アウディ A5 (セダン) 「着実な進化を見せたプレミアムセダン」の専門家レビュー ※掲載内容は執筆日時点の情報です。

瓜生洋明
瓜生洋明(著者の記事一覧
自動車ジャーナリスト
評価

4

デザイン
4
走行性能
4
乗り心地
5
積載性
3
燃費
3
価格
3

着実な進化を見せたプレミアムセダン

2025.9.1

年式
2025年2月〜モデル
総評
一見するとやや保守的にも思える変化だが、基本性能は着実に進化している。また、デザインや助手席ディスプレイなどの採用によって、アウディのアイデンティティである先進性がさらに強調されている。本稿執筆時の2025年9月時点では、価格も含めてこのクラスのプレミアムセダンにおけるベストバイと言えるだろう。
満足している点
走りのよさをはじめとする基本性能の高さは折り紙付きだ。また、ホイールベースが拡大されたことによって、後席のニースペースが先代より改善しているのもうれしいポイントだ。そのほか、最新のインフォテインメントシステムは日本仕様にも標準化されており、従来モデル以上に「プレミアムと日常利用の両立」が感じられる仕上がりとなった。
不満な点
選択肢の幅が広い反面、装備を追加していくと価格が跳ね上がりやすい構成になっている。ベースグレードでも十分な装備を備えるが、先進安全機能や快適装備を充実させるためにパッケージを加えると、想定を超える金額に達することもめずらしくない。また、クーペ風のスタイリングを採用した結果、後席のヘッドクリアランスや視界にはやや課題を感じる部分がある。走行性能を含め全体の完成度は高いが、いくつかの点において、万人にとっての「最適解」とは言い難い点も残る。
デザイン

4

滑らかな面構成と「シングルフレームグリル」を基調にしたデザインは、近年のアウディの文法を踏襲している。ただし、単なる継承ではなく、エッジの効いた灯体デザインや低く伸びるルーフラインによって、先進性とスポーティさが一層強調されている。セダンでありながら後方に大きく開くハッチを備える点は、セダンの役割が変化しつつあることを感じさせる。全体として「機能に裏打ちされた美しさ」が前面に出ており、派手さよりも精緻さを求める日本市場の嗜好に合致していると言えそうだ。
走行性能

4

国内仕様の主力となる2.0L直4ターボは、日常領域での扱いやすさを重視した出力特性を持ち、都市部から高速道路まで幅広く対応する。駆動方式はFFと「クワトロ(4WD)」があるが、らしさを感じるのはやはり後者だ。ただ、個人的にはあえてFFを選ぶのも悪くないとは思う。7速Sトロニックは発進からの切れ目が滑らかで、街中ではストレスを感じさせない。もっとも、スポーツモデルである「S5」との兼ね合いから、A5はあくまで「均整のとれた走り」を重視しているという特徴がある。
乗り心地

5

乗り味は、先代のA4のような引き締め感を持ちながらも、長距離移動で疲労を感じにくい落ち着きが加わった。サスペンションは十分な完成度を持つほか、ホイールベース延長の効果もあって直進安定性は高い。また、ロードノイズの遮断性能やキャビンの静粛性は、同クラスの輸入車の中でも高水準に位置し、後席を含め快適な移動空間を確保している。その仕上がりは、「さすがアウディ」と言うべきものだろう。
積載性

3

広い開口部により大型の荷物を無理なく収納できるのは、従来のA4にはなかった利点だ。後席を倒せば奥行きも十分に確保され、旅行や趣味の用途にも対応する。高級セダンでありながら実用性を高めた点は、日本の限られた駐車環境やライフスタイルにも合致する。一方、リアデザインを優先した結果、荷室の縦方向スペースにはやや課題が残る。
燃費

3

排気量と車格を考えれば、燃費性能は標準的な水準に収まっていると言えるだろう。48Vマイルドハイブリッドを備える上級グレードでは、渋滞や市街地走行でも燃費の安定性が見込まれる。もちろん、燃費性能を優先するなら、そのほかの選択肢も視野に入ってくるだろう。そういう意味では、あくまで「プレミアムセダンとしては妥当な範囲」と言うのが正確かもしれない。
価格

3

およそ600万円からという価格は、セグメント全体で見れば平均的だが、その仕上がりを考えると一定の合理性があると言えるだろう。ただし、オプションを積み重ねると総額は容易に800万円を超えるため、購入時には装備選びが重要となる。とはいえ、ベース仕様でも基本性能は十分に高いことから、それ以上の部分を求めるかはユーザー次第だ。そうした「裁量の広さ」もひとつの特徴と言えそうだ。
瓜生洋明
瓜生洋明
自動車ジャーナリスト
1987年生まれ。大手IT企業や外資系出版社を経て2017年に株式会社ピーコックブルーを創業。現在では平均年齢25歳のメンバーとともに毎月300本超の記事を配信している。愛車のボディカラーを社名にするほどのエンスージアストだが、新しいテクノロジーへの関心も強く、最新モデルは常にチェックしている。
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