ホンダ プレリュード 「流麗な6代目の武器はe:HEV×S+ Shift」の専門家レビュー ※掲載内容は執筆日時点の情報です。

西村 直人
西村 直人(著者の記事一覧
交通コメンテーター
評価

5

デザイン
4
走行性能
5
乗り心地
3
積載性
2
燃費
5
価格
4

流麗な6代目の武器はe:HEV×S+ Shift

2025.11.1

年式
2025年9月〜モデル
総評
新型プレリュードの姿が露わになったのは「JMS2023」の会場だった。展示車両はプロトタイプで細かなスペックや内装は明らかにされなかったが、この時代に、販売台数がそれほど見込めない新規開発のクーペモデルを出すことへの期待感は高かった。それから約2年が経過した2025年9月5日に6代目となる新型プレリュードが発売された。
満足している点
現行シビックから搭載が始まった直列4気筒2.0lエンジン、専用制御をもつHonda自慢のハイブリッドシステムe:HEV、そしてHonda S+ Shiftの共演が織りなす走りだ。速さだけを体感の指標とせず、人の感覚に訴えかける走行性能のエンジン回転数変動と走行フィールを合わせこんだ。e:HEVの場合は直結モードを除きエンジンは発電に徹する。ならばエンジン回転を走行フィール(高まる電動モーターの駆動力)に一致させると良いのでは……、といった仮説から開発をすすめた。実際、e:HEV x Honda S+ Shiftの走りは優雅にも、活発にも走らせることができる。
不満な点
運転席からの左後方視界が悪い。流麗なフォルムのためピラーが太く、上半身を左に大きく捻転しても確保されない視界が残った。ここは先々代9代目「アコード」や「ジェイド」など過去の各モデルが採用していた「LaneWatch」の追加搭載で改善できると思う。ウインカーを左に操作するか、ウインカーレバー先端にあるLaneWatchボタンを押すと、ナビゲーションの画面が助手席側ドアミラーに搭載したカメラ映像に切り替わり、左側方視界を映し出す。プレリュードではこの機能で死角がカバーできる。
デザイン

4

薄型フロントグリルと切れ長のLEDヘッドライト、歩行者保護性能を十分に確保した上で可能な限り低くしたボンネットフード、フロントウインドを支えるAピラー直後を頂点とするルーフ形状、塊感を強調するボディ後半の処理などから十分に独創性を感じる。内装では最近のHonda流で徹底した水平基調。白基調の専用シートは見た目だけでなく座り心地も良い。これにフルロジック制御のシフト回りや、表示内容を整えた10.2インチTFTメーターなど慣れ親しんだアイテムが並ぶ。
走行性能

5

バネレートやダンパーの減衰特性こそ違えども構造としてはほぼ現行「シビック・タイプR」だから強靱。駆動力と旋回力を前輪だけでまかなう前輪駆動の課題をHondaでは「デュアルアクシス・ストラットサスペンション」で解決した。Honda S+ Shiftによる走りは痛快の一言。とくにDレンジのままシステムまかせの減速時でも、アクセルペダルからブレーキペダルに足をのせかえた瞬間に疑似8速シフトのシフトダウン制御が入る。リズミカルな走行フィールは病みつきになる。
乗り心地

3

優雅なクーペモデルをイメージすれば、あと少しのしなやかさが欲しい。けれど、とても高い取り付け剛性をもつ前後サスペンションをもっていることを考えれば、コシの強い乗り味にも納得がいく。乗り味でもHonda S+ Shiftが効果的で、e:HEVの回生制御では初めて採用されたコースティング機能が評価を高めた。アクセルペダルをオフにすると、車体が受ける主な抵抗は空気と機械損失のみだから、スーッと走り続ける。世界的にみれば新しい機能ではないが、プレリュードの性格には合っている。
積載性

2

ハッチバックゲートをもつクーペボディなので、開口面積そのものは大きいが実際に荷物が積み込める床面積はそれほど大きくない。もっとも2人乗りを基本とすれば後席は倒した状態が常になるだろうから、そう考えれば実用的な広さともいえる。後席は分割可倒式なので長尺物を積載しても3名乗車(乗車定員はシビック・タイプRと同じ4名)であれば難なくこなせる。しかし全高が低いため高さのある荷物の積載はむずかしい。
燃費

5

e:HEVの直結モードを活かした高速巡航燃費はすばらしく23.5㎞/Lとハイパフォーマンスを売りにするモデルとしては良好だ。それだけでなく、全般的に燃費数値は良く、WLTC値総合で23.6㎞/L。同じパワートレーンをのシビックe:HEVよりは若干落ちるものの、エコで流麗なハイブリッドクーペとしては高く評価できる。ちなみにガソリンタンク容量は40Lで、レギュラー指定だ。筆者による150㎞ほどの試乗では、テストで高回転域を多用したにもかかわらず18.9㎞/Lを記録した。
価格

4

ワングレードで6,179,800円。市場では高価だという評価もあるが、全世代に受け入れられているミニバンやSUVも中間グレード以上でオプション装備を加えると500万円はすぐに超える時代。安くはないが無謀な金額でもない。発表直後は「良いのはわかったけど、買えない……」という状況も見られたが、すぐさまホンダは増産を決定したので「買えない」状況はそう長期化しないだろう。
西村 直人
西村 直人
交通コメンテーター
WRカーやF1、MotoGPマシンのサーキット走行をこなし、4&2輪のアマチュアレースにも参戦。物流や環境に関する取材を多数。大型商用車の開発業務も担当。国土交通省「スマートウェイ検討委員会」、警察庁「UTMS懇談会」に出席。自動運転技術の研修会(公的/教育/民間)における講師を継続。警視庁の安全運転管理者法定講習における講師。近著は「2020年、人工知能は車を運転するのか」(インプレス刊)。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員日本自動車ジャーナリスト協会会員
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