トヨタ RAV4 「ハイブリッドにはない「ダイナミックトルクベクタリングAWD」という魅力」の専門家レビュー ※掲載内容は執筆日時点の情報です。

西川 昇吾
西川 昇吾(著者の記事一覧
自動車ジャーナリスト
評価

5

デザイン
5
走行性能
5
乗り心地
5
積載性
4
燃費
4
価格
5

ハイブリッドにはない「ダイナミックトルクベクタリングAWD」という魅力

2022.7.20

年式
2019年4月〜モデル
総評
アメリカ市場を主としたモデルなので、日本では少し大きいと感じてしまうかもしれないが、それが気にならないのであればSUVの購入を検討するすべての人にオススメしたいモデルだ。確かにボディサイズは小さくはないが、スクエア基調のボディデザインと大きな窓で車幅感覚もつかみやすいので、乗って見ると想像以上に運転しやすいという隙が少ないモデル。また、ガソリン車を選ぶ理由として値段だけでなく4WDシステムというポジティブな要素があるのもいい。あらゆる場面で安心したドライブを楽しみたいならば、ハイブリッドでなくこちらもぜひ検討して欲しい。
満足している点
これはハイブリッドも同様だが、高い総合性能を持ちながらしっかりと個性を演出できるクルマに仕上がっている点が良い。確かにオフロードやアウトドアといった印象が強い現行RAV4だが、乗り心地も良く燃費性能もソコソコなので、シティユース中心のユーザーにもおすすめできるモデルだ。そんなそつなくこなす優等生な部分もありながら、個性を演出できるデザインを持っている。さらにガソリン車ならではの魅力と言えるのが4WDシステム。この4WDシステムのことを考えると、豪雪地帯やウインタースポーツでの雪道走行が多いという人にはあえてガソリン車を勧めたい。
不満な点
正直欠点はあまり見受けられないとも思うが、強いて言えばラゲッジスペースの汎用性といったところだろう。裏面が樹脂のリバーシブルデッキボードなど、現在でもアウトドアシーンでの使い勝手が良い面もあるが、ラゲッジスペースにフックを追加したりリアシート背面も樹脂素材にすれば、もっとアウトドアシーンで使える「ギア」となるはずだ。またシートの可倒を現在の6:4からヤリスクロスのように4:2:4にするというのも面白いかもしれない。
デザイン

5

オフロード向けSUVの王道デザインを各所に採用しながらも、灯火類やグリルのデザインで先進性やイマドキ感を出しているのは素晴らしいと感じる。また、インテリアデザインに関してはグローブを着けたアウトドアシーンでも操作しやすいような工夫がなされていて、アウトドア「ギア」な印象と機能性を上手く両立している。特に当初はガソリン車専用グレードとして登場したアドベンチャーのギア感が強い。個性を演出したいならばオススメのグレードだ。
走行性能

5

これまでのクルマの感覚で言えば、全高の高いSUVとは思えないほどコーナリングが気持ちいいと感じる。剛性が高いTNGAプラットホームやドライビングポジションの取りやすいテレスコピック、電動パワステのセッティングなどがこのフィーリングを実現するのに大きく寄与しているだろう。またガソリン車の魅力として、世界初の4WDシステム「ダイナミックトルクベクタリングAWD」が挙げられる。前後と後輪の左右トルクを独立制御してくれるため、あらゆる場面で安定しているのはもちろん運転の楽しさもある。この4WDシステム目当てで、あえてガソリン車を選ぶのもアリと言える。
乗り心地

5

このクラスのSUVとしてはかなり優れた乗り心地だと思う。理由としては剛性が高いTNGAプラットホームやオフロード性能も加味したストロークのあるサスペンションなどもあると思うが、扁平の高いタイヤを装着しているというのも大きいだろう。路面からの入力が伝わる感触も柔らか、かつ振動の収束もマイルドで早い。近年の他のシティ系SUVと比べるとロール感はあるものの、大きすぎて不快というレベルではない。ハイブリッドモデルよりも軽量なため乗り心地の面ではこちらが良いと思う人もいるかもしれない、ソフトな乗り心地のSUVが欲しいならば検討してほしい1台。
積載性

4

ラゲッジスペース容量はクラストップレベルの580Lとなっていて、積載性は高い。デッキボードも裏面は樹種になっていて、汚れが落としやすくアウトドアシーンでも重宝すること間違いなしだろう。そのほか各種インテリアの収納もデザイン同様、使い勝手と「ギア」感にあふれた印象となっていて良い。ただ、ラゲッジスペース床下の収納スペースが少ないことや、ラゲッジスペースにフックがないことを考えると、アウトドアシーンでの使い勝手を向上させるにはもう一工夫ほしいというのが本音。しかしこれは欲を言えばなレベルである。
燃費

4

日本市場では比較的大柄なSUVで純ガソリンエンジンということを考えると、4WD車でWLTCモード15.2km/Lという燃費性能は優れていると思う。もちろんハイブリッドモデルには敵わないが、低回転からトルクフルなエンジンは不用意にスロットルを開ける必要もなく、燃費走行も少ないストレスで出来るのが嬉しいポイントと言える。トヨタ車でハイブリッドが用意されているとそちらに目が行きがちだが、燃費的に見てもガソリン車が「無し」という選択になることはないはずだ。
価格

5

コンセプトが異なるため直接的に比較するのは違うと思うが、同じトヨタ内で基本的に同じメカニズムを搭載したハリアーに比べるとかなりお買い得に見えるのは事実だ。各種機能も充実していて、トヨタのラインアップの中でもトップクラスに優れた4WD制御システムが備わっている。走りと室内の質感も上々でサイズ感もソコソコ、そんなSUVが約350万円で購入できるのは比較的リーズナブルと言える。エントリーグレード以外は価格はほぼ横並びといっていいので、好みによってグレードを選ぶ楽しさもある。
西川 昇吾
西川 昇吾
自動車ジャーナリスト
1997年生まれ、大学時代から自動車ライターとしての活動をスタート。現在はWEB・紙の各種媒体で様々なジャンルの記事を執筆するほか、車両解説動画にも出演し、喋りの分野にも挑戦中。愛車のマツダ・ロードスターで定期的にサーキット走行をし、ドラテクの鍛錬も忘れない、目指すは「書けて、喋れて、走れるモータージャーナリスト」
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