日産 リーフ 「世界に影響を与えた量産型BEVの3代目」の専門家レビュー ※掲載内容は執筆日時点の情報です。

西村 直人
西村 直人(著者の記事一覧
交通コメンテーター
評価

5

デザイン
4
走行性能
4
乗り心地
4
積載性
4
燃費
4
価格
4

世界に影響を与えた量産型BEVの3代目

2025.11.1

年式
2025年10月〜モデル
総評
量産型BEVが3代目になった。ハイライトはWLTC値で702㎞の一充電走行可能距離だ。78kWの大容量バッテリーと、徹底したバッテリーのサーマルマネージメント(温度管理)技術、さらには大きく向上させたモーター制御技術が主な達成要因。画像では大きくなったように思えるボディだが、じつは2代目から120㎜も全長は短くなっている。最小回転半径は5.3mと高い取り回し性能はそのままに、車両重量も1880〜1920kgに抑えた。
満足している点
車両重量を2t以下に抑え、全高も1550㎜(ProPILOT2.0装着車はシャークフィンアンテナが要因となり1565㎜)にとどめた。全幅は1810㎜だ。こうしたことから都市部に多い収納可能なボディサイズに制約のついた立体駐車場への入庫がすんなりと行える。また、カタログ値ながら700㎞以上の航続可能な走行距離があるため、真夏/真冬などバッテリー消費が増える季節であっても500㎞程度、さらにゆとりをもって見積もっても450㎞は充電を気にせず走行できる。
不満な点
このパッケージングでBEVを成立させるとなれば3代目リーフはあらゆる面で理想的だ。実際の車両本体価格にしても5,188,700円〜と、性能からすればグッと抑えた。不満点はリーフとしてではなく全BEVに対して。これだけ多額の補助金制度(リーフのCEV補助金は89万円で東京都住まいなら最大で75万円)がなくった(終了した)時にBEVの真価が問われる。どのBEVも乗ればすばらしいが、補助金によって車そのものを正しく判断できなくなっているのも事実。CO2排出を抑制するSDGsの名のもとに走行時のCO2排出のないBEVを普及させるのであれば、車両価格の30%近い補助金は見直すべきだろう。
デザイン

4

デザイン評価軸には3通りあると思う。一つ目が見た目。文字通り、外観や内装の見た目だ。美しい、かっこいい、思わず触れたくなるそんなデザインが好まれる。二つ目が操作感。ボタンの並び、押した際の感触など。そして三つ目が、機能の階層だ。リーフは12.3インチのTFT液晶を備えるが、その画面をタッチした際の動きや機能の階層が肝要。HMIとも深く関わっている。リーフのデザインは以上3つの領域でとても好ましい。強いていえば物理ボタンのサイズが小さい。プッシュ式のドライブセレクターだけでも一回り大きくなるといいなと思う。
走行性能

4

プロトタイプをクローズドコースで走らせた感覚だが、競合車と比較して抜群のコーナリング特性をもっている。リーフは初代から繊細な加減速となるよう駆動モーターやインバーターの制御を緻密に行っていたが、3代目リーフは従来型で唯一の不満点であったコーナリング性能を格段に向上させてきた。「B7 X」グレードが18、「B7 G」が19インチのタイヤをそれぞれ装着するが、19インチの足まわりはスポーツモデルといえるくらい高い旋回性能を秘めている。
乗り心地

4

18インチタイヤを履くB7 Xグレードはとてもしなやか。前席だけでなく後席でも突き上げが少なく快適だ。遮音性も高い。BEVだから静かなのは当たり前だが、3代目リーフでは2019年に「音響メタマテリアル」として技術発表していたハニカム構造の遮音材を日産の量産車として初めて採用した。一般的な遮音材と比較して1/4の重量で、透過損失(_遮音効果)は7倍に。これをラゲッジフロアボードに採用したことで、静かなBEVが強烈に静かになった。
積載性

4

フレキシブルラゲッジボードを採用し、さらに広い床面積で積載性能を高めた。また、開口部下側の拡大により、重い荷物や大きくてかさばる荷物の赤誠性能も向上した。実際のサイズも大きくなった。従来型のラゲッジルーム最大幅が1011㎜であったのに対して、3代目リーフは1100㎜を確保。前後長さは789㎜→861㎜へと拡大させた。これは、いずれも後席に乗車した際の値。
燃費

4

公道試乗はこれからなのでカタログ値からの評価にとどまるが、702㎞の航続可能距離は初代リーフの3倍以上。ここまでくると長距離移動も不安なくこなせる。さらに、8年後/16万km走行後でも大きな航続距離の変化がなく、充電の仕方、走行の仕方など使い方による劣化への影響が小さいことも3代目リーフの特徴。緻密なバッテリー温度管理で冬場も夏場も安定した充電量が確保できる。
価格

4

B7 Xが5,188,700円、上級グレードのB7 Gが5,999,400円。ここからCEV補助金89万円で、さらにエコカー減税、48,500円、自治体として例えば東京都だと最大で75万円。皮算用だが実質支払額は350万円台となる。2026年2月頃にはバッテリー容量を55kWhへと小さくした「B5」グレードも追加される。車両本体価格は400万円台なる可能性は十分にある。
西村 直人
西村 直人
交通コメンテーター
WRカーやF1、MotoGPマシンのサーキット走行をこなし、4&2輪のアマチュアレースにも参戦。物流や環境に関する取材を多数。大型商用車の開発業務も担当。国土交通省「スマートウェイ検討委員会」、警察庁「UTMS懇談会」に出席。自動運転技術の研修会(公的/教育/民間)における講師を継続。警視庁の安全運転管理者法定講習における講師。近著は「2020年、人工知能は車を運転するのか」(インプレス刊)。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員日本自動車ジャーナリスト協会会員
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