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MTで最新ポルシェを操る歓び──新型911カレラGTS試乗記

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MTで最新ポルシェを操る歓び──新型911カレラGTS試乗記

最新の「911カレラGTS」を小川フミオが試乗した。MTならではの操る歓びとは?

なににも代えがたい魅力

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最高のスポーツカーが欲しかったら、なにはともあれ、ポルシェの911に乗らなくては!

いま、パワーユニットの電動化が進んで、スポーツカーも多様になっている。「タイカン」という超パワフルな電気自動車を手がける、当のポルシェが、2021年6月に日本でも受注開始し、2022年から日本の路上を走り出した「911カレラGTS」は、911の魅力を堪能できるモデルだ。

最新の911カレラGTSは、ひとことでいうとカレラ・シリーズの頂点だ。先代より21kW(30ps)アップした353kW(480ps)のパワーでみると、上には、427kW(580ps)の「911ターボ」がきてしまう。GTSの下に位置するのは「911カレラS」(331kW/450ps)だ。

もうひとつ、今回のGTSの特徴は、後輪駆動モデルに、7段マニュアル変速機が用意された点だ。オートマチック変速機の感覚で操縦できる「PDK」というツインクラッチ式の変速機が標準仕様になる。この設定はうれしい。

加速性能でいえば、PDK仕様の場合、静止から100km/hまでの加速が3.4秒であるのに対して、ドライバーがクラッチを切ってギアを変えていくマニュアルだと4.1秒かかる。技術の進歩ってすごいのだ。

でも、でもなんですよ、4.1秒っていうのは、じゅうぶんに速い。そしてなにより、2981ccの水平対向6気筒ガソリンツインターボ・エンジンのものすごいパワーを、自分でコントロールできる感覚はマニュアル変速機だとはるかに強く感じられる。そこが、なににも代えがたい魅力なのだ。

MTの醍醐味

911はポルシェの看板スポーツカーなので、どうしても、数値で語られることが多い。でも、1度でも乗った人ならよーくおわかりのように、誰だってこのクルマを評価するのに使う表現は「すばらしく楽しい!」だろう。

GTSのマニュアル変速機は、カチカチときもちよい操作感をもっている。ギアとギアの間は短いし、動かすのにそう大きな力を必要としないため、手首をセンターコンソロールに固定したまま、腕を動かさずにシフトできるほど。

たとえば、ギアを1速にカチッと入れて、やや深いトラベルのクラッチペダルを操作してギアをつないだとき、1500kgに抑えられたボディが飛び出していく。ドライバーの気分の昂揚は、さらに加速を続けて、2速へカチッ、さらに3速へカチッとギアを上げていくにつれて、ロケットなみに上昇する。

570Nmの最大トルクを2300rpmから発生するエンジンは、まさにそこを回転計の針が通過するあたりから、爆発的な力で、車体を押しだしていく。4000rpm、5000rpm、そしてその上と、自分のシフトワークでエンジン回転を上げていくときの気分は、2ペダル車とはまたちがう。たとえ、加速で多少劣っても、スポーツカーの魅力って、それだけじゃないよね。そう強く思わせてくれる。

細身のグリップ径のステアリング・ホイールの操舵感は芸術的だ。つねにクルマの状況を、微細な領域までドライバーの手に伝えてくれる。

いっぽう、神経質さはないので、スーパースポーツカーに慣れていないと思っていても、高速領域でも安心して走らせられるほど。

試乗車にはオプションのリア アクスル ステアリングが装着されていた。たしかに911は伝統的に回転半径がデカい。フロントに比較的おおきな荷室を設けているせいもあるのだろうか。駐車場などでそれをカバーしてくれるシステムでもある。

911の最大の魅力とは

私は、911カレラGTSをドライブしていて、自分の左手と左足がなんのためにあるのか、久しぶりに思い出した。マニュアル変速機に慣れていないなぁというひとでも、たとえ353kWものパワーをもつ911カレラGTSに乗っても、意外なほど運転しやすいことに驚くだろう。

クラッチワークは、むかしの911のようにデリケートでないし、スポーツモードを選んでいると、シフトダウンのときに自動でエンジン回転を合わせてくれる。

私たちの世代は、自分の右足でエンジン回転をボンッと上げて、間髪いれずにクラッチをつなげて、というのがシフト・ダウンの“お作法”であると思っているが、過去の話になっていた。レバーを操作して下のギアのゲートに入れるときに、軽快な爆発音とともに、エンジン回転をクルマがさっと合わせてくれるのだ。

911カレラGTSは、パワーが上がっているとともに、車重は軽量化されている。911カレラより30kg軽い。オプションでグラスファイバー製の軽量フルバケットシートを選ぶと、リアシートも省かれる。さらに軽量化されているのだ。

このシートは薄いくせに、すばらしくパッドの性能がいいのだろう。なかなかオシリが痛くならない。エバ(エバンゲリオン)もこんなかんじか、と思うぐらい、身体とのフィット性がいいので、乗っているときはクルマと一体感が強い。

ただし、ひんぱんな乗り降りには向いていない。このシートを選ぶかどうかは、自分が911カレラGTSとどう付き合うか、見極めたうえでどうぞ、と言いたい。

ようするに、そこが911の最大の魅力だ。いまの多彩なラインナップは、自分の使いかたに合う仕様が見つけられるようになっている。オプションも、上記のように、同様。本来のカスタマイズとは、たんなる車体色やシートのステッチではないのだ。

1868万円は、払えるひとにとって、価値のある買い物だと思う。

文・小川フミオ 写真・田村翔

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みんなのコメント

8件
  • マニュアル車が好きなお金持ちにとっては911が最後の砦になるのかも…
    すでにアストンマーチンはMT車の生産を打ち切りましたし、C7では911同様
    7速MTがあったコルベットも、ミドシップになったC8にMTの設定は最初からナシ…

    911のMTにはシンクロレブマッチ機能があるので、ドライバーはブレーキングに
    専念しつつ安全にシフトダウンができますね。
  • 最近空冷がこんな感じの値段だよね
    最新のGTS超えるようになったのか・・・
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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