マツダが慣れ親しんだ日本語車名に代えてグローバル車名である数字に変更したり、トヨタはヴィッツの名前を捨ててヤリスとして日本で販売を開始。
そのいっぽうでダイハツがロッキー、タフトの過去の車名を復活させて話題になっている。
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たかが車名、されど車名、車名ひとつで売れたりも売れなかったりもするように、車名にはいろいろ話題に富んでいる。
実は2020年3月31日をもって、64年という長きにわたり販売されてきたトヨタのトラック、トヨエースの車名が消滅してしまった。
本企画ではランキング形式で、歴史のある車名について見ていく。
文:ベストカーWeb編集部/写真:TOYOTA、NISSAN、ISUZU
【画像ギャラリー】日本車で最も長い歴史を持つトヨタランドクルーザーの66年の軌跡
1位/トヨタランドクルーザー
初代デビュー:1954年(66年継続)
トヨタジープBJから1954年にランドクルーザーに改名。商標権の問題次第では、改名の時期はもっと遅かったかもしれない
ランドクルーザーという車名は1954年から使用されているのだが、そのことに関しては、トヨタジープBJ型について触れておく必要がある。
BJという車名は、B型エンジンとJ型シャシーにちなんで命名されていて、1951年に試作車が完成し、1953年から本格的な生産を開始した。
が、このジープという車名がアメリカのウィリス社の商標権に抵触するということで、1954年にランドクルーザーと改名。栄光のランドクルーザーの歴史はここに始まった。
ランドクルーザーと改名して1年後の1955年にフルモデルチェンジして20系が誕生。この20系の後継モデルが40系で、ショートボディは1984年に70系が登場するまで24年間という長きにわたり販売される超ロングセラーモデルだった。
そのいっぽうでロングボディは、35→45→55&56→60→80→100→200と代を重ねて現在に至る。55&56が確立した高級路線を現行の200まで踏襲していることを考えると、ランクルの歴史上大きなターニングポイントになったモデルと言える。
35→45→55と進化した4ドアロングボディのハードトップモデル。写真は55で、高級SUVというコンセプトの礎となったモデル
ランドクルーザーの車名の付いたモデルとして1990年にプラドが登場し、現行プラドが4代目となる。
そのほかでは、ランクル100の上級モデルとしてレクサスLX470をランドクルーザーシグナスとして販売したこともあった(1998年販売開始)。
ランドクルーザーは2019年8月にシリーズ累計1000万台を突破している。メインマーケットは海外で、絶大なる信頼を誇るトヨタの宝でもある。
次期型の登場も噂される現在、販売台数はさらに上乗せしていくだろう。これだけの人気車だから消滅することも考えられない。唯一の心配は、パジェロのように日本で売れなくなって日本での販売から撤退、ということだが、注目度の高さからも心配ないだろう。
つまり、ランドクルーザーは日本車の車名長寿記録をまだまだ更新していく。
ランドクルーザーの次期モデルは注目度抜群。200系の次は300系となり、環境性能を大幅に高めて登場するという
2位/トヨタクラウン
初代デビュー:1955年(65年継続)
1955年デビューの初代トヨペットクラウン。観音開きドアを採用していたため、一般的に観音クラウンの名称で呼ばれている
初代クラウン、通称『観音クラウン』がデビューしたのは、トヨタがジープBJからランドクルーザーに改名した翌年の1955年だから、2020年で65年の歴史を持っている。4月27日には65周年記念車も登場させている。
すでに説明不要の日本を象徴する高級サルーンで、デザインが不評だった4代目の通称『クジラクラウン』、日産セドリック/グロリア(Y32型)に販売で肉薄された9代目はあったが、これだけ長い歴史を持っていながら、安定した人気を誇っているモンスターだ。
失敗作と言われた4代目、9代目もすぐに手を打ち、しっかり売り切っているのだ。
オヤジ世代御用達のクラウンが大きく若返ったのが2003年デビューの12代目。ゼロクラウンはクラウン史に名を残す名車だ
変わらないことが安心感ということで、キープコンセプトの権化のように徹してきたクラウンだったが、2003年にデビューした12代目の通称『ゼロクラウン』で劇的に変わり、新たなユーザー層を獲得するなど、大きな転機となったのは間違いない。
現行の15代目ではシリーズで初めてニュルブルクリンクサーキットで開発されたことで話題になった。少々硬すぎると不満は出ているのは否めないが、セダン受難時代で日本車セダンとしては独り勝ち状態にある。
ランドクルーザーが海外メインのクルマなのに対し、クラウンは日本人のためのクルマであり続けてほしい。クラウンの車名が消滅することはありえないだろう。
65周年記念車/RSリミテッドの価格は516万9000~560万9000円
65周年記念車/SエレガンススタイルIIの価格は506万3000~550万3000円
3位/トヨタトヨエース
初代デビュー:1956年(64年継続)
1956年に一般公募によりトヨエースの車名が命名された。トヨタのエースシリーズの元祖も64年で幕を下ろすことになってしまった
トヨタはオート三輪に対抗できる安価な4輪小型トラックとして、トヨペットライトトラックSKB型を1954年に登場させた。このクルマがトヨエースの前身モデルで、1956年にトヨエースと改名したのが始まりだ。
トヨエースという車名は、一般公募によって決まったのも特筆ポイントで、TOYOTA+ACEでトヨエース。ACEは先駆者、最も優れた者という意味だ。
トヨタのハイエース、レジアスエース、タウンエース、ライトエースといったエースシリーズは、トヨエースをオマージュした車名ということで、まさに元祖。
が、1956年の初代以降、トヨタのトラックとして販売が続けられてきたが、このトヨエースという歴史のある車名は2020年3月31日をもって消滅してしまった。
トヨタは2020年5月1日から全車全店扱いとしていて、今後車種整理することを明言していて、その『犠牲車』の第1弾となってしまったのだ。兄弟車のダイナに統合されてジ・エンド。
トヨエースは現行モデルが8代目だ。トヨエースの車名は、8代、64年で終焉。
全車全店扱いとなることで車種整理により、歴史のあるトヨエースは兄弟車のダイナ(写真)に統合された。ダイナとトヨエースはグリルで差別化
4位/プリンス/日産スカイライン
初代デビュー:1957年(63年継続)
プリンスが1957年に登場させた初代スカイライン。前身が飛行機会社ということで非常にマニアックなクルマだった
日本人が最も愛してきたクルマの1台であるスカイラインは、1957年にプリンススカイラインとして産声を上げた。
2代目の登場は1963年だ。が、1966年にプリンス自動車が日産自動車と合併したため、その後は日産プリンススカイラインとして販売された。
日産スカイラインとなるのは1968年デビューの3代目の通称ハコスカからで、それ以降、現行の13代目まで63年間継続生産されている。
ちなみに2004年にグロリアの車名が45年で消滅したので、プリンス時代の車名で残っているのはスカイラインと2003年に復活した商用車のクリッパーの2つとなった。プリンス、日産という複数メーカーにより長く存続しているモデルはスカイラインだけだ。
V35は2001年6月デビュー。東京モーターショー1999に出展されたコンセプトカーのXVLをベースに開発されたが、スカイラインの消滅のピンチでもあった
スカイラインはR34からV35に切り替わる時に、ついにスカイライン消滅か、という状況にもなり、それ以降、存在感が薄くなっている。ビッグネームであることには変わりはないものの、ユーザーが関心を持つクルマではなくなっている、という意見もある。
が、現行モデルが2019年のビッグマイチェンで大幅に魅力アップしたのをきっかけに、スカイラインの復活を願っているクルマ好きは多いと思う。
スカイラインの車名は、消えてもらうわけにはいかないのだ。
2019年のビッグマイチェンでスカイラインらしさを取り戻しつつあり、ユーザーに好評。400Rのようなモデルは次期型にも設定してもらいたい
5位/いすゞエルフ
初代デビュー:1959年(61年継続)
エルフはいすゞの小型・中型トラックとして1959年にデビューした。その後人気モデルとなり、いすゞの屋台骨を支えるクルマとして現在も販売されている。小型トラックと言えばエルフというイメージを持っている人も多い。
2020年8月にエルフは誕生60周年を迎えた。エルフは1975年に2トンクラストラックで販売ナンバーワンに輝いて以降、現在もシェアトップを堅守している。
2019年8月にいすゞが大手新聞に出したエルフ60周年の広告。エルフはデビュー以来、日本の発展にも大きく貢献してきた
現行エルフは6代目となり、2006年にデビュー。乗用車と違いモデルチェンジサイクルが長いため、60年も歴史のある割にモデル数は少ない。
現在では日本をはじめ、世界約140カ国で販売されているグローバルカーで、海外でもベストセラートラックとして愛され続けている。
トラックの車名長寿記録では、トヨエースが64年で終焉を迎えたため、近いうちにエルフがトップに立ち、記録を更新し続けることになる。
エルフは1975年に2トンクラストラックの販売でトップに立ってから小型・中型トラックの代名詞的存在になっている
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みんなのコメント
トヨエース廃止したのかな