今週末の4月20~21日にイタリアのヴァレルンガで開幕する創設2年目のFIA TCRワールドツアーに向け、引き続きBRCヒョンデN スクアドラ・コルセのエントリー名で参戦するヒョンデ・モータースポーツが、新たに投入するアップデート版『エラントラN TCR』を公開。同じくライバル陣営のリンク&コー・シアン・レーシングもドライバー不変、体制継続4台での参戦を表明している。
初代“ワールドツアー”チャンピオンのノルベルト・ミケリスを筆頭に、WTCR世界ツーリングカー・カップ“最後の王者”であるミケル・アズコナに加え、新たにネストール・ジロラミの加入をアナウンスしていたヒョンデ陣営だが、今季よりFIAステータス認証を取得したシリーズに向け、エンジンや骨格を含む内部構造は不変ながら「空力性能が向上した」という新しいボディワーク設計を持つ最新型を投入する。
元F1ドライバーの49歳、ノルベルト・フォンタナが『トヨタ・カローラGRS TCR』で参戦へ/TCR南米
「ヒョンデの量産モデルとの最大限の関連性を持つことは、モータースポーツ部門が設計、製造するすべてのクルマの重要な根幹部分であり、公道走行用エラントラの新しい外観が、TCR規定エラントラNの外観に反映されるのは当然のことだ」と語るのは、同社副社長を務めるティル・ヴァルテンバーグ。
そのモータースポーツ部門の社長であり、WRC世界ラリー選手権ではチーム代表を務めるシリル・アビデブールも「このカテゴリーでトップの地位を維持するべく、3台体制への拡大は我々の野心にとって重要なステップ」であると続ける。
さらに同社のサーキット・レーシング部門プロジェクトリーダーであるジュリアン・モンセは、新型モデルの外観が「空気力学的性能の面で有益」であることの重要性を強調する。
「我々は昨季も成功を収め、ノルベルト・ミケリスは他のどのドライバーよりも多くのレースで優勝し、マカオでドライバーズチャンピオンシップを獲得した」とモンセ。
「エラントラN TCRの基盤は以前と同じだが、クルマは印象的な新しい外観を獲得し、エアロダイナミクスの点でも有益だ。カレンダーとレギュレーションの変更が克服すべき課題を与えるだけでなく、非常に重要なアドバンテージを獲得する機会も与えてくれることを、我々としても良く知っているんだ」
そして新加入のジロラミは言わずと知れたシビック使いとして2019年から各シリーズで活躍を演じてきたが、テストを通じて「エラントラN TCRとチーム全体に対して非常に良い感触を持っている」と語った。
「バレルンガのテストでは非常に有意義な2日間を過ごした。求められるドライビングスタイルは、これまで僕が慣れ親しんでいたものとはかなり異なり、そのニーズに対応することを求められた。でもオフテストを成功裡に終えるのは僕にとって必須要件だったし、マシンとチームに最大限の自信を持って開幕戦に臨めそうだ」
■開幕戦は20台での戦いに
一方、引き続き4台体制を維持するリンク&コー・シアン・レーシングは、WTCR連覇のヤン・エルラシェールに、WTCC世界ツーリングカー選手権最後の王者であるテッド・ビョーク、サンティアゴ・ウルティアと馬清華(マ・キンファ)のラインアップ継続を表明した。
「今季のFIA TCRワールドツアーでもリンク&コー・シアン・レーシングを代表し続けることを誇りに思う」と、自身3度目の戴冠を狙う“ツーリングカー・チャンピオン・ファミリー”出身のエルラシェール。
「2019年にチームに加わった最初のシーズンと同じように、2024年に向け意欲的に取り組んでいる。僕らはリンク&コー03 TCRの強力なパッケージを持っているし、挑戦に対する準備ができていると信じている」
そのほかFIA TCRワールドツアー登録組では、スペイン発のチームとして世界戦への挑戦を決めたぺぺ・オリオラ率いる新興ゴート・レーシングチームが、アルゼンチン出身のエステバン・グエリエリとイタリア出身のティーンエイジャー、マルコ・ブティとともにFL5型ホンダ・シビック・タイプR TCRでのエントリーを決めている。
また、エントリーリストには同じくスペインのボルケーノ・モータースポーツの名も記され、ジョン・フィリッピとサミ・タウフィクがアウディRS3 LMS2での参戦を果たす。
ただし開幕戦バレルンガでは同時開催のTCRヨーロッパ・シリーズの面々とは混走せず。代わりにイタリアの地元シリーズであるコパ・イタリア・ツーリスモに出走する9台がグリッドに並び、総勢20台での争いが見込まれている。
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