アウディ A5 (セダン) 「変わりゆくスポーティセダンの今」の専門家レビュー ※掲載内容は執筆日時点の情報です。

大音 安弘
大音 安弘(著者の記事一覧
自動車ジャーナリスト
評価

4

デザイン
4
走行性能
5
乗り心地
4
積載性
4
燃費
4
価格
4

変わりゆくスポーティセダンの今

2025.9.4

年式
2025年2月〜モデル
総評
EVシフトに熱心なアウディが、最後のエンジン搭載車用に用意したプラットフォーム「PPC」採用の第一弾モデル。従来のA5は2ドア及び5ドアクーペモデルで構成されていたが、新型はA4とA5を統合した形となっており、事実上A4の後継車となる。セダンらしさを意識した5ドアクーペに仕上げられており、ちょっと若々しいスタイリングが持ち味。従来の4ドアセダンにはボディ剛性や静粛性などの機能的なメリットがあるが、新プラットフォームでその点もカバーできるということなのだろう。世界的にセダン市場が縮小する今、セダン風味のクルマを残してくれただけでも感謝すべきかもしれない。先進感あふれる内外装はアウディの得意とするところで、特にコクピット回りはアウディらしいデジタルな世界を強調した多彩な機能が盛り込まれる。意外だったのは、他社のように巨大すぎるモニターを搭載するなどの手法を取らなかったこと。その姿勢には、流行に流されるのではなく走りを重視したクルマ作りを大切にするアウディの哲学を感じる。EVシフトの前に、ドイツ車らしいスポーツセダンのアウディに乗っておきたい人にはオススメしたい一台だ。
満足している点
スポーティさを備えたアウディらしいスポーティなセダンデザイン。デジタルメーターのバーチャルコクピットが正常進化して、メーターとしてより見やすくなったこと。アウディらしいデジタル感満載のコクピット。大型テールゲートを持つアクセス性に優れたラゲッジスペース。ピュアエンジンのガソリン車が選べること。
不満な点
美しいダッシュボードデザインには、ちょっと不釣り合いな助手席用タッチスクリーン。先代A4と比べ、一回り大きくなったボディサイズ。シフトレバーが廃止されたこと。ステアリングスイッチが静電式であること。
デザイン

4

アウディA5セダンを名乗るが、実際は先代A5スポーツバック同様に4ドアクーペライクな5ドアハッチバックに仕上げられている。ただ4ドアクーペを印象付けるべく、テールゲート後部を短いトランクリッドのようなデザインとしているのでセダン風味もしっかりと感じられ、クーペらしいスポーティさだけが強調されない配慮がなされている。縦置きエンジンのFF車の構造、4835mmの全長と2895mmのロングホイールベースを活かした伸びやかなスタイリングも魅力のひとつで、同クラスのFRセダンと比べても見劣りしない風格。インテリアは、コクピット回りのデジタル感を強化したのもアウディらしい新たな武器のひとつ。メーターパネルとインフォテイメントディスプレイを一体化することで、メーター部とディスプレイ部の棲み分けも明確化。視認性も向上している。新アイテムの助手席用タッチスクリーン「MMIパッセンジャーディスプレイ」は、ダッシュボードの厚みが薄いセダンにはちょっと蛇足にも思えるが、そこは好み。個人的には、もう少しすっきりしたダッシュボードデザインにまとめて欲しかった。
走行性能

5

アウディ最後のエンジン車向けのプラットフォーム「PPC」で開発されただけに、快適性も意識した上で、これぞアウディというスポーティな走り味を磨いた。だからこそドライバーは、ドイツ車をドライブしているという高い満足感が得られる。自慢の4WDシステム「クワトロ」は経済性も重視したセッティングで普段は黒子に徹しているが、強い加速やコーナリング時などでは高い走行安定性を提供してくれる。メインとなるA5のガソリン車は、ドイツ車でも貴重となりつつあるピュアエンジン車。エンジン車らしい自然な回転フィールが持ち味だ。ここで最後に、ドイツのピュアエンジンの良さを味わっておくのも悪くない。ちなみにクリーンディーゼル「TDI」と高性能モデル「S5」は、48Vマイルドハイブリッド仕様となる。
乗り心地

4

試乗車が「TFSIクワトロSライン」だったので、足回りはスポーツサスペンションが標準に。そのため、乗り味は少々固め。それでもボディ剛性が高いので、不快な振動などは皆無だ。後席の広さも十分に確保されており、足元にもゆとりがある。ただクーペライクなルーフデザインということもあり、身長によってはヘッドクリアランスが気になることもありそう。また後席での走行音に少し気になるシーンもあった。後席の利用頻度が高い人は、アバントと比較した方がより納得の選択ができるだろう。
積載性

4

アウディA5セダンのトランク容量は、FF車が445L。4WD車が417Lとなる。BMW3シリーズセダンの480Lよりも小さいが、大きな武器もある。それが大型のテールゲートだ。4ドアクーペ風のデザインは、先代A5スポーツバック同様に5ドアハッチバックとなっているので、トランクの開口部が大きくアクセスがしやすい。もちろん後席は分割可倒式機能が備わる。セダン以上ステーションワゴン未満の使い勝手を実現しているのが強みだ。
燃費

4

A5のガソリン車は、ドイツ車でも珍しくなってきた非電動のピュアエンジン車で、FF車と4WD車で出力の異なる2.0L直列4気筒ターボエンジンを搭載。燃費性能はWLTCモードで、150ps/280Nm仕様のFF車が13.4km/L、204ps/340Nm仕様の4WD車が13.2km/Lとなる。やはりFFの方が良いが、高出力化と4WD化で0.2km/Lの差というのは、4WD車の効率の良さを感じる。この程度の差なら、アウディ自慢の4WD「クワトロ」を選びたくなる。またロングドライブ派にはマイルドハイブリッド仕様のクリーンディーゼル仕様もあり、こちらは4WD車のみだが17.7km/Lとより低燃費だ。
価格

4

プレミアムミッドセダンだけにお手頃とはいわないが、最新のエンジン車専用プラットフォーム「PPC」などの最新技術を満載したアウディ最新世代のモデルが599万円からというのはお買い得感がある。FF車ならクワトロより80万円も安い。もちろん、同セグメントのドイツFRセダンと比べても、エントリーグレードは断然安い。フレッシュさを含めて、ミッドサイズセダンを検討する人は候補に加えてみて欲しい。なおエントリーグレードでも装備は充実している。そして長く愛用する人なら、ガソリン車は非電動のピュアエンジンであることがメリットになるかもしれない。
大音 安弘
大音 安弘
自動車ジャーナリスト
1980年生まれ、埼玉県出身。幼少からのクルマ好きが高じて、エンジニアから自動車雑誌編集者に転身。現在は自動車ライターとして、軽自動車からスーパーカーまで幅広く取材を行う。原稿でのモットーは、自動車の「今」を分かりやすく伝えられように心がけること。愛車はスバル「WRX STI(VAB)」やポルシェ「911(996)」など。日本自動車ジャーナリスト協会会員。
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