ホンダ N-BOXカスタム 「日本で最も売れている軽自動車は優れた室内空間を持つ」の専門家レビュー ※掲載内容は執筆日時点の情報です。

西川 昇吾
西川 昇吾(著者の記事一覧
自動車ジャーナリスト
評価

4

デザイン
4
走行性能
3
乗り心地
5
積載性
5
燃費
3
価格
2

日本で最も売れている軽自動車は優れた室内空間を持つ

2022.6.20

年式
2017年9月〜モデル
総評
欠点はないとは言い切れないが、日本で最も売れている軽自動車というだけあって完成度は高い。特に完成度の高さを感じるのがパッケージだ。ホンダは室内空間の確保が上手く、シートアレンジも豊富で空間の匠という印象を受ける。スライドドアを欲するユーザーが重要視しているポイントを上手く抑えていると思わせる。スライドドアを有するハイトワゴン軽は人気のジャンルであるが、その中でも完成度が高いと思わせるのが、このパッケージに表れていると思う。
満足している点
各種質感が優れていること、そして積載性がハイトワゴン軽の中でも特出して優れていて、室内空間が広々としていることだろう。長年日本で最も売れている軽自動車に君臨しているN-BOXシリーズだが、スライドドアを有するハイトワゴン軽の中でもトップクラスにパッケージとしての完成度が高いと思わせる1台となっている。売れているモデルにはそれ相応の理由がしっかりとあるということを改めて感じさせる。カスタムのように味違いを用意しているのも理由の1つだろう。
不満な点
やはり値段だ、このモデル最大にして唯一…とまではいかないが数少ない欠点と言えるだろう。年々軽自動車の値段が上がっているとは言え、エントリーグレードで180万、オプションやグレード展開などを考えると当たり前に200万円という軽自動車の大台を超えてくるところは、やはり躊躇してしまう検討者も少なくないはずだ。軽自動車という枠で考えてしまいがちだが、トップグレードにオプションを着けていった値段ならば普通車のスライドドア車だって見えてくる。
デザイン

4

スライドドアを有するハイトワゴン軽なので、全体的なシルエットが似通ってしまうのは仕方ないと思う。しかし、そのような制約が大きい中でノーマルのN-BOXとのデザイン上の差別化は上手く出来ていると思う。この手に多いのはメッキパーツの追加やホイールのインチアップといったところだが、ヘッドライトデザインを大きく変えてきたのは差別化をする上で英断だった。フロントマスクの印象が大きく変わり、N-BOXのいい意味でシンプルな印象からクールな印象へと雰囲気をチェンジしている。
走行性能

3

ノーマルに比べてスポーティーな雰囲気となっているカスタムだが、走行性能という面では大きく変わらないと思う。強いて言えば低扁平のタイヤを装着してハンドリングがシャープになったというぐらい。動力性能に関して言えばエンジンは比較的NAでも軽自動車としてはパンチがあるとは思う。全体的な印象として、スライドドアを有するハイトワゴン軽に期待してはいけない部分ではあると思うが、軽自動車としては車両重量が重たく全体的に動きが鈍いなという印象を受ける。
乗り心地

5

全高が1790mmもあるハイトワゴン軽なので、基本的なパッケージとしても振動騒音面で不利、乗り心地に関してあまり期待できるとは言えない。しかし、その期待をいい意味で裏切ってくるという印象を受ける。この手の軽自動車としては騒音も抑えられていて、ハイトワゴン軽であるのがビックリするほど移動中は快適な室内空間を実現している。このクラスやジャンルを超えると思わせる乗り心地は、N-BOXシリーズが日本で最も売れている軽自動車であるのが良く分かる一面だ。
積載性

5

積載性というか、室内空間の確保に関してホンダは他社よりも一歩先を行っているといつも思うのだが、このN-BOXシリーズでは特にそれを感じる。リアシートが通常の状態でもライバルに比べてトランク長が長いという印象を受けるし、リアシートをスライドさせることができるので積載する荷物によってフレキシブルに調整できて利便性が高い。またホンダ車らしくリアシートのアレンジが多いので、長いものや背の高いもの、色々なものを工夫することでキレイに積載することが出来る。
燃費

3

この手のスライドドアを有するハイトワゴン軽はボディ形状、そして電動スライドドアという重たい装備から、どうしても燃費性能は悪くなってしまう。それはこのクルマも例外ではない。NAエンジンでWLTCモード21.2㎞/L、ターボ車で20.2㎞/Lという燃費性能は、ハイトワゴン軽ならば普通と言える印象だ。ただターボ車とNAの燃費性能の差があまり開いていないのを見ると、イニシャルコストさえ気にしなければターボ車の方がおススメだ。
価格

2

この項目は、N-BOXカスタム最大の欠点と言えるだろう。最も安いエントリーグレードで約180万円。N-BOXの同等のグレードと比較すると20万円ほどカスタムの方が高い。しかし、両車に内外装以外あまり差がない中でのこの価格帯だ。確かに質感はカスタムの方が高いが、この価格差に納得がいくかと言われると微妙なところ。ターボの上級グレードだと200万円を超えてくる。乗り出しで考えても普通自動車も優に選択肢に入ってくるこの価格で軽自動車を買うということになる。
西川 昇吾
西川 昇吾
自動車ジャーナリスト
1997年生まれ、大学時代から自動車ライターとしての活動をスタート。現在はWEB・紙の各種媒体で様々なジャンルの記事を執筆するほか、車両解説動画にも出演し、喋りの分野にも挑戦中。愛車のマツダ・ロードスターで定期的にサーキット走行をし、ドラテクの鍛錬も忘れない、目指すは「書けて、喋れて、走れるモータージャーナリスト」
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