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わずか0.022秒差。シンドリックが今季初優勝も、惜敗プリースは失意の失格処分に/NASCAR第10戦

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わずか0.022秒差。シンドリックが今季初優勝も、惜敗プリースは失意の失格処分に/NASCAR第10戦

 シーズン初にして唯一のブレイクウイークを経た2025年のNASCARカップシリーズ第10戦『ジャック・リンクス500』が、カレンダー屈指のドラフティングトラックたるアラバマ州のタラデガ・スーパースピードウェイで開催され、決勝のトラック上ではオースティン・シンドリック(チーム・ペンスキー/フォード・マスタング)がドラマチックな最終ラップ決着を制することに。

 最後の6周で5回のリードチェンジを繰り返す激闘のなか、ライアン・プリース(RFKレーシング/フォード・マスタング)にわずか0.022秒差でフィニッシュラインに先着。猛追を見せたカイル・ラーソン、ウイリアム・バイロン(ヘンドリック・モータースポーツ/シボレー・カマロ)のHMS艦隊も抑え切り、今季初優勝を手にしたが、レース後の再車検では車両規定違反が発覚。惜敗のプリースは同じフォード陣営のジョーイ・ロガーノ(チーム・ペンスキー/フォード・マスタング)とともに、それぞれ38位、39位の降格処分を受けている。

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 ここからポストシーズン最終決着となる“チャンピオン4”まで、ただの一度も休息を挟むことなく駆け抜けることになるカップシリーズは、4月26~27日の週末にタラデガに到着。この間、NASCARの運営団体はノース・ウィルクスボロー・スピードウェイで開催される今季の『NASCARオールスター・レース』のフォーマットをアナウンスし、レース距離の延長やメーカー対決、プロモーターズ・コーションの導入を宣言した。

 そんななか迎えた予選では、まさに“伏兵”のゼイン・スミス(フロントロウ・モータースポーツ/フォード・マスタング)がカップ戦キャリア55戦目にして初のポールポジションを獲得。現在もシリーズのチャーター権(参戦枠)契約を巡って運営側と訴訟合戦の渦中にあるチームにとっても、明るい材料となった。

「自分の功績だと言いたいところだが、正直に言って、本当に速かったのはFRMフォードさ」とチームの仕事を称えたスミス。「最高だよ! カップシリーズでポールシッターなんて最高だ。チームメイト(ノア・グラグソン、トッド・ギリランド)全員に心から感謝する。彼らは今シーズン、本当に素晴らしい仕事をしている。明日は長いレースだが、スタート地点はこれ以上ない。だから、本当に興奮しているよ」

 その象徴的な全長2.66マイルのハイバンクトラックにおける勝負は、恒例のアクション満載、ドラフティング勝負の展開とは一線を画す静かな内容となり、都合2回のステージブレイクを除くと、わずか2回のコーションしか発動されない穏やかなものに。

 しかしその最初の犠牲者となったのは、ともにタイトル獲得経験を持つふたりで、シーズン序盤から極度の不振に見舞われているブラッド・ケセロウスキー(RFKレーシング/フォード・マスタング)は、ブレイク前の43周目にピットへ向かう際、対照的にフロントロウ2番手から決勝へ臨んでいたカイル・ブッシュ(リチャード・チルドレス・レーシング/シボレー・カマロ)と交錯。その衝突の余波でライアン・ブレイニー(チーム・ペンスキー/フォード・マスタング)もスピンアウトを喫することとなった。

「とにかくピットロードにできるだけ早く来ようとしていたドライバーたちが折り重なり、僕たちはまるでサンドイッチのなかのハムのように押しつぶされたんだ」と、現役ドライバー最多のタラデガ6勝を挙げているケセロウスキー。

「バックストレッチで手を振ってピットインすることをみんなに知らせたんだが、背後はぎっしり詰まっていて、左に入る隙もなかった。僕らだけでなく、他の何人かのドライバーの日曜を台無しにしてしまったのが本当に悔しい。他にできることは何もなかったと思う」

 同じくシーズン序盤の10戦で4度目のリタイアを喫したブレイニーも「またもDNF。本当に残念だ」と肩を落とす。「ちょうど勢いに乗っていた矢先に、今日はレースさえできなかった。(次戦の)テキサスへ進むだけだね」

 さらにこの52周目でのリスタートも荒れ模様となり、僚友のテールをプッシュしたデニー・ハムリン(ジョー・ギブス・レーシング/トヨタ・カムリXSE)の動きを起因に、クリストファー・ベル(ジョー・ギブス・レーシング/トヨタ・カムリXSE)がボトム側をリードしていたクリス・ブッシャー(RFKレーシング/フォード・マスタング)に追突。この衝突でサイドに押し出されたふたりはイン側のSAFERバリアに激突し、ベルはフロント、ブッシャーは運転席側にダメージを負い、ともにレースを終えてしまう。

「最初のステージはまだ10周残っていた。自分のポジションを把握し、レースに臨み、プッシュする場所を賢く判断するには充分な時間だ。僕の思い違いかも知れないが、コーナーの真ん中や出口でプッシュしてはいけないことは常識だ。ある程度は真っ直ぐ走らないといけない。トライオーバルでプッシュしてはいけないのと同じように」と、これでRFKオーナードライバーのケセロウスキー同様、勝負の輪に加わることを許されなかったブッシャーは、静かな怒りとともにトヨタ陣営……主にハムリンの動きを非難した。

 その感情を直接的に表現したのがブッシャーのクルーチーフを務めるスコット・グレイブスで、早々にリタイアを強いられたことにフラストレーションを隠そうとせず。レース後のX(旧Twitter)にハムリンについて投稿した。

「チームは毎週懸命に取り組んでおり、ステージ1の終盤にはドライバーをポジションにつけていた。それが、世界最高のドライバーのひとりだと自負する選手たちがリスタートすらできないなんて……。保険スポンサーが(ハムリンに)いるのは分かる。保険金を請求してもいいか?」

 ここからはノーコーションの超ハイスピード戦略バトルが続く展開となり、ステージ1を制覇、ステージ2でも3位を記録したラーソンに対し、チームメイトの分まで奮闘を見せた34歳のプリースが喰い下がり、カップ初優勝まであとわずかというところに迫る。

 失意に沈むRFKにあって孤軍奮闘を見せるプリースの60号車、名門チーム・ペンスキーの2号車と、終盤で2台のフォード・マスタングは激しい首位攻防を繰り広げたのち、サイド・バイ・サイドでフィニッシュラインへ。ここでボンネット分だけ先行を許した60号車は、惜しくも初勝利を逃す結末となった。

「2位はうれしいけど……レーサーなら勝ちたいでしょ」と胸中を明かしたプリース。

「トライオーバルで集団がひとつになったとき、誰も僕を置いていかなかった。でも簡単じゃあないよ。スーパースピードウェイでのレースでも、これまででもっともアグレッシブに行ったし、本当に限界に挑戦した。誰が速いマシンに乗っているかを見極めなければならなかったが、今日は明らかにフォード勢ばかりだった。適切なタイミングで適切なラインが開いたが、最終的にはわずか0.22秒差で届かなかった」

 一方、残り17周で最速の最終ピットストップを達成した2号車のクルーは、シンドリックを優勝戦線に送り込むことに成功。そのまま、興奮を誘う逆転の“フォトフィニッシュ”を制して見せた。

「ピットサイクルから速いマシン、そして燃料給油のみのピットストップまで、このチームを本当に誇りに思うよ」とチームを称えた26歳。「僕らとしても決して簡単ではなかったが、カイル(・ラーソン)には感謝しているよ。トライオーバルで絶妙なタイミングでプッシュしてくれたし、本当に助かった」

「アトランタのレースの後は彼に腹を立てたが、今はもう大丈夫だ。タラデガでフォトフィニッシュ勝ちを収め、素晴らしい観客の前でプレーオフ進出を決められたのは最高だった。アラバマの美しい1日だったよ」

 そして明けた月曜にはカップ初優勝に迫った挑戦者の歓喜を暗転させる、悲運の報が飛び込んでくる。2位プリースの60号車と、今季初のトップ5フィニッシュを果たしたロガーノの22号車に関し、レース後の再車検で不合格の判定が下されることに。NASCARルールブックの第14.5.8.F項(スポイラー)では、スポイラーには2つのシムを取り付ける必要があるが、RFKのチームは3つのシムを取り付けていた。

 一方の22号車は、NASCAR規則14.5.8.E項(スポイラー)および14.1.P項(車両全体規則)に基づき、スポイラーにはつねにファスナーが取り付けられていなければならないが、ロガーノの22号車はスポイラーボルトが1本欠けた状態だったという。

 そして、こちらも“写真判定”決着となった併催のNASCARエクスフィニティ・シリーズ第11戦『Ag-Pro 300』は、ホワイトフラッグで首位にいたコナー・ジリッシュ(JRモータースポーツ/シボレー・カマロ)を仕留め、僚友ジェシー・ラブ(リチャード・チルドレス・レーシング/シボレー・カマロ)らを僅差で抑え切ったオースティン・ヒル(リチャード・チルドレス・レーシング/シボレー・カマロ)が勝利を飾っている。

https://youtu.be/i5gK1HEV8Kg

[オートスポーツweb 2025年04月30日]

文:AUTOSPORT web

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