現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 乗ってわかったマツダの新型SUV「MX-30」の〇と×

ここから本文です

乗ってわかったマツダの新型SUV「MX-30」の〇と×

掲載 更新 28
乗ってわかったマツダの新型SUV「MX-30」の〇と×

■連載/金子浩久のEクルマ、Aクルマ

 先日、観音開きドアが大きな特徴のマツダの新型SUV「MX-30」に試乗した。クーペルックをしていても車高は1550mmと低いわけではない。マツダのスタイリッシュなSUV「CX-30」(1540mm)より、むしろ10mm高いのだ。観音開きのドアは開口部を大きく取れることによるメリットがいくつもある。チャイルドシートを設置しやすく、そこに子供を乗せやすかったり、高齢者やハンディキャップを持っている人など何らかの手伝いが必要な人たちをファローしやすかったりする。「MX-30」の場合、フロントドアは82度まで開くから、リアドアを開閉しない時でも使いやすいのだ。

女性がガッカリするパートナーの運転TOP3、3位「急」がつく運転、2位すぐにクラクションを鳴らす、1位は?



 ただ良いことばかりでもない。後席に乗った人が降りたい時にはフロントドアを開けなければならず、そのためには運転席だと電動でノンビリとスライド&リクラインさせなければならない。助手席はヒモを引いて、一発でシートがスライド&リクラインするが、ガードレールなどがあるところでは降り難かったりする。また、後席に乗せた荷物を素早く取り出したい時もフロントドアを開けなければならない。

 観音開きドアのクルマは欧米でも戦前から造られていて一長一短あるのだが、チャレンジした開発陣には拍手を送りたい。

機械として優れているか? ★★★★ 4.0(★5つが満点)

 日本仕様は2.0L、4気筒ガソリンのマイルドハイブリッドエンジン「e-SKYACTIV G」による2輪駆動版と4輪駆動版。2021年1月には、すでにヨーロッパで発売されているEV版が発売され、2022年にはマツダのお家芸であるロータリーエンジンをレンジエクステンダー(発電機)に用いたバリエーションも発売される予定だ。156馬力のe-SKYACTIV Gは低回転域から十分なトルクが発生していて、加速に不満はない。アクセルペダルを踏み込んでいっても、静粛性や滑らかさなどが大きく破綻することもない。

 ただ、2輪駆動版で路面の小さな段差や舗装のつなぎ目などを越える時のショックが目立つのは惜しかった。4輪駆動版は2輪駆動版よりも手応えが増すのは好ましいのだが、タイヤが上下動したり、サスペンションで吸収し切れない路面からの振動がフロアを揺すっているのが伝わってきていた。

 これが軽減されると、印象はグッと向上すると思う。「CX-3」から採用されている2色使いのヘッドアップディスプレイが見やすいのも長所のひとつ。トランクも真四角で深さもあり、使いやすそう。

商品として魅力的か? ★★★★ 4.0(★5つが満点)

 個性派SUVとして、マツダの既存の「CX-5」や「CX-30」などとは違う顧客を掴みそうだが、疑問符が付かないわけではない。「CX-3」や「CX-30」などでも同じことを感じたのだが、世界的にも新しいエクステリアデザインに挑み、新潮流を導き出すことに成功しているのに、それとは対照的に古臭い部分が残されていて、とても一台のクルマとは思えないほどのチグハグ感が著しいのだ。



 具体的には、プラスチックの針を持ったタコメーターと燃料残量計、水温計など。速度計と運転支援デバイスはそれらリアルメーターの中間部分のデジタル画面を切り替えて表示しているが、中途半端で古臭い。全面デジタルパネルのメーターにすれば、タコメーターはもっと省スペースで表示できるし、残量計や水温計なども小さなインジケーターで済ませられる。そのスペースを、ドライバーインターフェイスで最も重要な運転支援デバイス用に割くべきだ。

「MX-30」の運転支援デバイス(ACCとLKAS)の表示は大きく見やすいものだが、ナビゲーションや音楽再生などを表示しても構わない。インパネ上部のナビ画面は細長く、視線移動を伴うので、あまり見やすくない。燃料の残量や水温などよりもドライバーに表示すべきものはいくらでもあるのだ。



 運転中にドライバーに伝える(ことができるようになった)情報の質と量は近年になって飛躍的に向上&増加している。それは、ドライバーの運転行為というものが「走る・曲がる・止まる」の運転操作だけではなくなってきていることを表している。

「メーターはCX-30と同じものを使わなければならないという社内的な理由から採用しました。私も可能なら、デジタルパネルを採用したかったです」

 と、チーフデザイナー氏も嘆いていた。コストカットはユーザーから見えないところでやってほしい。マツダは「運転の楽しさ」や「意のままに運転できるクルマ」を開発することに一所懸命だ。

 それは大変い素晴らしいのだけれども、時代の移り変わりに伴ったドライバーとクルマの関係性の変化をデザインやドアなどだけでなく、インターフェイスや操作部分にも反映してみたらどうだろうか。「MX-30」はとても魅力的なクルマに仕上がると思う。EV版やレンジエクステンダー付きEV版なども予定されているので「MX-30」には引き続き注目していきたい。

■関連情報
https://www.mazda.co.jp/cars/mx-30/

文/金子浩久(モータージャーナリスト)

こんな記事も読まれています

便利な「ドライブレコーダー」 まさかの「バッテリー上がり」招く可能性も!? 「駐車監視」の注意点とは
便利な「ドライブレコーダー」 まさかの「バッテリー上がり」招く可能性も!? 「駐車監視」の注意点とは
くるまのニュース
ホンダがフォーミュラEに参戦する可能性はあるのか? HRC渡辺社長「今は2026年からのF1再参戦が最優先……しかしGEN4は魅力的」
ホンダがフォーミュラEに参戦する可能性はあるのか? HRC渡辺社長「今は2026年からのF1再参戦が最優先……しかしGEN4は魅力的」
motorsport.com 日本版
三菱ふそうがコロナ禍で光岡バディの生産を始めた理由
三菱ふそうがコロナ禍で光岡バディの生産を始めた理由
driver@web
2024スーパーGT第2戦富士のGT300クラス公式予選Q1組分けが発表
2024スーパーGT第2戦富士のGT300クラス公式予選Q1組分けが発表
AUTOSPORT web
V型4気筒エンジン搭載!! ホンダ「VF750F」に注ぎ込まれた先鋭のメカニズムとは?
V型4気筒エンジン搭載!! ホンダ「VF750F」に注ぎ込まれた先鋭のメカニズムとは?
バイクのニュース
フェラーリ内紛再び? サインツJr.、F1中国GPの1周目ルクレールの動きに苦言「僕らのレースに影響を及ぼした」
フェラーリ内紛再び? サインツJr.、F1中国GPの1周目ルクレールの動きに苦言「僕らのレースに影響を及ぼした」
motorsport.com 日本版
タナベのローダウンスプリング「SUSTEC NF210」に『スペーシアカスタム』の適合が追加
タナベのローダウンスプリング「SUSTEC NF210」に『スペーシアカスタム』の適合が追加
レスポンス
マツダ「新型“最上級”ステーションワゴン」!? まさかの「復活」に期待の声も! 次期「MAZDA6“ワゴン”」予想CGが「カッコイイ」と反響集まる
マツダ「新型“最上級”ステーションワゴン」!? まさかの「復活」に期待の声も! 次期「MAZDA6“ワゴン”」予想CGが「カッコイイ」と反響集まる
くるまのニュース
全長4.4mの人気コンパクトSUV 日産・新型「キャシュカイ」欧州で登場 変更されたフロントグリルは「サムライの鎧」をイメージ!?
全長4.4mの人気コンパクトSUV 日産・新型「キャシュカイ」欧州で登場 変更されたフロントグリルは「サムライの鎧」をイメージ!?
VAGUE
【MotoGP】ホンダは苦境でも、ザルコは「悲観的になる必要はない」と前向き。改革の効果出るのはまだ先?
【MotoGP】ホンダは苦境でも、ザルコは「悲観的になる必要はない」と前向き。改革の効果出るのはまだ先?
motorsport.com 日本版
マットモーターサイクル、新モデル『DRK-01』受注開始
マットモーターサイクル、新モデル『DRK-01』受注開始
レスポンス
2024スーパーGT第2戦『FUJI GT 3 Hours RACE』参加条件
2024スーパーGT第2戦『FUJI GT 3 Hours RACE』参加条件
AUTOSPORT web
やってはいけない「マフラー交換」5例。「爆音」「落下」「黒焦げ」など本当にあったダメなカスタムをお教えします
やってはいけない「マフラー交換」5例。「爆音」「落下」「黒焦げ」など本当にあったダメなカスタムをお教えします
Auto Messe Web
WEC第2戦、7号車トヨタが今季初勝利、巧みな戦略でポルシェの追い上げを退ける。8号車トヨタも5位入賞 【イモラ6時間決勝】
WEC第2戦、7号車トヨタが今季初勝利、巧みな戦略でポルシェの追い上げを退ける。8号車トヨタも5位入賞 【イモラ6時間決勝】
Webモーターマガジン
たった9台の激レアなアルファロメオTZ3! V10 OHVエンジン搭載のその中身はなんと「ダッジバイパー」だった!!
たった9台の激レアなアルファロメオTZ3! V10 OHVエンジン搭載のその中身はなんと「ダッジバイパー」だった!!
WEB CARTOP
ブラックのベントレーウイングが印象的なベントレー・ベンテイガの特別仕様車が登場
ブラックのベントレーウイングが印象的なベントレー・ベンテイガの特別仕様車が登場
カー・アンド・ドライバー
ロイヤルエンフィールド INT 650 発売、価格は94万7100円より…ブラックアウトの「DARK」を新設定
ロイヤルエンフィールド INT 650 発売、価格は94万7100円より…ブラックアウトの「DARK」を新設定
レスポンス
いまの若者にも「パブリカ」の偉大さを伝えたい! いまの大ヒット車「ヤリス」に繋がるご先祖が「超国民思い」のクルマだった
いまの若者にも「パブリカ」の偉大さを伝えたい! いまの大ヒット車「ヤリス」に繋がるご先祖が「超国民思い」のクルマだった
WEB CARTOP

みんなのコメント

28件
  • 観音開きって隣に車が止まっていてあまりスペースが無い場合にリア席の人の
    乗り降りはどうなのかな?
  • この車のバッテリーの詳細ってあまり出てこないような気がするんだけどなんで?
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

264.0299.8万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

149.8269.8万円

中古車を検索
MX-30の車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

264.0299.8万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

149.8269.8万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村