ロータリーならではの魅力を無くさないでほしい!
マツダの公式サイトやYouTubeでRX-7が話題になったのをご存知だろうか? 長崎に住む西本尚子さんが、80歳の誕生日に免許返納することを決意。乗っていたRX-7をマツダに譲渡するまでの最後の3日間を追ったドキュメンタリーは必見だ。
究極のRX-7が爆誕! 3ローターのNAロータリーをぶち込んだ圧倒的なコーナリングマシン
そのRX-7はいまマツダにおいて、広報車として第二の人生を開始した。外装類はコーティングを一度も欠かさなかったということもあり、かなりコンディションの優れた個体ではあるが、さすがは25年選手であり、広報車両として活動を開始する前には入念なメンテナンスが施されたそうだ。
足まわりはフルブッシュ交換。エンジンルームはオイルのニジみ対策に始まり、スロットルボディ、オイルポンプを交換。出火のおそれがあると近年ウワサのキャニスターも交換した。あの出火は、マツダによればキャニスターだけが悪いわけじゃなく、エンジンの圧縮が落ちて生ガスが出ることで悪循環が起き、出火に至るのだとか。旧車を維持するのは大変だ。
さらに近年、旧車は人気でプレミア祭り。この型のRX-7も中古車情報サイトでは下は500万円から上は1300万円まで存在する。結果として盗難の心配も高く、今回の広報車にはステアリングやタイヤロックといった物理的なアイテムのほか、新たなセキュリティ対策も追加されるという厳重ぶりだ。
そんな貴重なクルマを試乗する。かつて僕が在籍した編集部の長期テスト車にもあったRX-7。その担当だったことを思い出す。最後は同僚が扱いきれずにクラッシュして廃車。悲しさが蘇る。今回のクルマは5型で、外装は最終型と同様。グレードはタイプRBで、すなわち265馬力仕様だ。
ドライバーズシートに収まれば、そこはいまでは味わえない低く構えた姿勢がなかなかの雰囲気。歩行者保護だの視界要件だのと小難しいことがない時代のボンネットも低く、とにかく平べったい。レーシングカーに乗ったような感覚をノーマルの時点で味わえてしまう。
走ればヒラヒラとした身のこなしがとにかく軽快! さすがは車両重量1240kgである。おまけに前軸重620kg、後軸重620kgの前後50対50の重量バランスも最高だ。足まわりが引き締められているわけでもないのに、無駄な動きがなく扱いやすい。初期の頃はピーキーな動きだったが、熟成された5型は落ち着きある振る舞いを披露してくれる。
その上でロータリーだ。低回転はトルクが細いが、独特のビートを重ねながらモーターのようにスムースに吹き上がる所作は、2ローターシーケンシャルツインターボならでは。いまの1ローターでは出ないサウンドがある。
この世界、やっぱりなくしちゃダメだ。日本の、そしてマツダの宝なのだから。このRX-7の広報車導入は、ロータリー継続の意思表明なんですよね? マツダさん! アイコニックSPやビジョンクーペといったコンセプトカーが市販されることを期待したい。
試乗&リポート●橋本洋平
2019年の「GAZOO Racing 86/BRZ Race」クラブマンエキスパートクラスで年間王者となるなど業界きっての走り系ライターとして活躍。愛車はRZ34型フェアレディZと、最近ソフトトップを新調したNA型ロードスター。
※本記事は雑誌「CARトップ2026年5月号」の記事を再構成して掲載しています
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