■ニュルブルクリンク最速を狙うための「前太・後細」タイヤとは
ドイツのフォルクスワーゲングループ内でプレミアムブランドとなっている「アウディ」。ハッチバックとセダンの2タイプのボディを持つ「A3」はそんなアウディのCセグメントモデルです。
【画像】超カッコいい! これが“国産&外車”のちいさな「“4WD”スポーツカー」です!(36枚)
ハッチバックに関しては、フォルクスワーゲン「ゴルフ」と主要メカニズムを共用しつつ、プレミアムブランドにふさわしく高級に仕立てた車種と言っていいでしょう。
今回試乗したのは、そんなA3シリーズで展開している超高性能モデル「RS 3」のハッチバック(スポーツバック)です。
2.5リッター直列5気筒ターボエンジンを搭載し、最高出力は400馬力・最大トルク500Nm、0-100km/h加速は3.8秒(欧州仕様計測値)、そして最高速度280km/h(速度リミッター作動)。こうして数字を並べるだけで圧倒的なパフォーマンスが理解できるでしょう。
車両重量1580kgから1590kgに抑えたコンパクトなハッチバック&セダンボディに、400馬力と強心臓のエンジンを積んだ超高性能車。国産車でいえば、三菱「ランサーエボリューション」とかスバル「WRX STI」のメキメキとパワーアップを果たした正常進化版と言った感じでしょうかね。スタイリングに関しても張り出したフェンダーなど、見るからに戦闘的。やる気がみなぎっています。
そんなRS 3に接して筆者が驚いたこと。それはなんといってもタイヤサイズです。
フロントは265/30R19、いっぽうリアは245/35R19。クルマに詳しい人ならきっとこの数字を見て不思議に思うでしょう。フロントよりもリアのほうがタイヤ幅が狭いのですから。
念のためお伝えしておくと、数字の入力ミスではありません。一般的にタイヤサイズは前後同じなのが普通で、後輪駆動車や後輪駆動ベースの4WDなどではリアタイヤのほうが太いこともあります。
しかし、このRS 3のようにリアタイヤのほうが“細い”というのは極めて異例。筆者の記憶をたどっても、このRS 3以外にそんなの見た覚えがないですね。
問題は、どうしてアウディはそんな“超変則的”なタイヤサイズを設定したのかということ。普通はやらないことですから、何らかの理由があるに違いありません。
というわけで気になるその目的は「ニュルアタックでタイムを縮めるため」。ニュルというのはドイツにある全長20kmを超える過酷なサーキット「ニュルブルクリンク 北コース」のこと。
そこはスポーツカーの聖地であり、世界中のスポーツカーがアタックをして刻んだタイムが「速さの指針」となります。そこで「コンマ1秒でも速く走る」という目標に向かったときの手段のひとつが「リアタイヤを細くする」というアイデアだったのです。
何を隠そうそんな前後異サイズタイヤを履くRS 3(のセダン)は、現行型デビュー時の2021年に7分40秒748というラップタイムを刻んでコンパクトカークラスの最速記録を樹立しました(ちなみにホンダ「シビック タイプR」が持つレコード7分44秒881は量産FF車クラス)。
2025年2月に日本発表された大幅アップデートモデルは7分33秒123とさらなるタイム短縮に成功。それにしてもエンジンのパフォーマンスアップなど大きな改良はアナウンスされていないのに、7秒以上縮めるなんて一体どうなっているのか……。
ところで、どうしてリアタイヤを細くすることがタイムアップと関係するかといえば、それはアンダーステアを消して、クルマがどんどん曲がるハンドリングの味付けにセットアップできるから。超高速セクションもある一方で峠道のようにタイトなコーナーも多いニュルでは「よく曲がるハンドリング」がタイムアップに貢献できる側面があります。
もちろん速く走るには「とにかく曲がればいい」というだけではダメなのですが、車両の基本特性を「きわめてよく曲がる」としつつ、電子制御やドライバーの腕で「曲がりすぎることのネガ」をフォローすることによってタイムを縮める「タイムアタックスペシャル」としたのがRS 3と考えていいでしょう。
実際にドライブしてみても、確かに良く曲がる。驚異的に高い旋回能力が運転好きにとってはたまらなく、RS 3の大きな魅力となっていることを実感します。峠道が気持ちいいですね。
しかし、筆者は思います。そんなハンドリングだけがRS 3の魅力ではない、と。
ハンドリングと並んで「これぞRS 3の醍醐味」と筆者が言いたいのはエンジン。そのエモーショナル感がたまらないのです。具体的にいえばアクセルを踏み込んだ時の音と、回転上昇のフィーリングですね。5気筒独特の“共鳴するエンジン音”と迫力あるスポーティな排気音は刺激たっぷりで運転を楽しくしてくれます。
RS 3に積んでいるエンジンは、今どき極めて珍しい5気筒。同社の「R8」やランボルギーニ「ウラカン」などにも積んでいたV10エンジンとも血縁関係が濃いもの。
現行の5気筒エンジンが登場したのはアウディ「TT RS」に積んだ2009年ですが、当時は340馬力(それでもかなり速かった!)から四半世紀を超えた現在では400馬力までパワーアップし、「世界最高出力の5気筒エンジン」となっているのはあまり知られていないかもしれません。
ちなみに生産は熟練のワーカーにより手作業でおこなわれ、組み立て後は全数が動作チェックを受けてから車両に組み込まれるのだとか。
エンジンがもたらす刺激を得るためだけに買ってもいい。筆者は心の底からそう思っているし、アウディRS 3はそれを理由に買ってもきっと後悔しないでしょう。
ただ、残念なのはこの5気筒エンジンは「かかるコストを考えるとユーロ7(2027年11月からEUで販売されるすべてのクルマに適用される排出ガス規制)に適合されるのが難しい」とされ、すなわちそれまでに生産を終了するというのが既定路線。もし次期RS 3が存在しても、そこにこの魅惑的な5気筒エンジンが収まる可能性は極めて低いと思われています。
つまり、新車として買える残された時間は長くない。そんな背景を考えると、現行型RS 3がさらに魅力的に感じられるのはきっと筆者だけではないことでしょう。
価格(消費税込)はハッチバック(スポーツバック)で933万円。セダンは952万円。購入の際はメーカーオプションとして「RSスポーツエキゾーストシステム」(16万円)と「RSダンピングコントロールサスペンション」(17万円)の追加がおススメです!(工藤貴宏)
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みんなのコメント
サウンドもパフォーマンスも申し分なく
TTRSはベイビーR8と称されるほど
欧州じゃカスタムが盛んでアホほど出力上げて
雪道を爆走してるね
フルタイム四駆のクワトロも他社を凌駕する性能
魅力的すぎるよ
なまじ経験値と知識が豊富になると
レクサスとかカスにしか見えない🤣