ヒョンデ ネッソ 「この珍しさがいいのかも」の専門家レビュー ※掲載内容は執筆日時点の情報です。

この珍しさがいいのかも

2022.11.22

年式

2022年2月〜モデル

総評

「このクルマじゃないといけない」という決め手がなかなか見つからないのが正直なところですね。「燃料電池車が欲しいけれどトヨタとかメルセデス・ベンツのクルマは買いたくない」とか「ヒョンデのクルマが大好き」という理由があれば選択肢に入ってくるでしょうか。いずれにせよ、ヒョンデは燃料電池車を実際に市販した世界でも数少ないメーカーであり、その実力はさすが。また、このクルマを日本に導入してきたことも驚きの決断であり、選択肢を増やしてくれたという意味では感謝です。

満足している点

燃料電池車として選べる数少ない選択肢のひとつであること。日本で燃料電池車といえばトヨタ「MIRAI」ですが、それよりも車体サイズがひとまわり以上小さくて日本の駐車場でも取り回しがいいことや、セダンのMIRAIとちがってSUVであることもポイントといえます。あと、国産車では当然のことですが、右ハンドルなのはもちろんウインカーレバーも右だったりと、日本仕様を作るにあたり細かく現地化してきたことは高く評価したいですね。

不満な点

776万8300円という価格は手が届きやすいとは言い難いですね。実質的には補助金を受け取れてもっと安く購入できたとしても、考えてしまいます。あと燃料は水素ですが、水素を充填できる場所はそう多くないので、家の近所になければわずらわしいです。そこは覚悟が必要です。

デザイン

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顔つきは誰がどう見たって個性的ですよね。全体的なプロポーションは整っているので、あとはこの顔つきが受け入れられるかどうかではないでしょうか。ちなみにどこがヘッドライトかというと、バンパーの左右にある三角のレンズなんです。そういう意味では三菱のダイナミックシールドに近いかもですね。

走行性能

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静かだし滑らか。そして出だしが力強い。そのあたりはモーターで駆動するクルマなので当然と言えば当然ですが、コンフォート性能はかなりいいです。運転しやすい味付けです。ただし、シャープなレスポンスとか盛り上がりと言ったエモーショナルな部分はもう少し盛り込まれていると嬉しいですね。十分な加速だし速いのですが、アクセルを踏む歓びとか爽快感は、ハイパワー系EVだけでなく日産リーフなどパワーの出方にこだわったEVに比べても少し物足りない気がします。

乗り心地

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車体がしっかりと作られているのが効いている感じですね。基本的には良好な乗り心地です。ただし、路面の段差などでは多少車体が揺すられることも。シーンによっては、国産の「乗り心地のいいSUV」に比べると少し劣ると感じられる状況もありました。

積載性

4

ごくごく普通。これは悪い意味ではなく、燃料電池車としてのネガ（たとえば水素タンクが荷室空間に張り足しているとか）がないということです。燃料電池車だからと言って特別な感覚ではなく、普通の感覚で使えます。床面こそちょっと高いですが、SUVだから天地高もしっかりあるし、後席を倒すとフラットな床面になるものいいですね。容量的には461L。満足できます。

燃費

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試乗時の状況を振り返ると、燃料計が半分となった時点での航続可能距離計307kmでした。フルタンクだと600kmほど走りそうですね（公式値だと約820km）。ちなみにタンクは3本積んでいますが、合計で156.6L入ります。2022年11月時点での水素の価格は1200円/kgほど（スタンドにより異なる）ですから、70Mpaで満タンにすると約6kgで水素代は7200円ほどになりそうですね。ガソリン高騰の今なら、消費者目線のエネルギーコストはガソリンより安いといえます。

価格

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776万8300円。補助金を抜きに考えれば、同クラスのガソリン車の約2倍の価格ですね。決して安くはないですが、燃料電池が気になる人にとっては魅力的かもしれません。多くお金を払っても先進的で特別な体験をしたい、という人向きだと思います。