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EVミニバンは誰が買うのか? VWが明かした意外な「ID.Buzz」の購入者像

掲載 更新 12
EVミニバンは誰が買うのか? VWが明かした意外な「ID.Buzz」の購入者像

日本で唯一のEVミニバン「ID.Buzz」に勝機はあるのか?

フォルクスワーゲンの大型EVミニバン「ID.Buzz」が日本に上陸した。ここ日本では、全長約4.2mのコンパクトなトヨタ・シエンタやホンダ・フリードから、全長約5mに迫りスペースユーティリティとラグジュアリー性を極めたトヨタ・アルファード/ヴェルファイアに至るまで、さまざまなタイプのミニバンがラインアップされ成熟した市場が形成されている。

フォルクスワーゲン「ID.Buzz」がついに日本上陸! 日本試乗で唯一となるBEVミニバンは888万9000円から

それだけに、ID.Buzzがポップな見た目と日本市場で唯一のEVミニバンという特徴を武器にしても、最安モデルのノーマルホイールベース「Pro」で888万9000円と、決して安くはない車両本体価格が足かせとなり、あまり多くの販売台数は見込めないはずだ。

フォルクスワーゲングループジャパンの名誉のためにお断りすると、ドイツでの車両価格は6万ユーロ前後、日本円に換算して約980万円前後なので、輸送費や日本に合わせたローカライズ作業を考えれば十分頑張った価格設定だと言える。しかし、ミニバンに900万円というのは庶民的な価格ではない。

そのような高額なミニバン、ましてやEVに対して風当たりの強い日本でフォルクスワーゲンはどのように販売していくつもりなのだろうか。そしてID.Buzzを選ぶ顧客層をどのように想定しているのだろうか。ID.Buzzの発表会場で聞いた関係者のコメントをもとに紐解くとしよう。

ふたつの異なるターゲット層

ID.Buzzの新車発表会後、記者らの囲み取材に応じたフォルクスワーゲン ジャパンのブランドディレクターであるイモー・ブッシュマン氏は、ID.Buzzの購入者像はふたつあると語った。

「このID.Buzzを、ご自身の2台目もしくは3台目として所有されるお客さまをターゲットとしています。フォルクスワーゲンの歴史やヘリテージに理解のある方、そして電気自動車などの新しいテクノロジーに関心の強い方を主な対象としています」

「もうひとつのターゲット層ですが、それはいわゆるファミリー層です。クルマを1台しかお持ちでない方のなかでも、MPV(いわゆるミニバン)や新しいテクノロジーを好む方を対象としています。そして、フォルクスワーゲンに求められるクラフトマンシップや安全性、ドライビングパフォーマンスを高く評価してくださる方をターゲットとしています」

後者のターゲット層は想定の範囲内というか、いわゆるミニバンの正当なターゲット層だと感じたが、前者に関しては想定外の回答だった。900万円前後のEVミニバンがセカンドカー? そんな需要が本当にあるのだろうか。

イベントでの反響から確かな手応え

この疑問に対し、フォルクスワーゲン ジャパンのプロダクトマネジメントでシニアマネージャーを務める沢村武史氏は発表会と囲み取材で次のように説明している。

「例えば創造性の高い職業やフリーランスの方などがイメージしやすいですけれども、平日は会社勤めでも週末にクリエイティビティを爆発させるような趣味人の方も、ID.Buzzの顧客像のひとりだと思います。長くフォルクスワーゲンに親しみのある方もいれば、このクルマで初めてフォルクスワーゲンを知る方もきっと多くいるでしょう」と前置きしながらも、このクルマを本当に欲しいと思う顧客の価値観というのは、共通しているのではないかと唱える。

「プロダクトの背景にあるストーリーやブランドの哲学に共感してくださる方、単なる移動手段としてのクルマではなく、クリエイティビティを刺激し、ライフスタイルを豊かにしてくれることを期待されるお客さま」がペルソナなのだという。

一方で、絶対的な金額や2mに迫る全幅が購入層を狭める要因となることは認めつつも、新規顧客の開拓という面ではひとつ手応えを感じているようだ。

「2022年に(ID.4の導入を記念した)“IDスクエア”というイベントを東京ミッドタウンで行なった際、ID.Buzzの欧州仕様車を参考展示いたしました。大変多くの反響をいただいたのですが、このクルマに興味を示された方に普段どんなおクルマに乗られているかアンケートを実施したところ、ポルシェ911にお乗りのご来場者さまから割と良い反応をいただき、ぜひ買いたいとお申し出がございました」

「クルマが本当にお好きで、こだわりを持って乗っていらっしゃる、比較的裕福な方々が2台持ちのクルマとしてお選びになるのかなと思っております」と、富裕層の関心の高さから、趣味のクルマとID.Buzzの2台持ちを想定していると明かしてくれた。

確かに個性的な外見を持ちながらもフォルクスワーゲンらしい落ち着いた内装を持ち、加えてドイツ車らしい走りの質感と安全性能が期待できるID.Buzzは、高級輸入車をすでに所有しているユーザーにとって最良のファミリーカーになり得る素質が備わっている。

フォルクスワーゲン・グループ・ジャパンが思い描く通りに市場で受け入れられるのか、その動向に注目していきたい。

文:THE EV TIMES 斎藤充生
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みんなのコメント

12件
  • s_s********
    価格はともかく、EVじゃなければ欲しかったという意見が多いですね。
    私もEVじゃなければ本気で検討したと思う...が、EVじゃなければこのパッケージはできなかったと思うので難しいところ。
    どう見てもエンジンとかトランスミッション置くスペースないですもんね。。。
  • jgbdnje
    こういうエキセントリックな車も必要だ。ニッチな層がいるし。ベルランゴとかもやたら見かける。
    国産じゃ個性は出せないし。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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