レクサス LBX 「ときにはトップダウンのクルマづくりもいいものだ」のユーザーレビュー

Danny Wong Danny Wongさん

レクサス LBX

グレード:MORIZO RR_AWD(AT_1.6) 2024年式

乗車形式:試乗

評価

5

走行性能
4
乗り心地
4
燃費
2
デザイン
4
積載性
3
価格
3

ときにはトップダウンのクルマづくりもいいものだ

2024.11.30

総評
通勤用ISの乗り換え時期のため、NX、UX、素LBX、そしてこのMORIZO RRと、ディーラーでそれぞれ半日〜1日ずつ借りました。言うまでもなく一番気になったのがこのモリゾーさんです。

LBXのBXは「ブレイクスルー・クロスオーバー」だそうですが、このモリゾー版に至って、LBXはレクサスの中の人達の定義していた字義以上に「クロスオーバー」=複数の要素の両立を達成したように思います。

本来は食い合わせの悪い、矛盾を孕んだ要素を欲しがるわがままユーザーは一定数います。
「高級車に乗りたいけど、デカいのは嫌」
「スポーツカーに乗りたいけど、車高が低いのは嫌」
「趣味性の高い車に乗りたいけど、信頼性が低かったり気を使わされるのは嫌」

メーカーは既存のセグメントの半ば規格化された雛形に沿って車のパッケージングを考え、ユーザーもそんなパターン化された横並びの選択肢の中から気に入ったものをひとつ選ぶ、という車の買い方を我々は素直に受け入れていて、上述のような異なる要素の「クロスオーバー」するところにある要望というのは「ないものねだり」として最初から諦めてきました。

「コンパクトカーだから安っぽくても仕方がないよね」
「SUVだから鈍重でも仕方がないよね」
「イタリア車だから壊れてもしょうがないよね」
といった具合に。

高級なコンパクトカーというのはこれまでいくつかのメーカーが挑戦してきましたが、それらがいまいち成功しきれなかったのは、そういう「クロスオーバー」への需要が比較的ニッチなものとされてきたからです。両立の難しい要素を両立させようとするとそれだけでコストがかかるし、ニッチを突き詰めすぎると今度はマジョリティを惹きつけられなくなるので、中途半端なパッケージングに妥協した結果けっきょく虻蜂取らずになるというのが関の山でした。

そんな先例に比べてMORIZO RRがはるかに高い完成度だとしたら、それはやはりスポーツカー好きのトップからの鶴の一声で進められたからに違いありません。網を投げるマーケットを間違えて失敗責任を取らされる恐怖なく、「会長のような人がカジュアルに楽しめるスニーカーのような車」という明確なコンセプトに徹してパッケージングできたことが大きな成功要因だと思われます。

このMORIZO RRと来たら、ちっちゃいくせに高級感バッチリだし、スポーツカーのくせに見晴らしがいいし、おまけに趣味車としての高い満足感にトヨタの鉄壁の信頼性が付いてきて、スーパーでの買い物にも土砂降りの日の通勤にも気軽に乗れる。一つ一つの要素に際立った個性があるというより、いろんなセグメントの長所をぜんぶ同時に満たした、まさに組み合わせの妙が唯一無二の個性になっています。

それでも素のLBXではまだ「コンパクトカーだから仕方ないよね」の部分が残っていました。少し安っぽいリアサスからのドタバタ感だとか、加速時の3気筒エンジンの音だとか。タウン・スピードに特化した、あくまで「街乗りのためのセカンド・レクサス」です。メインの車としてNXやISから乗り換えるのはちょっと躊躇します。

ところがMORIZO RRでは、車体剛性やリアサスの根本的な違い、高速域の伸び、それに(人工的ではあるものの)エンジン音の演出など、乗り心地や性能面で素LBXが妥協していた「ないものねだり」の領域まで見事にカバーし、ファースト・カーとして死角なく仕上がっています。つまり「LBXのホット・バージョン」ではなく、「LBXと同じコンセプトで作った上位モデル」。素から何も切り捨てていない、素の上位互換と言ってしまってよいのではないでしょうか。

ただし、燃費と電動ならではの低速時のスムースさにおいては素に劣ります。素には素で、素晴らしい燃費とレクサス最新の自動運転機能を楽しみながら気兼ねなく街中をチョコマカと走り回れる魅力があります。もし将来的に素LBXのPHVが出たら、MORIZOとどっちにするか迷いそうです。

メーカーはサーキット色を強めに出したイメージでPRしていますが、同じレクサスのFシリーズやAMG、Mシリーズといったハイパフォーマンス・バージョンと同じ文脈で語るよりも、「素のLBXより守備範囲を広げたコンパクト・ラグジュリー」という捉え方をしたほうがこの車の本質に合っていると思いました。
満足している点
・素LBXと共通の長所として、建て付けのガッシリ感がとても高く、ドアを閉めた時のバフム感がすばらしい。電子ラッチもラグジュリー感に寄与していて、乗りこむときワクワクさせられる。

・乗り心地の上質さ。低速街中では多少スポーツカー的固さを感じるが、速度が乗ってくると滑るように走る。遮音性も高い。

・スポーツカーやホットハッチとはまた違う、カッコよさとふつうっぽさがちょうどよくバランスした見た目。
不満な点
・試乗した範囲ではこれといって感じなかったが、コンパクトカーというわりには横幅が広いので、気を使う場面がゼロというわけではない。

・MTも少しだけ乗ったが、個人的にはもう少しコクッというシフトタッチのほうが好き。
デザイン

4

・見せ場は、ミラーから見えるリアフェンダーの張り出し。

・大型SUVともスポーツカーとも違う独特のプロポーションが可愛らしい。

・一見ごく普通なのにきちんとそそられる外観になっており、「企業の社長さんが地味な車に乗りつつ一人の移動時間を密かに楽しむ」という会長のコンセプトをバッチリ表現。

・シンプルな直線基調のインパネデザインは新しい世代のセンスを感じさせて、好き。

・色の選択に出し惜しみ感が。内装が黒一色というのはちとつまらない。ビスポークも欧州車のカスタマイズプログラムに比べてそんなにめちゃくちゃ幅広く選べるわけでもないので、もっと敷居下げてほしいな。
走行性能

4

・乗車姿勢や接地感、車体の姿勢変化など、スペック表で語られない部分でしっかり煮詰められてる感じがしてストレスを感じない。
乗り心地

4

・路面が荒れた街中だと多少のゴツゴツを感じるものの、スムーズに流れるバイパスくらいの速度になると非常に滑らかで上質な乗り心地。小さい車の妥協感は感じず、ふだんD〜Eセグあたりに乗っている人でも違和感は少ないと思う。
積載性

3

燃費

2

カタログ値11km/l前後くらいで、ISの3.5リッターV6と同レベルかそれより悪い。
素のLBXに比べて3倍〜4倍くらいガソリンを食う計算。
高出力のほうにそこまで全振りしなくてもいいんじゃね?という気はする。
価格

3

300馬力の趣味車としてみれば、そんなに高いわけでもない。

が、納期がまだ1年くらいかかったり、ビスポークもまだ限定的だったりと、入手しづらい日々がしばらく続きそう。

タマが出てきたときに、今後の中古車価格がどうなるのか見もの。
故障経験

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