ホンダ フィットハイブリッド 「万人に勧めれる5ナンバーコンパクトハッチ」の専門家レビュー ※掲載内容は執筆日時点の情報です。

西川 昇吾
西川 昇吾(著者の記事一覧
自動車ジャーナリスト
評価

4

デザイン
4
走行性能
4
乗り心地
3
積載性
5
燃費
2
価格
2

万人に勧めれる5ナンバーコンパクトハッチ

2022.6.20

年式
2020年2月〜モデル
総評
全体的に見れば5ナンバーサイズコンパクトハッチとしてよく出来たまとまりのいいクルマだと思う。しかし、イマイチ販売というか市場でパンチが効いていないという印象を受ける。正直言ってラゲッジスペースと後部座席の積載性はピカイチだと思うし、全体的な質感も悪くない。今このクラスのクルマの購入を検討している人に勧めるのであれば最も万人に勧めることが出来るのは現行フィットだと思う。このクルマが伸び悩んでいるのは他車と違って特出したキャラクター付けが足りないのかもしれない。
満足している点
エントリーグレードでも装備や質感に不満がないこと、そして心地よさにこだわったクルマ造りは、各所にこのクラス随一の「落ち着き」感を感じる。走りはもちろんだが、このクラスで内装の質感が高くエントリーグレードで最も満足できるのは現行フィットだと思う。プレミアムとまではいかないものの、「ちょっといい」感があるコンパクトカーに乗りたい人にとってはオススメの選択肢とも言える。
不満な点
やはり価格設定の高さがネックという感じがする。確かに運転支援システムは標準装備で充実したものとなっているし、内装の質感も高い。しかし、ナビゲーションシステムを中心とした各種オプションを装備していくとどうしても価格は膨れ上がってしまう。それは他の車種でも同じことと言えるが、ハイブリッドのグレード構成的にはもう一つエントリーグレードが用意されていて、求めやすさが伝わった方が売れるのではないかとは感じてしまう。
デザイン

4

先進的なイメージがある未来感と親しみやすさが上手いことバランスされているデザインとなっている。SUVチックなクロスターは少し無理があるように感じてしまうが、ノーマルモデルは実用性とデザイン性の両立を高い次元で実現している。また、ウィンドウデザインも工夫がされている印象で、一見すると視界の良さ一辺倒なイメージがないのだが、実際に乗ってみると見切りが良いのが嬉しいポイントと言える。コンパクトハッチながらチープな印象がしないのも良い。
走行性能

4

1.5Lにモーターを組み合わせたハイブリットシステムはフィットクラスならば文句のない動力性能を実現している。ただ数値だけ見ると1200kg近い車両重量が気になると言えば気になる。しかし、そんなネガティブなイメージは実際に乗ってみるとあまり感じることはない。国内にライバルが多い5ナンバーサイズのコンパクトハッチバックだが、その中でも最もどっしりとしたというか、落ち着きのある走行フィーリングとなっている。
乗り心地

3

走行性能面でどっしりとした印象があるといったが、低速域ではその印象は乗り心地に良いように作用していて、当たりが滑らかというか優しいという感じを受ける。高速域ではギャップや継ぎ目を乗り越えた時に少しひょこひょこ感というか、少しバタつきを感じて落ち着きがないというような印象もある。街乗りを中心とするならば乗り心地は良いと言える。ハイブリットシステムもシームレスで静寂性に優れていて、快適な移動を実現してくれる。
積載性

5

積載性に関してはこの5ナンバーサイズのコンパクトハッチバックの中ではトップクラスと言えるだろう。開口部が広いかつ低く荷物の積み下ろしがしやすいのも実際に使うシーンでは嬉しいポイントと言える。また、シートアレンジも豊富でリアシートを可倒できるほか、座面部分を跳ね上げて後部座席に高さがあるものを載せるということも出来る。単に積載性が高いだけでなく、小さいボディだが工夫次第で様々な使い方が出来る、そんな懐の深さも持ち合わせたラゲッジスペース&後部座席なのだ。
燃費

2

WLTCモードで29.4㎞/Lという燃費性能は正直言ってライバルと比べて特別秀でているという訳ではない。このクラスのクルマとしては並みという感じである。もし、このクラスで燃費性能を期待したいのであれば、他の車種を選んだ方が良いと言える。しかし、従来のガソリンエンジンのフィーリングに近いイメージは、このクラスのハイブリッド車の中でも最も色濃く残っているとも言えるだろう。燃費性能の代わりに得たのは、開発コンセプトにもあったようなそんな心地よさと言える。
価格

2

グレードごとの価格の差異が大きく、どれが上級グレードというよりかはグレードごとコンセプトが違うので一概には言えない。しかし、どちらかと言えばこのクラスでは高価格な部類に入るだろう。たしかに充実した運転支援システムなどが標準で備わっていたり、グレードごとの内装の質感の差が少ないのは確かだが、車両のクラスを考えるともう少しエントリーに振ったグレードがあっても良かったのではと思う。価格帯の高いグレードを見るとコンパクトSUVを狙った方がお得感があるという印象も受ける。
西川 昇吾
西川 昇吾
自動車ジャーナリスト
1997年生まれ、大学時代から自動車ライターとしての活動をスタート。現在はWEB・紙の各種媒体で様々なジャンルの記事を執筆するほか、車両解説動画にも出演し、喋りの分野にも挑戦中。愛車のマツダ・ロードスターで定期的にサーキット走行をし、ドラテクの鍛錬も忘れない、目指すは「書けて、喋れて、走れるモータージャーナリスト」
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