スズキ クロスビー 「走る喜びよりも燃費を求めた」の専門家レビュー ※掲載内容は執筆日時点の情報です。

工藤 貴宏
工藤 貴宏(著者の記事一覧
自動車ジャーナリスト
評価

4

デザイン
5
走行性能
3
乗り心地
4
積載性
3
燃費
4
価格
4

走る喜びよりも燃費を求めた

2026.1.14

年式
2025年10月〜モデル
総評
ビッグマイナーチェンジしたクロスビー。デザインだけでなくパワートレインもインテリアも先進安全機能も、さらに言えば電子プラットフォームも刷新されて今回の変更は言うなれば「ボディ以外はフルモデルチェンジ」ですね(実際にはボディも補強なども手が入って進化している)。そんなマイナーチェンジの方向性をひとことでいえば「よりSUVっぽく」。新しくなった見た目からしてそうですが、これまでよりもSUVテイストが強まっています。そして「アリorナシ」でいえば、パワートレインを除けば大いに賛同できると思っています。個人的には。
満足している点
「ハスラーの兄貴分」といえるクロスビーがクルマとしていいのは、遊び心を持ったハイトワゴンだということ。普通のハイトワゴンだとあまりに実用的すぎるけど、クロスオーバーテイストに仕上げていることによって「所有すると毎日が楽しくなりそう」という気持ちにさせてくれます。それがクロスビーのもっともいい部分ではないかと。そんなキャラのおかげでライバルは不在ですしね。
不満な点
「実用性を考えればスライドドアのほうがいいのでは?」と思わなくもないですが、とはいえスライドドアも万能ではなく開口幅の狭さとか価格上昇とかいくつかのデメリットもあるので、そのバランスでいえばスイングドアを組み合わせた今のほうがいいのかもしれませんね。あと……今回のビッグマイナーチェンジ前と比べると、パワートレインに爽快感がなくなってしまったのがなんとも残念。燃費はよくなったのですが。
デザイン

5

クロスビーは従来モデルから遊び心のあるデザインだったのがいいところ。新型はその方向性を継承しつつ、フロントに厚みを持たせるなどSUVらしさが強調されましたね。新型も大いにアリだと思います。新しいデザインは内外装ともに、「マルから、カドの取れた四角へ」と感がえればわかりやすいでしょう。ヘッドライトもそうだし、真横から見たときのボンネットの形状もそうだし、インテリアではダッシュボードのデザイン(たとえばエアコン吹き出し口がマルから四角になった)だってそう。ちなみに室内は、上位グレード「ハイブリッドMZ」には従来なかったセンターコンソールが追加されました(電動パーキングブレーキのスイッチがそこに備わる)。これも「ハイトワゴンならではの実用性」から「SUVらしい包まれ感」へのキャラ変と考えれば理解しやすいですね。
走行性能

3

新型は乗り心地や操縦安定性はブラッシュアップされ、しっかりと進化しています。ただ、好みが分かれるだろうなと思うのがパワートレイン。先代は1.0Lのターボエンジン+6速ATでトルクがあり、また有段トランスミッションによる自然なフィーリングが魅力でした。スズキのATはロックアップ率が高く、まるでMTやDCTのようにアクセル操作に対するダイレクト感が高かったのでドライバビリティが極めて良好でしたね。ほんとうに気持ちよかった。しかし新型では1.2L自然吸気エンジン+CVTとなり、パワーが控えめになったしアクセル操作に対するダイレクト感も“フツー”に。といってもこのクラスだとごくごく一般的だし、燃費はよくなっているのである意味正しい変更なのかもしれません。ただ、運転好き視点で見ると運転感覚は“後退”であり、ちょっとさみしい気持ちです。
乗り心地

4

そもそもスズキのファミリータイプのクルマは乗り心地良好で、クロスビーもそこから外れていません。新型は車体剛性アップやサスペンションのリセッティングでさらにソフトライド感が増しましたね。比べると4WDモデルよりもFFモデルのほうが乗り心地がいい印象。
積載性

3

このクラスのクルマに何を求めるかで話が変わってくると思います。パッケージングが目指しているのは「小さい車体のなかでどこまで後席を広くするか」であり、ラゲッジスペースの広さは二の次。だからリヤシートを最後部までスライドするとラゲッジスペースはミニマムです。といっても軽自動車スーパーハイトワゴンの同じ状態よりは奥行きがありますが。ただし、シートスライドによって後席に人が座れる状態をキープしたまま荷室の奥行きを拡大できたり、左右独立でシートを倒せたり、アレンジのバリエーションは多め。そのおかげで実用性は高いと言っていいと思います。もちろん絶対的な荷室の広さなどは「ホンダ・フリード」や「トヨタ・シエンタ」などひとまわり大きなミニバンにかないませんが。
燃費

4

燃費がいいのはスズキ車に共通する美点(「ジムニー」や「キャリイ」など極めて少ない例外もありますが)。クロスビーだって悪いはずがありません。新型はパワートレインを総取り換えし、最新「スイフト」と同じタイプの1.2L 3気筒自然吸気エンジン&マイルドハイブリッド+CVTに進化。これまでライバル(このクラスの一般的なクルマ)を凌いでいた優れたドライバビリティと引き換えに、燃費を手に入れました。それは個人的にはちょっと残念ですが、世の中的にはきっと正義なのでしょうね。
価格

4

ベーシックグレード「ハイブリッドMX」はFFモデルで215万7100円から。200万円オーバーではありますが、決して「高い」という価格ではないでしょう。上級グレードの「ハイブリッドMZ」は239万300円。約15万円の価格差があります。個人的には、ひととおりの装備が備わるベーシックグレード「ハイブリッドMX」でいいかなという印象。
工藤 貴宏
工藤 貴宏
自動車ジャーナリスト
1976年生まれ。クルマ好きが高じ、大学在学中に自動車雑誌の編集部でアルバイトしたことをきっかけに、そのまま就職。そして編集プロダクションを経てフリーランスの自動車ライターに。日々新車を試乗し、日夜レポートを書く日々も気がつけば10年以上。そろそろ、家族に内緒でスポーツカーを買う癖はなんとかしないと。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員日本自動車ジャーナリスト協会会員
スズキ クロスビー 新型・現行モデル

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