ジャガー XE 「迷わず乗れよ 乗ればわかるさ」のユーザーレビュー

RT141N14 RT141N14さん

ジャガー XE

グレード:プレステージ(ディーゼル)_RHD(AT_2.0) 2017年式

乗車形式:レンタカー

評価

5

走行性能
4
乗り心地
5
燃費
4
デザイン
3
積載性
4
価格
4

迷わず乗れよ 乗ればわかるさ

2020.3.11

総評
個人的に現行Dセグメントセダンのイチ押し候補としてずっと注目してきましたが、デビューから6年近くも経ってようやく接する機会に恵まれました。今回も代車として小変更前の2018年式・走行5700kmの個体を1週間ほどお借りしました。
現所有車のアウディA5スポーツバック(B8型、以下A5SB)とこれまでにお借りした初代レンジローバーイヴォークや現行レンジローバースポーツと比較しての印象を記させていただきます。

積極的な運転に応えつつ快適性も十分に確保した基本性能の高いシャシーによるところの大きい優れた運転感覚は、「スポーツサルーン」の謳い文句に恥じないものと感じられました。ディーゼルということでエンジンのレスポンスは分が悪いのはやむを得ませんが、引き換えに好燃費という大きな武器があり、特に高速クルーザーとしてはまったく申し分ありません。まあ、個人的にはもしガソリン版が軽快な吹け上がりを見せてくれるのならそちらを選びたいところですが。
もっとも、その高い基本性能の土台となる重量比でアルミを2/3も採用した車体にコストを取られた代償なのか、目に見える細かい部分の質感については割り切りが垣間見えるところが玉に瑕という印象もあります。

「不満な点」の項目が結構な分量になったようにちょいちょい綻びも目につきましたが、それらのほとんどは言ってみればクルマの本質とは関係ない枝葉の部分です。
ステアリングを握ってみればアルファロメオ・ジュリア同様にスポーツ指向が明確、かつその本分は弁えていることがひしひしと感じられ、十分な説得力があると思われました。

セダン受難の世相にあって販売は芳しくないようですが、このクラスをご検討の向きにはぜひ一度お試しいただきたいと思います。
満足している点


セダンとして必要十分な居住性と低く構えたスタンスを両立したスポーティな運転環境は美点です。ステアリングやペダルのオフセットなどもなく、安心して運転に集中できるのも(残念なことに)今どき貴重ではないかと思います。

見て乗って目に付くあざとさや神経を逆撫でするところが全体的にほとんど感じられないのも、競合車に対する優位点といえそうです。
不満な点
重要なところとして、まず視界には一部難があります。
ハイデッキのためリアウィンドウ天地幅が狭く、ルームミラーでは信号待ちなどで直後につく後続車のライトも見えません。そのルームミラー自体も位置が低く、左前方を確認するのに時にのぞき込むような姿勢を強いられます。
強く寝た左Aピラーとドアミラーによる死角も結構なものです。

後席ドアは乗降性を優先するあまり?BMWの「ホフマイスター・キンク」をさらに強調したようなウインドウ部分がドアノブよりも後方に大きく張り出した造りとなっており、開けにくいばかりか時に身体に当たりそうになります。

内装や装備には瑣末な減点項目がいくつかあります。
まず、パワーシートはスイッチ操作から動くまでのタイムラグが気になりました。
ステアリングホイールでは、スポークに配されたボタンのストロークがやたらと大きく、ポコポコとオモチャのような操作感です(マイナーチェンジでデザインが変わっているので改善されたかもしれません)。
オーディオはMERIDIANサウンドシステムが装備されていましたが、運転席・助手席とも定位が外側に偏るのは先代イヴォーク同様で、デフォルトで低音が効きすぎることも含め内容はイマイチと言わざるを得ません。不満のないレベルを求めるにはさらに上位の(はるかに高額な)「サラウンドサウンドシステム」を注文せざるを得ないのでしょうか?

さらに細かい部分を挙げてみます。
・ ボンネットオープナーノブは右ハンドルでも左(助手席)側のままです。
・ ダッシュボードは、特に運転中常に視界に入るメーターパネルのひさし部分がプラスチックだったりしますし(これは小変更でソフトパッドに変わった模様)、両隅のツイーターまわりのデザイン(下の画像)はもうちょっと何とかならなかったのかという感じです。


こちらのA5SB(オプションのBANG&OLUFSENサウンドシステム装着車)と比べると差は歴然です。


・ ダッシュ中央最上部や空調ダクトの風向調整ノブの1つ1つにまで「JAGUAR」のロゴを配するのはやりすぎでは?



・ 全面液晶パネルのメーター類はまずまず見やすいのですが、実体感はアナログメーターにゆずります。ところがディーラーで見た現行型のアナログ仕様(画像は借り物です)は、なんと文字盤の一部を液晶パネルで切り欠く(!!)という暴挙に出ています。



トランクは買い物バッグ用フックなども備わるなど使い勝手への細かい配慮も見られますが、ちょっとのぞき込むとトノボード下面が金属の骨格むき出しで、黄色いリアシート折り畳みノブもあまりに無粋です。この辺りにそつのないアウディはもちろん、かつてのアルファ156などと比べても粗が目立つところです。

デザイン

3

走行性能

4



2.0Lの「インジニウム」直列4気筒ターボディーゼルエンジンは絶対的なトルクこそさすがに十分ですが、ギア固定で加速するとターボラグが若干感じられ、1000rpm強巡航(8速100km/hは約1400rpm)からの緩加速は若干もたついてからターボが効いて加速、という経過になります。
若干軽量で2.2Lエンジンを積むアルファロメオのジュリア・ディーゼルには活発さでやや見劣りする印象です。
アクセルペダルに対する反応は一貫して穏やかで、これは運転モードを切り替えても変化はさほど大きくありません。山道で目を三角にして飛ばそうとするとちょっと物足りないかもしれませんが、しつけ自体は納得できるレベルかと思います。



ZF製8HP型8段ATのシフトは迅速で滑らかです。マニュアルモードでも(このクルマでは4000rpm強で)自動シフトアップしてしまうのと、Dポジションでの手動→自動モードへの復帰が遅いのは先代イヴォーク・現行レンジローバースポーツと共通です。
(補足) 後に改めて同型車に乗って、手動モードで右(+)パドルを2秒程度長引きすると自動モードに復帰することを確認しました。


自動変速モードでギア段数が表示されないのは3車共通の様式で、以前にも不満項目として挙げましたが、これは変速プログラム上の理由もありえることに今回気づきました。
一例を挙げると、Dポジションにてパドルで7速を選んだ状態から一旦自動変速に戻った直後に左パドルを1回引くといきなり4速に落ちるという現象です。つまりワンタッチで有効なエンジンブレーキが得られるようになっているわけです。
このときの表示は(D7→D→D4)となるわけですが、これがアウディ式だと(M7→D7→M4)となって操作と表示の整合性が損なわれ、かえって混乱を招くことになります。エンジンブレーキを得るためだけに1段ずつ何度も落とさなければならないのはアウディのみならずAT多段化の弊害といえますが、ドライバビリティ面ではジャガー式が優れることは言うまでもないでしょう。


ブレーキについては、コントロール性は悪くないもののストローク初期の踏力は少し軽すぎるきらいがあります。エンジンルームを見るとマスターシリンダーが左側のままのように見えるので、これも要因の1つかもしれません。


パワーステアリングの印象はレンジローバーの両車同様で、中立付近でややセンタリング方向の力が感じられる他は不自然な感じはなく、電動パワステとしてはとても好感触です。操舵感も現行A4などはやたらと軽々しい感じですが、そのようなこともなく適度な慣性・重量感がありました。


サスペンションのしつけはこの手のスポーツセダンとして一級品といってもよいかと思います。
高速コーナリングもアームの動きやタイヤの位置決めに覚束ない感じはなく、ゆったりした荷重移動とロールを伴った腰の低い姿勢で安定して曲がれます。また旋回中に段差など急な上下動があっても軌跡そのものはまるで乱れず、常識的なペースで車体が煽られるような粗相も見せません。これと比べると車重は+50kgでしかないA5SBも1つ1つの動きに多少ながら慣性を感じてしまいます。
一度試しに九十九折りの峠道でちょっと負荷をかけてみましたが、涼しい顔で呆気なく曲がってくれました。ただこれは個別ブレーキによる擬似LSD機能に助けられている感もあり、パワーオンで左右後輪が踏んばって前へ押し出すような感じは受けませんでした。
以上はすべてDSC通常作動での印象です。DSC解除ボタンを1回押すと介入を遅らせる「TracDSC」モードになりますが、返却直前に気づいたので違いを試すことはできませんでした。


近年のDセグメントの多分に漏れず幅は1850mmに達する大柄なボディですが、運転席からボンネットがよく見え、さらにその中央部が盛り上がって両側にエッジの入ったデザインも奏効しているのか車両感覚はつかみやすく、A5SBよりもボディが小さく感じられます。またドアの厚みも常識的なので、後退時に自動で下を向く助手席側ドアミラーの助けもあってカメラに頼らない車庫入れも非常に容易でした。
個人的体験から近いのは、事実上5ナンバー枠一杯だったX80系トヨタ・マークIIあたりを転がす感覚です。
乗り心地

5



タイヤは純正装着のダンロップSPORT MAXX RT J(225/45R18、2017年第5~6週製造)でした。指定内圧は軽荷重時230kPaですが測定値は240kPaで、そのままで乗っていました。
車体の揺れ方は運転モード切り替えで多少の変化はあるものの角の立った突き上げはほとんどなく、余分な動きは見せずに穏やかに凹凸を受け流す感じで概ね落ちついています。このあたり、突き上げを跳ね返すかのように多少ボディが暴れる感のあるA5SBとは一線を画するところです。

51:49とほぼ均等な前後重量配分(車検証記載値によると軸重は前850kg・後810kg)ももちろんバランスのとれた動きに寄与しているはずですし、「走行性能」の項目にあるエンジンルームの画像ではストラットタワーに設けられた多数の補強リブが確認できるようにサスペンション取付部の剛性にも大いに意を払っていることが窺えます。

遮音もかなり奢られているのか、ディーゼルエンジンの音量は非常に良く抑えられています。特有のノック音も冷間時に窓を開けて走らない限り(それでも小さい)ほとんど気になりません。
高速では耳の周り左右からの風切り音がやや耳につく印象でした。

後席シートは座面長も十分ですが、どうしても前席ポジションが低めになりますので身長180cm・高座高の私のポジションで後ろに座ると前席下にはつま先くらいしか入りません。膝前スペースはほぼ同じホイールベースながらFFベースとなるA5SBよりもはっきりと狭いです。
頭上空間もジュリアと同等、A5SBよりは若干広い程度で実用ギリギリというところです。
積載性

4



荷室容量(この個体はリアシートが40:20:40分割可倒式でした)・小物入れの数・種類含め全体的に不足はなさそうです。
ドア4枚ともそれなりの容量のポケットは備わりますが、A5SBのようなペットボトルが収まるような工夫はなされていません。
燃費

4



424.3L走行し軽油を32.76L給油ということで、満タン法での燃費は12.95km/Lと出ました。16km/L近くを示していた画像の燃費計は若干甘いようです。ちなみにアイドリングストップは有効のまま乗っていましたが、なぜか一度も作動しませんでした。
ディーゼルということでちょっとした期待もありましたが、最新の1.3Lガソリンターボを積んだフィアット500Xと同等だったのは正直ちょっと肩すかしでした。燃料タンク容量は56Lです。
価格

4

故障経験


1週間弱の借用中は、ありませんでした。

下記のリンクから「みんカラ」に遷移して、違反報告ができます。

「みんカラ」から、違反報告をする

ジャガー XE 新型・現行モデル

査定を依頼する

あなたの愛車、今いくら?

複数社の査定額を比較して愛車の最高額を調べよう!
愛車を賢く売却して、購入資金にしませんか?

あなたの愛車いまいくら?
メーカー
モデル
年式
走行距離

※ 掲載しているすべての情報について保証をいたしかねます。新車価格は発売時の価格のため、掲載価格と実際の価格が異なる場合があります。詳細は、メーカーまたは取扱販売店にてお問い合わせください。

ユーザーレビューを投稿する

ユーザーレビューを投稿する

※自動車SNSサイト「みんカラ」に遷移します。
みんカラに登録して投稿すると、carview!にも表示されます。

ログイン

中古車探しをもっと便利に

  • 中古車お気に入り管理
  • おすすめ中古車の表示
carview!の最新情報をチェック!
Facebook
carview!公式Facebook
最新のクルマ情報をお届けするcarview!オフィシャルページ(外部サイト)

carview!公式X(旧Twitter)
carview!の中の人がクルマ情報をポストする公式アカウント(外部サイト)

あなたにおすすめのサービス

あなたの愛車、今いくら?

複数社の査定額を比較して愛車の最高額を調べよう!

あなたの愛車いまいくら?
メーカー
モデル
年式
走行距離