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F1タイヤを太陽光で温めるのはナンセンス? 「全てのタイヤを同じコンディションにするのは不可能」 2025年タイヤウォーマー禁止問題を受け、ピレリが主張

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F1タイヤを太陽光で温めるのはナンセンス? 「全てのタイヤを同じコンディションにするのは不可能」 2025年タイヤウォーマー禁止問題を受け、ピレリが主張

 F1は2025年シーズンからタイヤウォーマーの使用を禁止することを目指しているが、ピレリはこれが正式に決定した場合、日光を使ってタイヤを温めることも禁止されることになるだろうと考えている。

 2024年からタイヤウォーマーの使用を禁止することを目指していたF1だったが、チームの反対などにより廃案。改めて2025年から使用を禁止することを目指し、調整が進められている。

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 そしてこのタイヤウォーマーの使用が正式に禁止された場合には、日光を使ってタイヤを温める策も禁止されることになるだろうと、ピレリのF1タイヤ責任者であるマリオ・イゾラは語る。

 世界中のレースにおいて、最近ではタイヤウォーマーを使わないのが主流。F1は少数派になりつつある。

 タイヤウォーマーとは、タイヤが適切な温度になるよう、走行前の段階でタイヤを温めるためのもの。タイヤを構成するゴムには、最適なグリップを発揮する適切な温度があり、その温度までタイヤを温めたいのだ。逆に適切な温度まで温まっていなければ、タイヤはしっかりとしたグリップを発生しない。また使用前と使用中のタイヤの温度差が生じてしまうと、タイヤ内部の空気の膨張率にも大きな差が生じてしまうことにもなる。

 タイヤウォーマーは市販車ではまず使われない、F1独自の技術であるため、その存在意義には疑問符が付けられている。また装置の輸送や使用する際に消費するエネルギーを削減するという理由もあり、タイヤウォーマーは使われなくなりつつある。

 F1もこの潮流に追従し、ウォーマーの使用を禁止するために動き、2021年シーズンからこれを実現しようとした。ピレリも、タイヤウォーマーなしで使うことができるタイヤの開発を推し進めた。

 しかしF1チームはこれに反対。2024年から導入することについても賛同が得られず、今も先送りになっている。しかしF1側もこれで諦めたわけではなく、2025年からタイヤウォーマーの使用を禁止することを目指している。

 ただタイヤウォーマーの使用を禁止されているカテゴリーでも、あの手この手で使う前のタイヤを温めようとしている。例えば、スーパーGTやスーパーフォーミュラでは、晴天の場合には日光が当たる場所にタイヤを置き、言わば日干しするような格好でタイヤを温める。

 DTMも同じような形でタイヤを温めたが、これはタイヤ温度を「室温」よりも高くするとして違反対象になり、議論の的となった。

 ピレリのマリオ・イゾラは、他のカテゴリーではこういうタイヤの温度を引き上げるための行為が行なわれていることを認識しているが、同様の策はF1では機能しないだろうと考えている。

「F1を見ると、レギュレーションはとても厳しい」

 そうイゾラは語る。

「GTではレギュレーションがそれほど厳しくない。そのため、コースインする前にタイヤを温める、あらゆる発案が可能だ」

「暖かい箱のような、優れたシステムもあるが、以前はそれほど使えるモノではなかった。タイヤ1本だけは100度になっているかもしれないが、それ以外のモノは40度だったりすると、それはもう大惨事なんだ」

「太陽光で温めることもできるかもしれない。しかし太陽光に晒すと、紫外線など他の影響も受けてしまう。コンパウンドに影響を及ぼしてしまう可能性もあるんだ。そして、1セットのうち全てのタイヤの温度を同じ条件にできるというわけではない」

 また太陽光に当てると、ホイールの一方のみ熱くなることになる。これは、マシンのパフォーマンスを発揮する上でも、良いことではないとイゾラは指摘する。

「メカニックが、タイヤを回転させなければいけないというのも目にした」

「タイヤの一部だけが熱くなりすぎ、他の部分が冷えているというのは、いいことではないんだ」

 F1でタイヤウォーマーの使用を禁止することとなれば、タイヤを温めるその他の手段も全て禁止することになるだろうとイゾラは指摘する。他のカテゴリーでは、それを全て監視するのは不可能なことだが、F1ならそれも十分に可能だと考えているようだ。

「F1は他とは異なるレベルのチャンピオンシップである。そのことを考慮する必要があるよ」

 そうイゾラは語った。

「最小限のプレッシャーを課し、キャンバーを制御するために、我々は常にプロモーターと会話を行なっている。それが、F1でやっていることだ」

「レギュレーションは非常に正確だ。他のチャンピオンシップには、これほど多くの人が集まることはない。そのため、プロモーターや運営団体にとって、チームがルールを遵守しているかどうかを確認するのは、非常に難しい」

「ルールに適用できない文言を書いても全く役に立たないため、適用できるルールを書くよう注意する必要がある」

「国内のチャンピオンシップについて話す場合、35台くらいのマシンをふたりの車検担当者で確認することになる。タイヤの空気圧のチェックと同じように、温度を測るよう彼らに依頼することはできない」

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みんなのコメント

2件
  • どこかのチームがタイヤラックがすっぽり入るクリアケースみたいなの作りそうだなぁ〜
    黒いフィルム貼れば紫外線もカットできるしビニールハウス状態になるから結構均等に温められるんじゃない?作ってやってみないとわからんけど。
  • タイヤヒーターで暖めてますけど!
    何か!
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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