アウディ Q6 e-tron 「ポルシェと共同開発したPPEを採用したBEVのSUV」の専門家レビュー ※掲載内容は執筆日時点の情報です。

西村 直人
西村 直人(著者の記事一覧
交通コメンテーター
評価

3

デザイン
3
走行性能
4
乗り心地
3
積載性
4
燃費
4
価格
3

ポルシェと共同開発したPPEを採用したBEVのSUV

2025.11.1

年式
2025年4月〜モデル
総評
Q6はアウディ曰く、「プレミアムミッドサイズセグメント」なのだという。BEVでSUVモデルであり、それだけでは昨今、めずらしくないが、Q6 e-tronはポルシェと共同開発したBEV専用のプラットフォームである「PPE/プレミアム・プラットフォーム・エレクトリック」をベースにした初の市販モデルである点が新しい。 二次バッテリー容量は100kWh(総電力量94.9kWh)と大きく、試乗したQ6 e-tron quattroは644㎞の一充電走行可能距離を誇る。
満足している点
BEVであることを声高にするものの、実際の走行フィールはアウディのミッドサイズSUVそのもので正確なハンドリング性能が光った。とかくSUVのBEVは過剰なまでの走行性能を誇示するモデルが多いが、Q6 e-tronはこれまでのアウディらしい上質な走りをBEVで具現化させている。A5なども採用する運転席を包み込むように曲面が用いられたタッチモニターも使いやすい。
不満な点
2410kg(試乗モデルの場合)の車両重量だ。走行性能に不満はなく、むしろ過剰なほどの加速力が得られるが、この重量になると立体駐車場では制限がつくため、基本的には平置きの駐車場を探さざるを得ない。最近では耐荷重2.5tの立体駐車場も増えてきたが……。また、これは個人的なセンスに左右される部分ながら、LEDを多用したフロントマスクはやや強めの威圧感がある。
デザイン

3

フロントグリルの立体的なシングルフレームとサイドエアインテークが特徴。デジタルデイタイムランニングライトは高めに設定されていて被視認性も良好だ。全体的にはSUVのセオリー通りのデザインでオーソドックス。特徴的なのはボディ後半で、後部左右をライトストリップでつないでいるので塊感が強い。車内は運転席側に設けられたモニターの曲面が上質さを演出。この曲面は見た目だけでなく機能的で、正しい運転姿勢を保ったまま画面の左サイド(右ハンドルでは一番遠い位置)の液晶内のボタンにタッチすることができる。
走行性能

4

アウディの公式発表によると100kWhのバッテリーを搭載して285kWのシステム出力を発揮し、0〜100km/h加速はわずか5.9秒とのこと。実際、このサイズのSUVで全開走行する場面は少ないだろうから、試乗時のアクセル開度は最大でも50%程度にとどめ滑らかに走らせた。前後ツインモーターの3quattroシステムによる4輪駆動は、駆動力制御を緻密に行うことで終始安定した車両姿勢を保ったまま。2410kgと車両重量はかさむが雨天の下り坂カーブもなんなく走破した。
乗り心地

3

滑らかな路面では満点の5点だが、荒れた路面ではやや鉛直方向のドンと身体に伝わる振動が目立ち、さらに振幅も大きめだ。ホイールベース内、かつ床下の低い位置に100kWhの重いバッテリーを搭載しているため旋回性能はとても高いが、ゆえにロールセンターと重心高の関係から、安定した車両姿勢を得るために乗り味が悪化してしまうシーンがいくつか見受けられた。
積載性

4

車体後部のラゲッジルーム容量は526l。ここから3分割(4:2:4)の後席をすべて倒すことで1529lまでスペースが拡大する。BEVなので車体前部のエンジンルームには前輪モーターをはじめとしたパワーユニットが収まるが、そこには64lのフロントトランクが設けられている。充電ケーブルを収納してもなお小物類の収納ができる便利なスペースだ。
燃費

4

カタログ上は、一充電走行可能距離が644㎞と記載されているが、実際試乗した際の電費数値(車載の電費モニター)は5㎞/kWh代中盤だったので、その80%程度の距離は走れる計算になった。ChAdeMO方式として国内最大出力の150kW充電器を利用した場合、最大135kWの急速充電が行え、約35分で充電量10%→80%が可能。また8kWのAC充電にも対応している。
価格

3

試乗したQ6 e-tron quattro advancedの場合、車両本体価格が9,980,000円で、ここからCEV補助金で528,000円、東京都であれば320,000円、税制面の優遇では398,900円。さらに、アウディでは「プレミアムチャージングアライアンス1年間無料キャンペーン」として21,600円(内訳/月額使用料金1,800円×12)と、毎回の使用料が12ヶ月分無料になる。計算上は1,268,500円の優遇となるため実質的な支払総額は870万円ほどになるが、CEV補助金にかかる保有義務期間(4年)後の下取り価格はBEV全車の常で、内燃機関モデルほど高くはならないだろう。
西村 直人
西村 直人
交通コメンテーター
WRカーやF1、MotoGPマシンのサーキット走行をこなし、4&2輪のアマチュアレースにも参戦。物流や環境に関する取材を多数。大型商用車の開発業務も担当。国土交通省「スマートウェイ検討委員会」、警察庁「UTMS懇談会」に出席。自動運転技術の研修会(公的/教育/民間)における講師を継続。警視庁の安全運転管理者法定講習における講師。近著は「2020年、人工知能は車を運転するのか」(インプレス刊)。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員日本自動車ジャーナリスト協会会員
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