レーザー溶接70m
: ボディ剛性の高さを実感したく乗ってきました。
屋根を叩くとコツコツという音、高張力鋼板の力か余計な音がしない。窓を開けて重い
2010.6.5
- 総評
- レーザー溶接70m
: ボディ剛性の高さを実感したく乗ってきました。
屋根を叩くとコツコツという音、高張力鋼板の力か余計な音がしない。窓を開けて重いドアを閉めるも、全く余計な音がしない。ドア以外が揺れないイメージだ。
エンジンをかける。国産高級車のように遮音が完璧というわけではなくエンジン音もそれなりにしてくる。が、振動を感じない。ビビり音は皆無だ。この辺りもガッシリ感が伝わる所だ。
走り出す。エンジンのピックアップが気持ちいい。アクセルを踏んでも思い通りの加速が得られないCVTと違い、駆動ロスがより少ないDSGのせいか、思い通りの(感覚的には思った以上の)加速を楽しめた。
床からのロードノイズはそれなりにしてくるが、その音は小さく不快になることはない。返って路面の状態が伝わるのでプラスに感じられた。ボディが堅いイメージ。
段差を越えた時、不快な音や振動は少ない。堅く容量の大きいサスペンションのせいもあろうが、これこそが高いボディ剛性の成せるわざであろう。また交差点を速めに曲がった時も車体の傾きの少なく運転を楽しくさせてくれそうだった。
1.8mにならんとする全幅に抵抗はあったが、初めて乗る私にも乗りやすく、道路状況のせいもあろうが、乗りにくいことはなかった。ただし、この後乗らせていただいたPOLOと比べ、センターライン寄りに走らせていたことも事実だ。つまり、広い全幅を意識せざるを得ず、中央寄りを走りたくなってしまうのだ。
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- 満足している点
- ○高いボディ剛性。
これを確保するために、VWは実に70mものレーザー溶接をやってのけた。普通の車はスポット溶接。鋼板と鋼板をつなげる時、普通は点々(スポット)と溶接していく。しかしVWはこれを線で溶接する。2つの鋼板をつなぐ部分が圧倒的に多い。どちらが頑丈かは素人でもわかる。点ではなく線で支えた方が、強く、金属疲労も少ない。この「点」ではなく「線」で溶接していくやり方、かつては三菱コルトラリーアートでもあった(シーム溶接と言われた)が、コストがかなりかかり(普通の溶接機ではできない!)、採算がとれなかったのか、復活したラリーアートではスポット溶接に後退してしまった。目に見えないところにお金をかけたがらない日本車ではなかなかできない技であろう。
ゴルフの最大の長所はここにあると思った。
○滑らかな加速
DSGの滑らかな加速感はATに対するアドバンテージであろうが、一番はそのエネルギー効率、ATはもちろん、CVTもギア比は幅広く取れるが、ギアを滑らしたり、駆動ベルトを抑えつけるために常にエネルギーを使わなければならず、実はエネルギー効率が悪い。
ただし、DSGが万能かというとそうではなく、構造が複雑で高価で重い。やっぱり私的には軽量コンパクトで安価でエネルギー効率が高いMTがいい。
この車はターボ付きだが、ピックアップがよく、アクセルを軽く踏み込んだ瞬間から心地よい加速が得られる。
○実用燃費
これはセールスマンの話だが、実用燃費は13~14㎞/Lだそうだ。結構いい。アクセル開度が少なくDSGを採用しているあたりが、そのわけであろう。
○高い安全性
受動・能動安全性がともに高い。VSCや各種エアバッグ、良好な視界(Aピラーの死角は4度、唯一斜め後方視界が低いか)が確保されている。特に、事故を起こさない0次安全性をとても高いと思われる。短時間の運転であったが、この車は余計な振動や音がなく洗練されていて、加速や減速方向転換の全てが自分の想像通りなので、疲れにくいことが容易に想像できる。疲れて集中力が切れることが安全性では最も怖いと思う。
○ディーラーの対応
丁寧な対応がうれしかった。車の良し悪しとは直接は関係ないが、ユーザーになる場合は、よりよいカーライフを送る上で大切な条件になるだろう。
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- 不満な点
- ▼全幅
1790㎜、デカイ!普通のセンターラインのある道ならばなんの問題もないが、路肩に駐車車両などあろうものなら、とたんに左ドアミラーがぶつからないか意識してしまう。慣れれば、もっとぎりぎりまで幅寄せができてすり抜けなどしやすくなろうが、軽より30㎝広い車幅、パッソに乗っていた人が車幅2m弱のランクルに乗るような感覚に近い。1㎝幅広でも通れない時には通れない。まだまだ狭い道の多い日本には合っていないと思う。
▼値段
ベーシックグレードで257万円。このレビューでよく比較されるトヨタマークXが最廉価バージョンで238万円。上のGタイプでも値引きを考えれば十分に買えよう。FFだと日産ティアナが255万円から買える。私は同じ値段ならゴルフに軍配を上げるが、価格競争力が弱いのは事実だろう。
▼POLOの存在
実は、ゴルフの後、ポロのTSIにも乗せていただいた。これがまたとてもいい。ゴルフの良さはそのままに、上に挙げた短所はかなり改善されている。使い回しがよく、値段も安く、燃費もいい。実は強力なライバルは身内にいたのだ。
◎結論
目に見えないところはできる限りコストカットされる日本車。これは何も日本のメーカーだけが悪いわけでない。ゴルフを評価できない国民性がメーカーに方向性を示したともいえる。売れない車は作れないのである。
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- デザイン
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- 走行性能
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- 乗り心地
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- 積載性
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- 燃費
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- 価格
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- 故障経験