■かつてないほどの高性能な自然吸気エンジンを搭載した「S2000」を振り返る
1998年に発表され、1999年4月に発売されたホンダ「S2000」は、本田技研工業創立50周年を記念して開発されたオープンスポーツカーです。
ホンダ「S2000」復活! ファンの声に応えた試作車を世界初公開!
Sシリーズといえばホンダの4輪車製造黎明期に誕生したスポーツモデルが起源で、後輪駆動のオープンカーまたはクーペとしてデビュー。
Sシリーズには、販売されなかった「スポーツ360」のほか、1963年に発売された「S500」、1964年に登場した「S600」、1966年に発売した「S800」があり、その系譜は2015年に発売され2022年に販売が終了となる軽自動車の「S660」が最新モデルとなっています。
この系譜のなかでもS2000は、「走る楽しさ」と「操る喜び」を具現化しつつ、同時に環境への配慮と高い衝突安全性を兼ね備えることをテーマに開発された、新時代の2シーター・オープンスポーツカーです。
S2000の真骨頂であるエンジンは、VTEC(可変バルブタイミング&リフト機構)を採用した2リッター直列4気筒DOHC自然吸気を搭載し、最高出力は自然吸気エンジンとしては世界最高水準となるリッター当たり125馬力の250馬力を発揮。
レッドゾーンを9000rpmに設定した高回転型エンジンで、かつ高度な排出ガスのクリーン化も実現していました。
トランスミッションはクロスレシオの6速MTのみが設定され、高回転型エンジンの特性をフルに引き出し、スムーズな加速感と小気味よいチェンジフィールを実現。
足まわりには優れたハンドリング性能と高レスポンスを実現するため新設計された、インホイール型ダブルウィッシュボーンサスペンションを採用し、フロント16インチのベンチレーテッドディスクブレーキ、リア15インチディスクブレーキに加えトルセンLSDも採用され、高い運動性能を誇りました。
外観はFRスポーツカーとしては定番のロングノーズ・ショートデッキを採用したデザインで、とくにロングノーズは、エンジンを前輪車軸後方に配置する「FRビハインドアクスルレイアウト」に生かされ、車体の前後重量配分を50:50による人車一体感を実現するために必然でした。
シャシは新開発のオープンボディ骨格構造「ハイX(エックス)ボーンフレーム」で、クローズドボディと同等以上のボディ剛性と世界最高水準の衝突安全性を両立。オープンカーでありながらリアルスポーツカーとして走りを達成しています。
一方で、S2000のソフトトップは重量的には不利になる電動式をあえて採用。頭上のロックこそ手動でしたが、スイッチを操作すればわずか6秒ほどで手軽にオープンエアを楽しむことができるというのは、オープンカーとしては大いに魅力的でした。
S2000は待ち焦がれたFRスポーツカーファンによって、発売と同時にヒットを記録。その後、バリエーションの拡充と各性能の向上が実施されました。
■バリエーションの拡充と熟成が進んだS2000
登場から1年がたった2000年には、世界初のステアリング機構VGS(Variable Gear ratio Steering:車速応動可変ギアレシオステアリング)を搭載した「タイプV」グレードを追加。
VGSは車速と舵角に応じてステアリングのギアレシオを変化させ、さまざまな運転状況において理想的なハンドリング性能を実現する機構として開発されました。
ワインディングロードなどではロックトゥロックが最小1.4回転のクイックレシオで、スポンスよくクルマの向きが変わるセッティングとなり、高速道路など車速が高い領域では敏感すぎないスムーズなステアリングギアレシオとなるので、安定した走りが可能になっています。
2001年におこなわれたマイナーチェンジでは、ソフトトップの開閉スピードは従来のままリアウインドウをタイマー付熱線入りガラスにし、よりクリアな後方視界が確保できるようになりました。
また、自在に外装色13色、内装色5パターン、ソフトトップ2色から好みの色を組み合わせられる「カスタムカラープラン」を導入。
2003年のマイナーチェンジでは外装の一部意匠変更と、内装ではセンターコンソールやオーディオリッド、メーターを一新。あわせて、サスペンションのチューニングにボディ剛性向上など、走りの質や安定性も高められました。
そして、2005年のマイナーチェンジでは排気量を200ccアップし、中・低速回転域から力強いトルクを発生する2.2リッターエンジンに換装。
それにともない、最高出力250馬力/最大トルク22.2kgmから242馬力/22.5kgmとなり、エンジンの最大回転数も9000rpmから8000rpmにダウンしています。
2.2リッターエンジンに変わったことでトルクはわずかにアップしたものの、最高出力や最大回転数が下がったことはデチューンとも受け取られかねませんでしたが、実用域で使いにくいというユーザーの不満が改善されたかたちです。
同時に、加速性能や扱いやすさを重視してギアレシオをリファインしてローレシオ化。また、リニアで自然なアクセルフィールを実現するDBW(ドライブ・バイ・ワイヤ)も採用しています。
最後のマイナーチェンジとなる2007年の改良では、急激な車両の挙動変化を抑制するVSA(ビークル・スタビリティ・アシスト)とロールバーに設置されるサテライトスピーカーを標準装備し、安全性に加え快適性も向上。
また、アグレッシブなエアロパーツが装着され、専用のサスペンションチューニングを施し、空力性能と運動性能向上を追求した「タイプS」が追加されました。
その後、2009年にS2000は生産を終了。後継車はありませんでした。
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S2000は10年間で日本では約2万台、世界累計で約11万台を販売。発売当初の販売計画台数が月間500台(マイナーチェンジ後は100台から150台)でしたので、当初の需要の後は計画どおりとはいかなかったといえます。
当時は販売台数が多かったとはいえませんが、貴重なコンパクトFRスポーツカーということから販売終了後にじわじわと人気が再燃。
そして、発売から20周年を記念して、2020年6月には新開発のサスペンションパーツや、新たにデザインされた外装パーツなどが、ホンダアクセスから発売されて再び注目を集めました。
現在のSUV人気という状況を鑑みると、今後ホンダからS2000のようなピュアFRスポーツカーが発売されることは難しく、ますます貴重な存在となってしまうのではと危惧されます。
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