マツダ CX-60 「足回りを変更して乗り味を大幅に向上」の専門家レビュー ※掲載内容は執筆日時点の情報です。

西村 直人
西村 直人(著者の記事一覧
交通コメンテーター
評価

4

デザイン
5
走行性能
5
乗り心地
3
積載性
4
燃費
5
価格
5

足回りを変更して乗り味を大幅に向上

2025.3.23

年式
2025年2月〜モデル
総評
新規開発の直列6気筒エンジン、トルクコンバーターを用いない電子制御クラッチ制御の8速AT、後輪駆動ベースのプラットフォームなど数々の新規技術が織り込まれたCX-60。2列シートの5人乗りSUVとしてマツダが社運をかけたモデルだ。すでに多くのユーザーの手に渡り、高い質感と存在感あふれる内外デザイン、そして高い走行性能が評価されている。
満足している点
2022年の登場時、「本質はひとつ」とする考え方からマツダ流が随所に貫かれた。なかでも質感の高いインテリアは国内外から評価が高く、車両価格が2倍にもなる輸入車と互角の質感と上質な空間演出を誇る。直列6気筒3.3Lターボディーゼルは、MHVと通常タイプの2種類。実用燃費数値がすこぶる優秀で、激しい渋滞路以外はカタログ記載のWLTC値を簡単に上回る。
不満な点
最大の欠点は乗り味にあった。理論上、そして物理的にも正しいとする設計思想は、ときに実際の道路環境ではマイナス面が目立ったしまう。初期のCX-60はフラットな路面では申し分ない走行性能だったが、荒れた路面では後輪からの突き上げが大きく、同乗者の身体がやや強く鉛直方向へとゆさぶられていた。一部改良を受けた現行型ではずいぶんと改善された。こうなると初期ユーザーへのさらなる対応も考えたくなる。
デザイン

5

SUVは世界中で人気の車種だ。今やラインアップを持たないブランドを探すほうが難しい。CX-60はマツダの鼓動デザインを原点とした流麗なボディラインが特徴で、ボディパネルにしても光の陰影を活かすふくよかな立体デザインを採用。全高が高くなるSUVにあってCX-60のシルエットは群を抜いてすばらしい。FFモデルベースのCX-5とも異なり、ノーズは長くシャープな印象だ。インテリアにしてもボトムグレードこそ黒色一色ながら、中間以上のグレードではホワイトやタンカラーが選べる。
走行性能

5

主力となるのが直列6気筒3.3Lターボディーゼルだ。MHVモデル(254PS/550N・m)では電動モーターの出力&トルク(16.3PS/153N・m)こそ限られるが、発進時は明確なアシストが感じられる。また、変速時にもモーター制御を働かせてシフトショックの軽減を行うなど機構も高度だ。一方、素のディーゼル(231PS/500N・m)も十二分な性能をもつ。一部改良モデルではアイドリングストップ時からの再発進時に残っていた車体振動や始動音が大幅に減り、同時に8速ATとのつながりも良くなった。
乗り心地

3

わかりやすくカタいと評されていた初期型は、直後にリヤサスペンションまわりを中心に手が入れられた。そこでは改善こそみられたものの抜本的な策ではなく十分ではなかった。一部改良モデルでは、前後サスペンション(ダンパーとスプリング)の設定を細かく変更しつつ一部の部品を変更。また後輪側のスタビライザーを外してクルマのロール(横傾き)を自然に発生させるようにした。効果は大きく、前席/後席ともに乗り味にしなやかさが生まれた。
積載性

4

このボディサイズ(全長4740×全幅1890×全高1685、ホイールベース2870/単位はmm)の2列シート仕様なのでラゲッジルームは十分な広さだ。ラゲッジ部分の最大幅は1275mmと積み込み時の目安となる1250mmを超えるし、後席を使った5人乗りの状態でもラゲッジの最大長は975mm、最大高も817mm確保した。キーを持っているとバンパー下部に足を出し入れするだけでテールゲートの開閉ができるハンズフリー機能付パワーリフトゲートも装着可能だ。
燃費

5

WLTC値(FR/4WD)で各モデルの最大値(単位はkm/L)を比較する。直列4気筒2.5Lガソリン(14.2/13.1)。同PHEV(4WDのみで14.3)、直列6気筒ターボディーゼル(19.7/18.4)。同MHV(4WDのみで21.4)。MHVターボディーゼルは80km/h巡行で27km/L台、素のターボディーゼルでも25km/L台を記録。PHEVも17km/L台まで伸びる。こうなると、排気量に依存する自動車税の見直しを政府に訴えかけたい。
価格

5

2.5Lガソリンが326万7000円〜(4WDは349万2500円〜)。同PHEVが570万200円〜。ターボディーゼルが412万5000円〜(同4WDは435万500円〜)。同MHVが530万7500円〜。5点としたのはボトムグレード「25S S Package」の価格と装備のバランスだ。見た目こそ質素になるが、新開発のプラットフォーム、新8速AT、そして衝突被害軽減ブレーキにはじまる各種の運転支援技術が標準装備。走行性能にしても必要にして十分。
西村 直人
西村 直人
交通コメンテーター
WRカーやF1、MotoGPマシンのサーキット走行をこなし、4&2輪のアマチュアレースにも参戦。物流や環境に関する取材を多数。大型商用車の開発業務も担当。国土交通省「スマートウェイ検討委員会」、警察庁「UTMS懇談会」に出席。自動運転技術の研修会(公的/教育/民間)における講師を継続。警視庁の安全運転管理者法定講習における講師。近著は「2020年、人工知能は車を運転するのか」(インプレス刊)。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員日本自動車ジャーナリスト協会会員
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