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愛車も「ステイホーム」のリハビリ必須 長期間クルマを動かさないとどうなるの??

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愛車も「ステイホーム」のリハビリ必須 長期間クルマを動かさないとどうなるの??

 外出自粛要請が続く中、Stay homeされている方々のなかには、食品などの買い出しの際も、クルマではなく、運動をかねて徒歩で…という方も多いのではないでしょうか。

 「そういえばもう1ヶ月以上、クルマに乗ってないかも…」という方は要注意!クルマは人間の身体と同じで、動かさないと様々なところの調子が悪くなります。

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 3ヵ月、半年、1年以上といった長期間、エンジンもかけずに動かさないと、クルマはどうなってしまうのでしょうか?

文:吉川賢一、写真:トヨタ、日産、平野学、ベストカー編集部

クルマはできれば毎日動かしたほうがいい

 クルマに限りませんが、機械製品は使われずに放置されると、錆や固着などが発生して劣化していきます。

 昨今のクルマは、酸性雨などからの耐腐食性も飛躍的に向上してはいますが、金属やプラスチック、ゴムなどで作られている機械製品には変わりありません。

 放置されることで、金属部品は徐々に錆びていき、ゴム製部品にはひび割れや固着が発生します。

クルマを毎日走らせることでベストコンディションを保てるが、外出自粛で厳しいところである

 できることならば、クルマは毎日走らせて、各部品をしっかりと馴染ませるというのが、ベストコンディションを保つ秘訣です。でも、そうもいかない方もおられるでしょう。

3か月クルマを動かさなかったらどうなるか?

 3か月間、放置されたクルマは、補機用バッテリーが放電してしまい、セルモーターが回せずにエンジンがかからない状態になっている可能性が高いです。

エンジンルームの内部はエンジン、バッテリー、ブレーキフルードなどの様々なパーツがある。定期的なメンテナンスも必要である

 最近のクルマには、スマートキーシステムや車載ナビ、カーセキュリティなど、クルマを止めておくだけで暗電流を必要とする装備があり、一般的なクルマだと10~30mA、大型車だと40~60mA程度の暗電流が流れている、と言われています。

 自動車用バッテリーには、「5時間率」というバッテリーの性能を表す数値が付いており、「5時間率 容量30Ah」の場合、「1Aの電流を30時間流すことができる」ということを表します。

 3ヵ月間クルマを放置していくと、(※一般車で暗電流20mAの場合)90日間で、0.02(A)×24h×90=43.2Ahの自然放電がおきる計算となり、2か月とちょっとでバッテリーは上がる、ということになります。

 クルマのバッテリーは、エンジンの回転をもとにオルタネーターにて発電して電力を蓄えているため、長期間クルマを動かさなければ電力を蓄えられません。

 正確には、バッテリーの個体差や気温の影響を受けますのでばらつきはありますが、微弱な暗電流でも、積もり積もっていくと、いわゆる「バッテリーが上がった」という状態になってしまうのです。

オイルによって性質は様々であるが、劣化するため交換が必要(写真はトヨタ純正モーターオイル GLV-1 0W-8)

 また、長期間放置されたことで、エンジン内部の部品表面からオイルが落ちてしまい、腐食やサビが発生することもあります。

 このオイルが落ちてしまった状態でエンジンをかけると、摩耗が一気に進んでしまうなどの不具合が生じることも考えられます(ドライスタートといいます)。

 良質のオイルなら3ヶ月程度経っても乾くことはないと言われていますが、場合によっては、1ヶ月程度で乾いてしまうこともあるようです。

走らないことで、タイヤのゴムの劣化が進む。ある程度の時期が経ったらタイヤの交換も必要である(写真はイメージ画像)

 さらに、ずっと1か所に同じ負荷をかけられた状態となるタイヤには「つぶれ癖」ができてしまいます。

 わずかなつぶれ癖であれば、クルマを走らせれば元に戻りますが、しっかり癖がついてしまうと、元に戻らず、タイヤが「円」ではなくなってしまうため、走行中にバタバタと振動が発生してしまうことがあります。

 それ以外にも、保管環境によっては、車室内に異臭が立ち込めていたり、カビが発生したり、ということも考えられます。

半年クルマを動かさなかったらどうなるか?

 上記に加えて、半年放置されたクルマで心配なのが「ガソリンの劣化」です。ガソリンタンクの中は密閉されてはいますが、タンク容量に対してガソリンが少なければ、その隙間に空気があるわけで、その空気が多ければ多いほど、劣化が早まってしまいます。

タンク内のガソリンが少なく、多くの空気に触れることで劣化が早まる

 ガソリンは空気に触れたまま長期間放置されると、ガソリンの中の高揮発性成分が消失、揮発しにくい高粘度成分だけが残留し、流動性が悪化、ドロドロな状態となります。

 この状態のガソリンでエンジンをかけてしまうと、ガソリンタンクや配管部などの、金属部の腐食を促進してしまったり、燃料配管や噴射弁などが詰まり、エンジンの始動不良のみならず、最悪の場合、エンジンが破損してしまうこともあります。

 ガソリンが満タンで、タンク内の空気が少ない状態で放置されていたとしても、半年経過したガソリンは使わずに入れ替えることをお勧めします。ただし、ガソリンは危険物ですので、自分では行わず、専門家に任せてください。

 そのほかにも、オイルシールなどのゴム製品の硬化や固着も考えられます。タイヤもそうですが、ゴム製品は、伸び縮みをすることで柔軟性を保つことができ、放置されると劣化は早まります。

1年以上クルマを動かさなかったらどうなるか

 さらに1年以上放置されていたクルマでは、上記に加えてブレーキやボディ関連の部品が錆びついていることが考えられます。

 ブレーキのローター表面の錆だけならば、少し走行すれば元に戻せますが、摩擦材がブレーキローターと固着してしまったり、ボディに錆が浮いてしまいクルマへ乗り込んだ瞬間に、「ミシミシ」と、亀裂が発生してしまうようだと、もうどうにもなりません。

まとめ

 海外出張や長期旅行、長期入院などで、どうしても長い期間、クルマを使うことができない場合は、できるだけ屋根付きの駐車場を確保し、ガラスに日よけなどをつけた上で、ガソリン満タン、バッテリーのマイナス端子を外す、タイヤの空気圧を上げる、エンジンオイルを保持性の高いオイルに替える、などの措置をしておくと、ダメージが少なくて済みます。

 3か月、とまではいかなくとも、1か月放置されたクルマには、「リハビリ」が必要です。走り出しは速度を抑え、ブレーキの効き具合や、エンジンに異常振動がないかなど、クルマの調子を見ながらの走行をお薦めします。

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みんなのコメント

1件
  • タイヤのエアも抜けて劣化進むよね
    青空駐車はブレーキの固着も要注意
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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