トヨタにはセリカという車種がありました。近々復活という話も耳にしますが、現状で最後のセリカとなっている「T230系」が販売終了したのが2006年ですから、もう20年が経過したモデルになります。今の20代のクルマ好きの中で知らないという人がいても何ら不思議ではありません。しかしそんなセリカですが、トヨタ初のスペシャリティカーとして一世を風靡してから2006年まで、実に36年の歴史を誇る伝統のシリーズでもありました。ここではそんなセリカの初代モデル「A20/30系」を紹介していきたいと思います。
→【画像】欧米に「追い付け」精神から生まれた「ジェット機」モチーフのデザイン。それなのに愛称は、なぜか「ダルマ」に…【30年超えで愛され続けているトヨタ人気旧車を解説】
●文:月刊自家用車編集部(往機人)
「未来の国からやって来た」挑戦的なキャッチフレーズも話題
初代の「A20/30系セリカ」は1970年に登場しました。ちょうどこの時期は、モータリゼーション先進国の欧米に追い付けという気概で貪欲に技術を習得し、それを市販車に反映していた時代でもありました。
そろそろ世界に誇れる先進性と高い性能を持たせた魅力のあるクルマを作ろう、という動きから生み出されたのが、このセリカのような、のちに“スペシャリティカー”というジャンルになります。
「未来の国からやって来た」というキャッチフレーズからも、セリカに込められた先進の技術と、贅沢な雰囲気を味わってほしいという狙いが伝わってきます。
開発のベースとなったのは中型ファミリーセダンのカリーナで、ゆったりめに設計されたシャーシをベースに、2ドアクーペというボディタイプと流麗なデザインが与えられ、プロトタイプが発表されたモーターショーでは、大きな話題を呼びました。
当時はイタリアのカロッツェリアにデザインを依頼してテコ入れをすることがよく見られましたが、今見ても充分に海外に通用する秀逸なデザインは、トヨタ社内でおこなわれたそうです。
未来を感じさせるデザインということでモチーフにしたのはジェット機でした。空力を意識したなめらかな面構成や丸みを感じるキャビンなどをみると、なるほど、航空機のイメージが実感できます。
ちなみに初代の愛称「ダルマ」は、その顔つきが由来と言われています。必勝祈願のマスコット「達磨(だるま)」の画像を見てもらえると分かると思いますが、セリカのヘッドライトとグリルをぐるっと囲む形状と、バンパーの両端が真ん中辺りまでぐいっと上がっているところが、ヒゲのように見えることから「だるまみたいだ」と名付けられたのだといわれています。
高性能の証だったツインカムエンジンを搭載
訴求グレードとなる「1600GT」に搭載されるエンジンは、「2T-G型」と呼ばれるDOHC直列4気筒1588ccのユニットです。
当時販売していた国産メーカーの市販車は、吸排気それぞれに独立したカムシャフトを持つDOHC=ツインカム方式は数えるくらいしかなく、まさに高性能エンジンの象徴と言える存在でした。
セリカに“ツインカム”を搭載するにあたっては、既存の「2T型」をベースにしたツインカム仕様を作り上げました。
「2T型」はカムシャフトがクランクの横に1本だけあるOHVタイプで、それをツインカム仕様にするため、提携関係にあったヤマハにその設計を依頼します。
そうしてできあがったのが、当時のレース用エンジンのお手本とも言われていた「コスワース」を思わせるシリンダーヘッドを持った「2T-G型」でした。
これもレース由来のつくりの大径キャブレター「ソレックス」を装着し、115psという、当時の2Lクラスのエンジンに匹敵する出力を発生。
何よりもその勇ましいエンジンサウンドに、当時のクルマ好きの心はガッチリ掴まれたのです。
今の製造体制では作れない?!工芸品のような部品やギミックも見どころ
初代セリカの魅力は数多くありますが、少しマニアックな視点で見てみると、装着されているパーツのつくりが見事だという点が挙げられるでしょう。
例えばドアのアウターハンドル。ダイカスト製の細身のグリップは、繊細でスポーティさも感じます。
Cピラーの細かいスリット状のカバーは、デザイン上ではスピード感を加える意匠になっていますが、これは室内の圧を抜くためのベンチレーションとしてしっかり機能します。
また、よく見るとボディ面に給油口が見当たりません。どこにあるかというと、テールランプの内側のガーニッシュに隠れていて、ガーニッシュのパネルを下にカパッと開くと、中にキー付きの給油口が現れるという仕掛けになっています。
50年前の高性能車はどれくらい速い?
さてそのようにクラス最高レベルの動力性能が与えられたセリカですが、そうは言っても50年以上前の“最高レベル”です。今のレベルに比べたらかなり劣ることは予想できるでしょう。
実際にアクセルを踏んでみると、それなりに遅いと感じる人もいるでしょう。おそらく最新の1.6Lクラスのコンパクトカーには、スタートダッシュで負けてしまうかもしれません。
ただ、セリカに搭載されている「2T-G型」ユニットは、当時レースでも活躍していましたのでチューニングパーツが多く出回っていました。
20年ほど前のチューニング車輌では、「2T-G型」を2.0Lまでボアアップしたチューニングしたというエンジンも見かけることができました。搭載で、0-400m加速の記録が13秒台と、かなりの速さを見せていました。
ただ先にも触れましたが、このエンジンの魅力は出力の数値ではなく、その唯一無二のエンジンサウンドにあります。直4の勇ましい響きと、大口径キャブレターから発せられる吸気音など、思わず低いギヤで引っ張りたくなってしまうことでしょう。
購入を検討するならば、前期/後期の違いに注意
この初代セリカには、モデルチェンジでいくつかの違いに分かれています。大きく分けると、「ワンテール」「ツーテール」「LB」の3タイプです。
「ワンテール」は前期モデルの特徴で、テールランプが赤一色になっているのでそう呼ばれます。またノーズ形状を横から見ると「く」の字状に尖っているのも大きな特徴になります。
「ツーテール」は後期のクーペモデルです。1972年のマイナーチェンジでテールランプが2つに分割され、ノーズ形状も尖りが無くなり平らになります。
そしてこの後期モデルをベースにハッチバックに仕立てられたのが「LB」です。トヨタではハッチバックではなくリフトバックと呼んだので「LB」というサブネームが付きました。
中古車相場は「ワンテール」がダントツに高値ですが、「LB」も人気が高いので比較的高値が付いているようです。
グレードでは「2T-G型」エンジン搭載の「1600GT」が人気ですが、2.0Lの「18R-G型」搭載のモデルも乗りやすいと高く評価されています。
エンジンは妥協して良いという場合は、シングルカムエンジンのモデルが狙い目、ということも覚えておいて損はないと思います。
画像ギャラリー
―― 初代セリカが「ダルマ」の愛称で呼ばれるのは、その特徴的なフロントデザインが与えられたことが理由。ヘッドライトとグリルを囲む形状と、バンパーの両端が中央に向かってせり上がっている様子がダルマ、そしてそのひげのように見えることから、この愛称が付けられたというのが定説になっている。
―― 1970年セリカ1600GTのフロントマスク。
―― ジェット機をモチーフにした流麗なボディラインが、当時のスペシャリティカーとしての魅力を際立たせている。テールランプの内側のガーニッシュに給油口が隠されているユニークなギミックも特徴の一つ。
―― 1970年セリカ1600GTのテールライト。
―― セリカ1600GTに搭載された「2T-G型」DOHC直列4気筒1588ccエンジン。最高出力は115PSを発揮。
―― ブラックを基調とした室内は、スポーティーかつ上質な雰囲気でいっぱい。運転席は、計器類がドライバー側に傾けられた「コックピットスタイル」を採用する。シートはサポート性も考慮されたバケットタイプ。当時の若者たちが憧れたスペシャリティカーにふさわしい、先進的な空間に仕立てられている。
―― セリカ1600GT(1970)の前後シート。
―― ジェット機をモチーフにデザインされた滑らかな面構成と、緩やかに傾斜するルーフラインが特徴。GTグレードを示すサイドストライプもスポーティーさを掻き立ててくれる。
―― 当時のイメージカラーであるターコイズブルーに塗られたセリカ1600GT。
―― セリカリフトバック(LB)。
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みんなのコメント
見れば納得すると思う
フロントの見た目ではない
だからセリカLBはダルマとは言わない
と想いましたね、まだ小学生でした。
大人となって、マスタングをモチーフにしたのが、
何となくですが 解りました。
当時のアメリカ車は日本車よりかなり先にいってたんだなぁ…