トヨタ GRヤリス 「AT免許でもGRの走りが楽しめる」の専門家レビュー ※掲載内容は執筆日時点の情報です。

AT免許でもGRの走りが楽しめる

2024.11.26

年式

2024年4月〜モデル

総評

2024年3月にマイナーチェンジを実施。内外装デザインをより機能的に改良し、搭載されるG16E-GTSユニットのパワーアップに加え、8速ATを新設定した。さらに走行関連のメカも見直されるなど、見た目には大掛かりな変更はなくても中身は大幅な進化が見受けられる。

満足している点

デザインは好みの分かれるところだが、フロントマスクについては以前のほうが野性味があったように思う。新型は強度と軽さを高めつつ、補修性も考慮されたバンパーを採用。それでいてデザインもまずまず洗練されている。走行性能についても大幅なアップデートが行われており、とくにスポーツ走行でその違いを感じることが出来る。

不満な点

改良でシート位置は従来型よりも25mm低く設定出来るようになったが、個人的にはさらに下げられるようにしたい。また、奥側に移設されたルームミラーが映し出す後方視界が狭く、とくに遠方の状況が確認しにくい。遠くから追いかけてくる（？）緊急車両などが見やすくなるように、より視認性を高めてもらいたい。

デザイン

4

マイナーチェンジではフロントまわりのデザインをリニューアルしてバンパーの開口部を拡大。さらにバックランプとハイマウントストップランプをテールランプに移設して左右をつなげたデザインに。これにより、ルーフスポイラーやバンパーが交換しやすくなった。メーターも多彩な表現が可能な12.3インチの液晶タイプとなり、センターパネルをドライバー側に向けて操作のしやすい位置に変更した。

走行性能

5

注目の8速ATはトルコン式で従来のAT同様にDレンジでイージードライブも可能だが、フロアもしくはパドルシフトで自分なりの走りも楽しめる。エンジンはGRカローラと同じ304ps/400Nmに引き上げられ、ドライブモードをスポーツに切り替えるとアクセル操作に対してのレスポンスが明らかに向上し、シフトもクイックになるなど、一段と獰猛なGRヤリスに変貌する。ワインディングではどっしりと安定感の増した足まわり、正確性を増したステアリングが確かめられる。自分なりの走りが楽しめる6速MTもいいが、イージードライブが楽しめ、時にパドルシフトを駆使したスポーツ走行が楽しめるATも魅力ある存在だ。

乗り心地

2

エンジンノイズやロードノイズは大きめ。3気筒エンジンは2000〜3000回転付近の実用域でいい音がしない。ボディ剛性の向上は乗り心地にも好影響を与えていると思われるが、路面の段差を越えた際の直接的な硬さはあり、乗り心地はお世辞にも褒められない。もっともGRヤリスはモータースポーツを念頭に置いて開発されており、快適性うんぬんといったモデルではない。

積載性

3

ラゲッジルーム容量は174リットルとヤリスよりも小さい。6:4の分割可倒式の後席シートバックを倒すと、タイヤ4本が収納可能なスペースが得られる。パーソナルユースとしてはこれで不満を感じることはないだろう。

燃費

3

8速ATのWLTCモード燃費は10.8km/L。1.6Lとしては物足りないが、GRヤリスに経済性を求めるのは酷というもの。しかし、高速道路では15km/L台を記録し（練馬〜沼田IC間）、上り勾配の多い一般道で9.1km/Lをマークするなど、走らせ方で燃費は変わってくる。

価格

4

RZハイパフォーマンスは6速MTで498万円、8速ATは533万円。6速MTは従来型と比べると車両価格は42万円も高くなったが、マイナーチェンジの内容を踏まえると妥当な値上げのようにも思える。