ホンダNーBOXはかなり全高が高いですが、こういった車は横転するってことはありませんか？

Question

かつて開発中のメルセデスベンツAクラスが横転したように。

Answer 1

車高の高いクルマでの横転は，下記の3つが重要です。

(1) 重心点の高さ
(2) 横方向の断面面積
(3) ロール角

●旋回時の転倒条件は？
下記の式で決まります。

重心点の高さ ＞ 旋回時の半径 × トレッド × 重力加速度 ÷ （2 × 速度の2乗）

この式から，転倒しやすいのは？

半径が小さい
トレッドが小さい
速度が高い

という場合になります

●軽自動車の重心点高さは？
軽自動車は，基本的にFF駆動でタイヤ直径が小さいため，エンジンおよび駆動系は非常に低い位置です。軽自動車のミニバンタイプも高さは高くても，エンジンなどの重量物は，ハッチバックタイプ（N ONEなど）とほぼ同じレイアウトなので，重心点高さは大きく変わりません。だいたい500mmくらいです。
ちなみに20年前のカローラ（車高が低い）と現在のプリウス（車高が高い）では，重心点の高さは，40mmくらい異なります。

●横方向断面積は？
時々，突風時に横転しているのは，大半が大型トラックです。これは車両の横方向に受ける受圧面積がたいへん大きく，横方向の風圧に対して大きな力を受けるからです。たとえばN-BOXは，N-ONEより約10%大きな受圧面積（横風に対して）をもっています。

●N-BOXは大丈夫か？
N-BOXで，たとえば風速20m/sの横風を受けると，横方向に264kgfの力が働きます。これはN-ONEより約11%大きくなります。一方，道路構造令（道路設置の法律）によると，車速40km/hの道路では，旋回半径の最小は50mです。なお「50m」はやむをえない場合の最小値であり，一般には60m以上が推奨されています。
さて，半径50mで，車速40km/hであれば，N-BOXが受ける遠心力は，一名乗車時，252kgfです。これは上記の横風20m/sとほぼ同じ大きさです。ただ旋回時の遠心力が徐々にかかるのに対し，横風は，突発的におそう（トンネル出口など）ことが多く，十分，注意することが必要です。
一般に転倒時は，この両方がかかることが多く，風の強いときは，旋回速度を落とすのが当然であることがわかります。
もしN-BOXで，N-ONEと同じような横風抵抗で済ませるためには，上記のような場合であれば，車速を3km/hくらい遅くする必要があります。
ただN-BOXは，運転席がN-ONEより高く，運転者が感じるロール感は大きくなります。このため大きなロール時には自然に速度が遅くなるのが一般的です。

●ベンツのAクラスは？
ベンツのAクラス（初代）での転倒原因は，重心点の高さが原因のひとつでした。これは，車両前後寸法を小さくするため，車両衝突時，エンジンが車室下部にもぐりこむ構造をとりました。このため車室内下部にスペースを設けました。乗員のシート位置は他車より約20cm高くなりました。なお車室内下部スペースは，衝突時のエンジン収納用だけではなく，当時，考えられていた燃料電池駆動源のスペースあるいは電気自動車の電池のためでもありました。
しかし燃料電池自動車は失敗し，電気自動車も電池の容量不足で実現しませんでした。結局，重心点の高さだけが残る形になり，転倒が増えたのです。この転倒事件が契機になり，ESP（ESC横滑り防止装置の商品名）が普及するきっかけになりました。

簡単ですが，ご参考になれば幸いです。

質問者からのお礼コメント

詳しい回答ありがとうございました。
Aクラスの横転がきっかけとなってESPが普及するようになったんですね。目から鱗です。
回答ありがとうございました。

Answer 2

まぁいまは突風とかありますからね。
被害受けやすいのはたしか。

Answer 3

以前教習官の方がワンボックスは安定性がかけると言っていました。
セダンより車高が高いというのもありますが、スピードを出さずに安全運転しなければ、どれも同じだと思います。
学生の頃、堅物な物理の先生が、運転免許の資格は物理、運動学を取り込めないといけないと言ってましたね。