変更したそうです。タイヤの路面追従性を生かしながら、コーナリング時の踏ん張りとしなやかな動きを両立させました。
さらに、ステアリングには低フリクションラックを採用。滑らかな操舵感と、ドライバーが狙ったラインをたどりやすいコーナリング性能を追求しています。
NISMOは975万2600円! 6速MTと9速ATは同価格
装備面では、最新のQi2規格に対応したワイヤレス充電器を設定。内蔵されたマグネットによって対応端末を適切な位置に保持し、走行中の振動による位置ずれを抑えます。冷却ファンも備えており、充電中のスマートフォンの発熱を抑えながら、安定した充電性能を維持します。
また、燃料タンク内には、新たにチャンバー(燃料タンク内で燃料を一時的に保持する小さな区画)が追加されました。サーキットなどで強い横Gが続くと、タンク内の燃料が片側へ偏り、燃料ポンプが安定して吸い上げられなくなることがありますが、チャンバーの追加によって、長時間にわたって高速コーナリングを続けた際にも、燃料供給を安定させ、エンジン性能を維持することが期待できます。外からは分からない部分ですが、サーキットでZの性能を存分に引き出すための重要な改良です。
さらに、対自転車の制動要件に適合した衝突被害軽減ブレーキも搭載されています。
価格は、標準モデルのベースグレードが6速MT、9速ATともに573万7600円(税込)、6速MT のVersion Sが658万6800円(税込)、9速AT のVersion Tが619万9600円(税込)、Version STが6速MT、9速ATともに699万9300円(税込)です。
フェアレディZ NISMOは、6速MTと9速ATのどちらも975万2600円(税込)。特別塗装色の選択が必須となるため、実際には4万9500円(税込)以上の特別塗装色代が加わりますが、素早く確実な変速を重視するなら9速AT、自らクラッチとシフトレバーを操作する楽しさを求めるなら6速MTと、価格差を気にせず好みに合わせて選べる、なんとも粋な設定です。
ファンの声で進化を続けるフェアレディZ
電動化の波がスポーツカーにも広がるなかで、6速MTが追加されたフェアレディZ。効率や速さだけでなく、ドライバーが自らギアを選び、クルマを操る時間そのものを大切にする。今回の改良からは、日産とNISMOがスポーツカーに残したい価値が伝わってきます。
何より注目したいのは、NISMOのMTを望むファンの声に日産が応えたことです。これからもユーザーの声を取り入れながら改良を重ねていくのであれば、フェアレディZはまだまだ進化を続けられるはず。Zに「引退」の二文字は、まだ早そうです。
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