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リンク&コー撤退余波の続く全12台の争いは、アウディのベルトン、クプラのハフが勝利/WTCR第7戦

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リンク&コー撤退余波の続く全12台の争いは、アウディのベルトン、クプラのハフが勝利/WTCR第7戦

 8月5~7日にシリーズ初開催地となるフランス・アルザス地方アノー・デュ・ハンで実施された2022年WTCR世界ツーリングカー・カップ第7戦は、既報のとおり、リンク&コー・シアン・レーシングが「今季WTCRプログラムの即時中止」を決め、シリーズ撤退の激震とその余波に揺れるなか全12台で争われた。そのオープニングヒートではナサニエル・ベルトン(コムトゥユー・DHLチーム・アウディスポーツ/アウディRS3 LMS 2)が、続くレース2をロブ・ハフ(ゼングー・モータースポーツ/クプラ・レオン・コンペティションTCR)が制し、かつての世界選手権王者は今季2勝目を飾っている。

 シリーズの前身と言えるWTCC世界ツーリングカー選手権時代からチャンピオンシップを代表するドライバーとして活躍し、キャリア通算4度の世界王者に輝く“帝王”イヴァン・ミューラー(シアン・レーシング・リンク&コー/リンク&コー03 TCR)と、その甥っ子として“王家の血統”を受け継ぎシリーズ連覇を果たすヤン・エルラシェール(シアン・レーシング・リンク&コー/リンク&コー03 TCR)にとっては、このアルザス地方こそが「ファミリーの故郷」として、凱旋レースを戦う待望の機会となるはずだった。

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 その夢が直前で絶たれた失望感や喪失感が満ちたレースウイークは、ライバル陣営が自らの責務に集中し粛々とセッションを進めると、最初のプラクティスでアウディのベルトンが、続くFP2でノルベルト・ミケリス(BRCヒョンデN・スクアドラ・コルセ/ヒョンデ・エラントラN TCR)がトップを奪い、まずはサルーン系車両が優位に立つ。

 しかし続く予選で気を吐いたのが、今季序盤から最大40kgのコンペンセイション・ウエイトを搭載してきたホンダ・シビックで、ネストール・ジロラミ(ALL-INKL.COM ・ミュニッヒ・モータースポーツ/FK8型ホンダ・シビック・タイプR TCR)が気合の籠もったアタックでポールポジションを奪取。

 2番手ベルトンと3番手の選手権リーダー、ミケル・アズコナ(BRCヒョンデN・スクアドラ・コルセ/ヒョンデ・エラントラN TCR)とのタイム差は、わずか0.072秒という僅差のトップ3バトルを制した。

「これまでのところ、今季は非常に良い流れで来ている。レースでも最初の2周で良いパフォーマンスを発揮し、キレイなエアーの中で走ることができれば、もっと楽になるだろうね」と語ったジロラミ。

「ただし、僕らは序盤戦から40kgもの足枷を背負わされ続けてきた。今回も最終セクターのタイヤバリアに死に物狂いで寄せ切り、攻め続けた結果なんだ。重りのない背後の彼らはストレートで非常に速く、レースではいつも優位に立つ」

「生き残るためにレースペースとトラック上のスペースを確保するためには、やはり最後のセクターがカギだろうね。僕らはタイトルのために戦っているのだし、全員がクリーンな仕事をし、敬意を持って戦うと確信している」

■薄氷の勝利だったベルトン「残り3周の段階でかなり振動があった」

 予選後にそう語ったジロラミの予見どおり、レース1のスタートではフロントロウ2台が完璧なスタートを切り、トラクション勝負ではほぼ互角の蹴り出しを見せた。しかしここからひと伸びを見せたのが2番手のベルトンで、高速ターン1とターン2に到達するころにはイエローのアウディが先行し、ホンダ・シビックはレースを通じて終始、追走を強いられることに。

 そのオープニングラップ背後では、ジロラミの僚友で4番手発進だったエステバン・グエリエリ(ALL-INKL.COM・ミュニッヒ・モータースポーツ/FK8型ホンダ・シビック・タイプR TCR)がジル・マグナス(コムトゥユー・チーム・アウディスポーツ/アウディRS3 LMS 2)からのプッシングでスピンを喫し、タイヤに大きなダメージを負いピットへ向かう事態となる。

 22周のレースはそのまま上位勢の神経戦が続くも、粘り切ったベルトンがジロラミを0.299秒差で抑え込みトップチェッカー。ただし3位に続いたマグナスは5秒のタイム加算ペナルティを受け7位まで降格し、アズコナが貴重なポイントを積み重ねる結果となった。

「とてもハードな展開だった。1周目から(タイヤを)管理していたけど、残り3周の段階でかなり振動があったんだ」とレース後に明かした勝者ベルトン。「また勝利を失うのが本当に怖かった。今季すでに表彰台と4位を2回失っているからね……。これで逃したポイントを考えると本当に災難だ。勝利を挙げられて心から安堵しているし、レースの間はとてもストレスが溜まったよ」

 続いて夕刻16時を回って開始されたレース2は、リバースグリッドの最前列が役者を代えて“リプレイ”するかのような展開となり、ポール発進のメディ・ベナーニ(コムトゥユー・チーム・アウディスポーツ/アウディRS3 LMS 2)に対し、2番手グリッドのハフがスタートで追い抜きを決め18周のレースを支配。ハフが今季2勝目を挙げ、ベナーニの背後にはふたたびアズコナが続き、チャンピオンシップ争いを優位に進める連続表彰台を得た。

「はっきり言って、現状はまるで夢の中にいるみたいだ。シーズンが始まる1週間前は、レースを戦うことさえ疑問符がついていたからね」と明かしたランキング3位浮上のハフ。

「今季ここまでの僕らは、たった1日半のテストをしただけだ。その上で僕らがこれだけのパフォーマンスを出し、結果を得ているのはチームが完全に結束しているからだ。その連携は非常にタイトで、やる気があり、プレッシャーもない。すべての瞬間を楽しんで、今後も(ポイント首位の)ミケルをプッシュしていくよ」

 次戦となるWTCR第8戦はまだ確定しておらず、日付と会場は今週にも発表される予定となっている。

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