スズキ eビターラ 「スズキ初BEVにしてトヨタとの共同開発車」の専門家レビュー ※掲載内容は執筆日時点の情報です。

西村 直人
西村 直人(著者の記事一覧
交通コメンテーター
評価

3

デザイン
4
走行性能
3
乗り心地
4
積載性
4
燃費
3
価格
4

スズキ初BEVにしてトヨタとの共同開発車

2025.7.26

年式
2026年1月〜モデル
総評
スズキ初の量産型BEV(電気自動車)である「eビターラ」の特徴は、「扱いやすいボディサイズ」「二度見したくなるデザイン」「想像を上回る上質な走り」にある。だから、その予定はないもの、仮にBEVでなくとも成功すると思える。全長4275mm、全幅1800mm、全高1640mm、ホイールベース2700mm、トレッドは前後とも1540mm、タイヤサイズは225/55R18。車両重量は最軽量モデルの「X」で1700kg(FF方式の49kWh)〜1890kg(「Z」4WDの61kWh)まで。乗車定員は5名。
満足している点
eビターラはBEVとしてスズキの電動化車両を象徴するモデルとしてグローバル市場で販売される。少しコンパクトで扱いやすいボディサイズのBEVを待っていた潜在的ユーザーには相当、魅力的に映るだろう。前輪に駆動モーターをもつFFモデルのほか、後輪にも駆動モーターをもつ4WDモデルを用意し、二次バッテリーは安全性が高いと評価されている中国の自動車メーカーBYDから供給されるLFPタイプで、総電力量49kWh(FF/4WD)と61kWh(4WDのみ)がある。
不満な点
BEVは一般的に価格が高額になりやすい。バッテリー、インバーター、モーターといずれも単価がかさむからだ。eビターラはどうか気になるところ。プロトタイプに試乗した限りでの不満点は数少ないが、せっかくスズキ初の量産BEVであるならば、流行で失敗の少ない都市型SUVモデルではなく、ジムニーの系譜を感じさせるクロスカントリー要素があっても良かったと思う。それこそジムニーがそうであるように、唯一無二の素材となればそれだけで強い。
デザイン

4

筋肉質だが細マッチョ的なまとまり感のシャープさがあり好印象。ボディサイズはコンパクト〜ミドルクラスの中間に位置するから、日本の道路環境でもまとまり感が際立つ。車内は攻めた造形だ。シフトダイヤルまわりは平面として光の反射を活かしている。エアコンの吹き出し口は縦型とし、さらに立体造形で奥行きを見せた。またシフトダイヤル本体も押す/回すが整理され、手触りも良い。
走行性能

3

モーター出力は駆動方式と二次バッテリー容量で異なる。FFの49kWhは106kW、61kWでは128kW。4WDになると前128kW/後48kWになる。前輪と後輪のモーターの中身は同じで、後輪は前後を逆に配置して冷却系を専用設計し可能な限りコストを抑えた。プロトタイプでサーキット試乗のため公道とは印象が異なるが、モーター制御そのものはとても緻密ながら、61kWのFF(車両重量1790kg)と4WD(同1890kg)ではそれほど速さを感じない。
乗り心地

4

滑らかな走りで評価すれば5点。ただし、サーキットで右に左に急カーブするような場面では3点。端的にソフトで腰のある乗り味なので、車体のロール(_横揺れ)が時として大きく感じられるためだ。ただし、公道での評価となれば良くなるだろうとの考えから4点とした。乗り味を高めているのはタイヤのパターンノイズによる各種のロードノイズが少ないこと。このクラスでは間違いなくトップランクの上質さだ。
積載性

4

ボディ全長4275mmからすれば十分なラゲッジルームの広さだ。ラゲッジルームのフロア長は675〜835mmで後席は4:2:4の分割可倒式を採用。BEV専用に開発したプラットフォーム(車体の土台)「HEARTECT(ハーテクト)-e」により、後輪モーターの目立った張り出しもなくフロアの高さもそれほど高くない。ラゲッジルームサイドも突起物がないことから使い勝手はかなり良い。前席周囲にも収納スペースが多数設けられている。
燃費

3

BEVなので電費性能がその指標になる。FF方式で二次バッテリー容量49kWhモデルが400km以上。FF方式で二次バッテリー容量61kWhモデルが500km以上(4WD方式の場合は450km以上)との発表だ。これはプロトタイプの目標値であり、実際のカタログ値ではもう少し伸びると予想する。ちなみに充電に掛かる時間は49kWhの場合ACで約8.5時間(6kW)〜約15時間(3kW)、DCで約45分(90kW)〜約55分(50kW)。61kWhの場合 ACで約10.5時間(6kW)〜約22時間(3kW)、DCは49kWhと同じで約45分(90kW)〜約55分(50kW)。
価格

4

現時点、発売前なので当然ながら価格の発表はない。とはいえ、いくらリーズナブルな価格設定が強みのスズキとはいえ、原価の高い、しかも新設計のBEVを安価にはできないだろう。もっともeビターラはトヨタへ別デザインとして供給されることが公表されているので、eビターラは戦略的に価格競争力を強める可能性も考えられる。補助金などを勘案して300万円台に収まるかどうか。気になる発売時期だが、2025年夏頃から欧州、インド、そして2025年度中に日本でも販売がスタートする。
西村 直人
西村 直人
交通コメンテーター
WRカーやF1、MotoGPマシンのサーキット走行をこなし、4&2輪のアマチュアレースにも参戦。物流や環境に関する取材を多数。大型商用車の開発業務も担当。国土交通省「スマートウェイ検討委員会」、警察庁「UTMS懇談会」に出席。自動運転技術の研修会(公的/教育/民間)における講師を継続。警視庁の安全運転管理者法定講習における講師。近著は「2020年、人工知能は車を運転するのか」(インプレス刊)。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員日本自動車ジャーナリスト協会会員
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