■総合力の高さは「クラストップレベル」
個性派揃いのスバル車のなかでは「フォレスター」は質実剛健なキャラですが、オンロード/オフロード性能のバランスを追求した直球勝負の商品企画により、着実にユーザーを獲得。
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現在ではグローバル販売台数ではアウトバックと並ぶスバルのエースへと成長。その最新モデルが2025年4月に正式発売された6代目になります。発売初月の受注台数は目標2400台に対して、歴代モデル過去最高となる1万1466台を記録しています。
その一方で、ストロングハイブリッド搭載のS:HEVモデルは「今注文すると納期1年」と言う話も聞きます。そんな状況に対して、北米向けモデルの現地生産開始時期の前倒し、他の仕向け地向けモデルの生産計画を日本向けに回すなど、納期短縮に向けた調整を粛々と進めているそうです。
そんな新型フォレスターですが、すでに4月の先行予約開始に合わせてクローズドコースでの試乗記をお届け済みですが、今回はリアルワールドでの試乗となります。
まずはオンロードでの試乗です。今回はバケツをひっくり返したかのような土砂降りの雨の中での走行でしたが、むしろフォレスターの実力を知るためには好都合でした。
エクステリアは従来モデルよりもスクエアで4輪の踏ん張りを強調したデザインが採用されていますが、従来モデルと似ているようで似ていません。個人的には19インチを履く「プレミアム」はプレステージ性すら感じます。
ただアクティブなキャラクターの「Xブレイク」は良くも悪くも「落ち着いてしまったかな」と。個人的には「スポーツ」との違いが分かりにくく、個人的には北米向けに設定のある「ウィルダネス」くらい飛んでもよかったのではないかと思いました。
インテリアは最新スバルのデザインで従来モデルより機能性も質感もレベルアップしています。助手席前の加飾デザイン(シボが独特)や独立したシフト周りなどでフォレスターらしさを演出していますが、全体的にスマートに整い過ぎていて「冒険心」が芽生えてこないのが残念な部分です。
個人的にはモニター内に埋め込まれたX-MODEをメカニカルスイッチ(=機能の視覚化)にするとか、専用メーターや傾斜計/高度計/コンパスなどの表示で遊び心を入れるなど、視覚的にオフロードに行ってみたくなるような演出はもっとやったほうがいいと思いました。
走りに関してはどうでしょうか。S:HEVは高出力モーターのアシストのアシストによる瞬発力の高さと力強さに加えて、ガソリン車以上に入念に施された振動・騒音対策(各部に配置された吸音材、インシュレーター、フロアマットなど)による静粛性の高さからスペック以上の「余裕」を実感。
シリーズパラレス式HEVはフィーリングの悪さ(エンジン回転と加速のズレ)が指摘されがちですが、スバルのそれは常用域ではほぼ気にならないレベルで、むしろトヨタ系のそれよりも優れています。燃費は信号少なめの幹線道路と山坂道を走行して17~18km/L台でした。
ガソリン車(1.8リッターターボ)のスペックは従来モデルと同じですが、アクセルを踏んだ時のモタツキ(応答遅れ)が抑えられ俊敏性が増したのと、より活発に回るようになっています。
CVTもダイレクト感が増しているように感じました。話を聞くと「重量増に合わせて制御の適合見直しを行なった」との事ですが、眠そうだったパワートレインがシャキッと目覚めたくらいの違いがあります。
燃費はS:HEVと同じルートを走って13~14km/Lを記録。インパクトはありませんが、孤独のグルメ的に言うと「ほー、これでいいじゃないか」と思わせる実力を備えています。
オンロードでの印象は「SUVであることを忘れるハンドリング」です。従来モデルは他のスバル車に対して操作した時の反応やクルマの動きは穏やかでしたが、新型は穏やだけどシャキッとしています。
言うなれば、従来モデルは基本素性などから結果的にそうなったのに対して、新型は味付けによって実現しているように感じました。この辺りは剛性の連続性(=弱い部分を無くす)にこだわったフルインナーフレーム構造SGPと動き始めにこだわり最適化されたサスペンションの相乗効果によるモノでしょう。
オフロード性能との兼ね合いからロール量はどちらかと言えば大きめですが、そのコントロールが絶妙(=挙動変化はゆっくりだけど上手に収束)なので腰高感はなく、道幅が狭い山坂道のウエット路面でも一発で舵を決めてコーナリングできるほどの一体感です。
連続するコーナーを曲がる際にもGの収束が早いので切り返し時に頭が揺さぶられにくく、結果としてロールはするけど“ロール感”は少なめでした。
ただ、Xブレイク/スポーツの18インチタイヤは転がり抵抗重視なのかウエットグリップが乏しいのは気になる所。その点ではプレミアムの19インチタイヤの方が総合的バランスは優れています。
快適性はバネ上の「フラット感」と乗員に伝わる入力の「優しさ」は、クラストップレベルで、「君は電子制御ダンパー付き?」と錯覚してしまうくらいの乗り心地です。この辺りは18インチタイヤのXブレイク/スポーツ優勢と思いきや、19インチタイヤのプレミアムは入力こそ僅かに硬めですが、タイヤのタワミと足の動きの連携が絶妙のようで、体感的にはほぼ同等レベルだと感じました。
■オンロードはスゴイ…ではオフロードは?
そんな感じの新型フォレスターなので、「いくらフォレスターでも、多少はオンロード寄りになったのかな?」と思いましたが、それは単なる取り越し苦労でした。今回はオフロード試乗の用意されていました。
それも千葉県の鋸南町にある採石場跡地の起伏のある厳しい道を活用した特設コースです。ここは従来モデル(マイルドHEV)と新型(S:HEV)の乗り比べを行ないました。
従来モデルに乗ると「これで十分じゃない」と言うパフォーマンスですが、新型に乗り替えると「全然違う!」と言うくらいの差です。
登り坂ではエンジンだけが唸り速度が乗らない従来モデルに対して、新型は余裕すら感じるレベル。同じ速度で上るならばアクセル開度は半分でいいくらいでOKです。
下り坂ではX-MODEも試しました。機能自体は従来モデルと同じですが、より緻密な制御になっているので安心感が格段に違います。欲を言えば、急こう配は1速(疑似シフト)に落としてもフットブレーキに頼らざるを得ないので副変速機が欲しくなるくらい。
走りは凹凸路面でも路面を離さない追従性の高さに驚きます。従来モデルも十分なレベルですが、新型はハイスピードでのギャップ乗り越え時にステア系がフッと軽くなる事がない(=接地性が高い)のと外乱に影響を受けにくいのでクルマに対する信頼が高く、それが故に道が厳しくてもペースがどんどん上がってしまう事が欠点かもしれません。
今回の路面はフラットダートといいながらもかなり凹凸が厳しいモノでしたが、新型に乗ると「道が変わった?」と言うくらい快適でした。具体的には「路面の岩やギャップが丸くなった」と錯覚するくらいの入力のまろやかさと乗員への伝わりにくさ/揺さぶられにくさです。
この辺りは程度の大小はありますが、オンロードで感じた印象と基本的には同じと言うわけです。
そろそろ結論にいきましょう。インパクトや目新しさはありませんが、2代目「レヴォーグ」からスタートした「新世代スバル」をド直球で表現したモデルであると共に、道を一切選ばない「懐の深さ」と誰にでも安心してお勧めできるSUVとしての「総合力の高さ」はクラストップレベルだと評価します。
スバルのAWDは「乗用車の走り」と「SUVの悪路走破性」を両立すべく生まれましたが、そういう意味で言うと、筆者は新型フォレスターが最も色濃く継承している末裔じゃないかなと。そういう意味では今、最もスバルらしいモデルかもしれません。(山本シンヤ)
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みんなのコメント
米国でのスバル、凄すぎ。これを切っ掛けに日本でも数倍延びてほしいね。