2010年10月
■2010年10月
アウディが本格的なプレミアムスポーツカーのジャンルに参入するモデルとして開発されたR8は、日本では2007年7月に発表され、9月から発売された。R8の名はルマン24時間レースで勝利を重ねたレーシングカーに由来する。アウディはレース活動の中から独自の先進的な技術をいくつも開発してきたが、R8にはそうしたアウディの技術の蓄積が反映されている。1930年代にアウディが実用化したミッドシップレイアウトを始め、1980年代にWRCを、1990年代にはDTMを席巻したクワトロシステム、さらには1990年代初頭からのアルミスペースフレームによるボディ技術、そしてV型8気筒のガソリン直噴エンジンなどが、R8に盛り込まれている。外観デザインはいかにもミッドシップレイアウトのスポーツカーらしいもので、シングルフレームのグリルを踏襲しながらも、新しいアウディデザインの流れを指し示すものとされている。リヤには透明のカウルが設けられ、V型8気筒エンジンが見えるような作りとされている。4.2リッターの直噴ガソリンエンジンは316kW(430ps)/430Nm(43.8kgm)のパワー&トルクを発生し、Rトロニックと呼ぶシーケンシャルトランスミッションと組み合わされる。左ハンドル車だけの設定だ。2008年7月にはHHDナビゲーションの機能を大幅に向上させたほか、インテリアの仕様を一部変更。2009年2月にはV型8気筒エンジン車に6速MT車を追加し、4月にはV型10気筒5.2リッターエンジンの搭載車を追加設定した。2010年2月にはシリーズの頂点に立つモデルとして、V型10気筒エンジンを搭載したオープンモデルのR8スパイダーを追加設定。同年10月には装備を充実化させた。
■2012年4月
アウディの高級スポーツカーR8スパイダーに限定車のR8GTスパイダーが設定され、2012年4月から発売されるとの発表があった。世界で333台だけが生産される限定車で日本にはそのうち10台が投入される。GTスパイダーはフロントスポイラー、固定式大型リアスポイラー、ドアミラーなどのボディパーツにカーボンを強化樹脂を多用することで、標準モデルに比べ約85kgの軽量化を実現した。V型10気筒の5.2リッターFSIエンジンは、標準モデルに比べ26kWアップの412kW(560ps)のパワーと、10Nmアップの540Nmの動力性能を発揮する。このエンジンには赤い結晶塗装が施されたシリンダヘッドカバーが装着される。トランスミッションはシーケンシャルマニュアルの6速Rトロニックで、電子制御によってスポーツとノーマルが用意されたオートマチックモードと、2つのマニュアルモードが用意される。停止状態からの発進時にホイールスピンを回避し、素早いスタートを可能にするローンチコントロールプログラムも搭載されている。シャシー系やアルカンターラを採用したインテリアなど、ほかにも専用の仕様がいろいろと用意される。