この記事をまとめると
■スバルは冷却性能を改善したBRZ GT300でスーパーGT第4戦富士に臨んだ
さよならEJ20! 名エンジンとともにSUPER GTを戦った井口・山内の両ドライバーが思い出を振り返る!
■決勝ではウエットタイヤ選択が裏目となり終盤のタイヤバーストも重なって苦戦
■チームは冷却面の成果を確認しつつ課題を修正して次戦の鈴鹿での巻き返しを目指す
暑い富士でも十分な冷却性能を確保して臨む
2026年スーパーGT第4戦『FUJI GT 300km RACE』が8月1~2日にかけて、静岡県の富士スピードウェイで開催されました。5月のゴールデンウィークに開催された第2戦のあと、第3戦マレーシア戦が延期になったことで、約3カ月のインターバルを挟んでの第4戦富士となりました。
スバル/STIはこのインターバルの間に、神奈川・群馬・大阪・福岡のスバルディーラーに実際のGTマシンをもち込み、井口・山内・奥本選手によるファンミーティングを開催し、この第4戦に向けて盛り上がりを見せていました。
チームはこの3カ月を使いマシンのアップデートを行っています。おもな部分はボンネットの変更と冷却系の変更です。今シーズンからエンジンを従来のEJ20シングルターボ仕様からEG33ツインターボ仕様へと変更しています。ターボが2個になったことに伴い、インタークーラーも2個搭載しています。
これにより、エンジンで燃焼するための空気以外にも、インタークーラーとラジエターなどに多く空気を必要とします。そのほとんどを前面にあるグリルから取り込み、ボンネットから上方に排出していかなければなりません。
決して大きくないグリルから空気を取り込み、各部に最適な空気を送り込むには工夫が必要です。さらに、取り込むだけでなく上手にインタークーラーやラジエターにしっかり空気を当てて、その後空気を綺麗に抜いていことが冷却問題と空力に大きく関係していきます。
エンジンをEG33ツインターボにしたことで、エンジンレイアウトも従来から大きく変更されており、その際にエンジンの冷却がじつは懸念点だったと小澤総監督は明かしてくれました。
そのため、このレースのない3カ月を使い、新ボンネットを開発し、インタークーラーやラジエターの配置なども見直しています。実走テストはスーパーGTのルールでできませんので、CFDなどの解析を行い、冷却効果が得られているとのことです。
空力に関しても若干の向上は見込まれそうですが、ドライバーの山内選手は「そんなに感じられなかった」とのことでしたので、空力に関しては大きな変更はなさそうです。
懸念点だった冷却を見直したことで、真夏の富士に挑みトップチェッカーを狙うはずでした。
しかし、土曜日に行われた練習走行ではなかなか思うようなセットアップを見つけられません。それでもさまざまな手段を使ってタイムを伸ばしていき、全体の8位付近のタイムを計測していきます。
午後に行われたQ1予選には山内選手が挑むことになります。これはQ1予選落ちを回避したいというチームの思いからでした。山内選手はQ1B組で出走し、5位でQ1予選を通過します。
その後のQ2では、井口選手が山内選手からのアドバイスと少しのセットアップ変更を行ったマシンで挑みます。山内選手が出したタイムよりも上まわりましたが、予選結果は12位になりました。
そして迎えた日曜日の決勝。真夏の太陽が照りつけ応援に来たファンも汗だくな状態でした。ピットウォーク終わりにイベント広場でファンによる決起集会も行われ、熱い応援を行いました。
決勝前20分間のウォームアップ走行で最後のセットアップを確認します。そしてグリッドに整列して戦いの瞬間を待ちます。グリッドに整列したあとに最後の調整をメカニックを行っていました。
約1時間のグリッドウォークの最中に雨が降り始めます。この雨は短時間で富士スピードウェイを抜けていくことが雨雲レーダーを見てもわかります。
しかし、ドライタイヤで走るのかウエットタイヤに変更するのか、全チームが悩み、タイヤ交換をするかしないかでバタバタした時間が過ぎていきます。
スバルBRZはウエットタイヤで走行することを決めます。ライバル勢は全員ドライタイヤを選択しており、スバルとしては賭けにでた状態です。
そのまま雨が降りはじめればウエットタイヤを選択したことが有利に働くでしょう。今回は通常のパレードラン・フォーメーションラップからのスタートではなく、セーフティーカー(SC)の先導でいきなり66周のレースがスタートしました。
まさかのバーストで不完全燃焼
SCランが始まる前に雨は止み、太陽によって熱せられた路面は急速に乾いていきます。SCランが3周行われていくとみるみる路面が乾いてドライタイヤでも十分に走行できるほどになります。
スタートを務める井口選手も「ドライタイヤでいけると強く進言できるまでの自信はなかった」といいます。それほど微妙な状態でのスタートでしたが、スバルBRZは残念ながらタイヤ選択に失敗してしまいました。
その後、SCランが終了したレーススタート時にGT500クラスで大クラッシュが発生してしまいます。クラッシュしたドライバーも無事であり、クラッシュの後ろを走っていたマシンも巻き込まれなかったのは不幸中の幸いでした。
レースはすぐに赤旗中断。ホームストレートで整列して再開を待ちます。その際に作業を行うことはできませんので、もちろんタイヤ交換もできません。
チームはレース再開後すぐにピットに戻してタイヤ交換を行う作戦にします。クラッシュの処理が終わり、ふたたびSCランが行われている最中にスバルBRZはピットに戻ってタイヤ交換を行い、車列の最後尾に並ぶこととなります。
その後の天気は晴れ。井口選手は猛然と追い上げていきますが、25周目にタイヤが厳しいと判断してピットに戻り後半を山内選手に託します。
山内選手は猛追モードでどんどん順位を上げていき、16位付近まで順位を上げました。しかし、レース終盤になるとマシンに違和感を感じ始め、直後に左フロントタイヤがバースト。約1周近くゆっくりとコースの端を走ってピットに戻ってきました。
タイヤ交換をとマシンチェックを行い、コースに復帰しますが28位まで後退。そのままレースは終了しました。
レースを終えた井口選手は、「激しい雨の状態だったのでドライでは厳しかったと思います。SC中もまわりのマシンもグリップしていないように見えました。SCが3周行ったときに急に乾いてきてこれだと難しいかもという感じはありました。自分もドライで走れるとはいい切れない状態だったので難しい判断だったと思います。マシンもセットアップが合わせ込めない状態でしたので、厳しい戦いになってしまいました」と悔しさを滲ませていました。
山内選手は「トップとのタイム差を考えるとグリップ力を含めていろいろ足りていないのかなと思います。タイヤのバーストに関しては突然で予兆はなかったです。僕らのまわりでは多くの方がサポートしてくださっています。結果で返すことができないのが本当に心苦しいです。チームのみんなも諦めずにもう1回見つめ直して頑張るしかないと思っていますので、笑顔で応援してもらえるように頑張りたいと思います」と語ってくれました。
小澤総監督は「懸念点だった冷却に関しては、今回の暑さでも問題ないく、しっかり機能してくれたと思います。セットアップの方向性も決まって、10位前後のタイムが出ていたので悪くなかったと思います。決勝のタイヤ選択は失敗でした。グリッド周辺はちょっと危ないかなというくらいのレベルでした。ほかがドライタイヤでしたし、SCで走るのなら、まわりに合わせておくべきだったかもしれません。レースペース自体も悪くはなかったと思います。最後のバーストに関しても予兆はなくて突然でした。ダンロップさんとも共有しながら対策を考えていかなくてはなりません」と語ってくれました。
第2戦富士でトラブルが起きた箇所の対策も行われてきて、万全の体制で挑んだ第4戦富士。しかし、またしてもトラブルが発生し、全体的にタイムも伸び悩んでいます。次戦は8月22~23日に鈴鹿サーキットで300kmレースが開催されます。短い時間のなかで対策を行ってレースに挑むこととなりますが、活躍に期待しましょう。
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みんなのコメント
しかし今回はBRZだけでした。
結局他チームは対策できたのにスバルは出来なかったということだ。
5月に見せたぶっちぎりの予選の速さも潜めてしまった。
迷走と苦難は続くが浮上することに期待して見守りたい。