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東京モーターショー2017

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ニューモデル
2019.7.09

独立独歩を貫くアルピナ。上質なスポーツ ディーゼルの世界に触れる

BMW ALPINA “Super Sports Diesels”

BMW アルピナ “スーパー・スポーツ・ディーゼルズ”

端正かつパワフルなアルピナ製ディーゼル

「大変だよ。アルピナが買えないっていうんだよ。そんなことある?」妙に切羽詰まった声で知り合いが電話してきたのは昨年末の頃だった。長い話をまとめると概略こんな事情らしかった。

彼は以前からアルピナB3ユーザーであり、もう歳も歳だからと散々迷ったが、思い切って結局新車の購入を決意。奥様の説得にも成功し勇躍ディーラーに乗り込んだところ、「今はありません」と言われて茫然自失、膨れ上がった気持ちのやり場がなくなってしまったようだ。実にお気の毒である。

いや、もちろんクルマがないわけではないのだ。ちょっと考えてほしい。昨年末といえばBMW3シリーズが新しいG20型に切り替わったばかり、当然アルピナはその新型をベースにしたニューモデルを鋭意開発中のはずで、従来型の新規の注文は受けつけていなかったというわけだ。アルピナの総代理店たるニコル・オートモビルズによると、B3の発展型であるB3SもクーペのB4Sも少ないとはいえ間違いなく在庫しているという。

もちろん、せっかくのアルピナの新車だから自分の思い通りの仕様で発注したいのは当たり前。しかしご存知のようにアルピナは一般的な自動車メーカーのようにいくつものラインナップをいつでも用意しているわけではない。何しろ、少量生産なのである。

日本上陸を果たしてから40周年を迎えたアルピナ

E12型5シリーズをベースにしたB7ターボが初めて日本に上陸してから今年でちょうど40年。日本はアルピナにとって有数のマーケットであり、根強いファンも多いのだが、実際のところ、その名は聞いたことがあっても詳しいことはよく知らないという方が大半ではないだろうか。他人から訊ねられても、簡単なキャッチフレーズでは説明するのが難しいクルマの筆頭がアルピナである。

2015年に創立50周年を迎えたとはいえ、生産台数が限られているため、実際に見て乗った経験のある人は少なく、また普通の自動車メーカーのようにCMなどで声高に自己主張しないので、いまだに所詮BMWのチューニングカーだろう、というような不正確な捉え方をしている人も少なくない。そもそも、そんないい加減な発言に対しても、あまり表立った反論をしないのがアルピナの流儀である。分かる人にだけ分かればそれで十分、と考えているふしがある。

2015年に創立50周年を祝ったアルピナ(正式社名は創業者の名前を冠した「アルピナ・ブルクハルト・ボーフェンジーペンGmbH+Co.KG」)は、BMW 1500用のキャブレターの開発からスタートし、歴代のBMW各車をベースにきわめて端正で高品質、そしてもちろん高性能なセダンとクーペ(最近はついにSUVも)を作り続けてきたきわめてユニークな自動車メーカーである。

れっきとしたマニュファクチュアラーとして認められているうえに、たとえばメルセデス・ベンツのブランドのひとつとしてグループ企業となっているメルセデスAMGとは対照的に、現在に至るまでアルピナはBMW本体との資本関係を持たない。それでいながらBMWとの深い協力関係を維持しているという実に珍しいポジションを守り続けている。

生産能力は今でも年間最大1700台というから、あのフェラーリの半分にも満たず、メルセデスAMGとは文字通り桁違いである。それゆえ、新型車の開発中、または発売後はそのモデルの生産に集中しなければならず、既存モデルを並行して作り続けることはできないのだ。

ディーゼルとは思わせずサラリと上品に速い「D5 S」

日本総代理店たるニコル・オートモビルズがアルピナを日本に導入してから40周年を記念して、現行ディーゼルモデルを揃えて試乗会を開催した。メディア向けには初めての開催だという。

ガソリン・ターボで名声を博したアルピナだが、日本ではまだ新世代ディーゼルが注目されていなかった1999年には「D10ビターボ」という当時世界最速のディーゼルセダンを発表、以来高性能ディーゼルモデルも送り出してきた。

ちなみにこの「D10」は従来からのアルピナのモデルネーミング法を変えるきっかけとなったクルマだ。かつては、“A”は4気筒エンジンシリーズ、“B”はM30型6気筒、“C”はM20型スモールシックスベースのエンジンを表し、その後ろの数字はチューニングのレベルを指していたが、現在では“B”はベンズィンでガソリンエンジン、“D”はディーゼル、その後ろの数字はBMW同様モデルシリーズを表わすようになっている。

アルピナD5 Sは新しいG30型BMW5シリーズをベースにしたアルピナの最新ディーゼルセダンで、2017年の東京モーターショーが日本初お披露目だった。4.4リッターガソリンV8ツインターボを搭載するB5ビターボ同様“アルラッド”、つまりxDriveシステムをベースにアルピナ専用チューニングを施した4WD車である。4WDのディーゼルセダンはアルピナ初だという。

直列6気筒3.0リッターツインターボディーゼルユニットのスペックは240kW(326ps)/4000~4600rpmと700Nm(71.4kgm)/1750~2500rpmというもので、この強大なトルクを適切に路面に伝えるためにはもはや4WDは必須ということなのかもしれない。もちろん、アルピナだからディーゼルといっても鈍足であるはずはなく、0-100km/h加速は4.9秒、最高巡航速度は275km/hを誇るという。

ちなみに本国にはツインではなくトリプルターボを備えたさらに強力な仕様のD5Sも設定されているというが、右ハンドル市場には残念ながら導入予定がない。700Nmもの逞しいトルクのおかげでいつでも力強い加速が手に入るのは言うまでもないが、それよりも打てば響くスロットルレスポンスとそれに対応する軽やかな身のこなしが素晴らしい。

ディーゼルエンジンであることも車重2トン近い4WDセダンであることも感じさせず、ごく普通にスロットルを踏むだけでスイッと滑らかに動き出す反応が見事である。ガバッと踏んで勢いよくスタートするのは当たり前、ちょっと踏んでも踏んだ分だけスルリと応える繊細なレスポンスが上質感を左右する。低速では遠くで唸るようなエンジン音とビートも伝わってくるが、一旦スピードに乗ればまったく気にならなくなる。

より強力な「D3ビターボ」を富士スピードウェイで試す

あくまで上品なD5Sに比べると、よりコンパクトで軽量、かつパワフル(こちらは350psと700Nm、エミッション対策による違いという)なD3ビターボは、もっとダイレクトで俊敏だ。こちらでは富士スピードウェイの本コースを走ることもできたが、一般的なディーゼルセダンとは別次元のパフォーマンスを備えている。とはいえ精悍でスパルタンなだけのスポーツセダンではない。あくまでオンロードでの実用性能を重視しているのがアルピナの特徴、BMW直系の「M」モデルとの違いもまさしくここにある。

ベースモデルの5シリーズのモデルチェンジに伴ってD5Sのメーターもフルデジタルに変更されたが、スポーツモード以上を選ぶとアルピナのコーポレートカラーのブルーとグリーンのメーター表示に変化するところにこだわりがうかがえるし、杢目が美しい艶々したクラシックなウッドパネルも今では貴重だ。

エクステリアも抑制されたスタイルが特徴的、迫力を前面に押し出す派手なデザインはアルピナの流儀ではない。たとえば20インチの鍛造ホイールは、以前のようにエアバルブをセンターキャップの中に隠すタイプではなくなったが、従来からの端正な20本スポーク・デザインを踏襲している。

少量生産の“専門店”ならではのこだわりに惹かれる日本のファンは多く、年間400台も売れたことがあるほどだ。スポーツカー好きなら「一度はポルシェ911」と夢見るのと同じように、節度と気品と高性能を備えたBMWアルピナに憧れる人の気持ちはよく分かる。確かに敷居は高いかもしれないが、入ってみると大満足、要するに本物の名店と同じなのである。

REPORT/高平高輝(Koki TAKAHIRA)

PHOTO/田村 弥(Wataru TAMURA)

【SPECIFICATIONS】

BMW アルピナ D5 S ALLRAD

ボディサイズ:全長4960 全幅1870 全高1485mm

ホイールベース:2975mm

トレッド:前1610 後1595mm

車両重量:1940kg

エンジン:直列6気筒DOHCツインディーゼルターボ

総排気量:2992cc

ボア×ストローク:84.0×90.0mm
圧縮比:16.5

最高出力:240kW(326ps)/4000-4600rpm

最大トルク:700Nm/1750-2500rpm

トランスミッション:8速スポーツAT(アルピナ・スウィッチ・トロニック付)

駆動方式:4WD

サスペンション形式:前ダブル・ジョイント・スプリング・ストラット 後インテグラル・アーム

ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク
タイヤサイズ(リム幅):前255/35ZR20(8.5J) 後295/30ZR20(10J)

CO2排出量(JC08):178g/km

燃料消費率(JC08):14.7km/L

車両本体価格(税込):1299万円

【SPECIFICATIONS】

BMW アルピナ D3 BITURBO

ボディサイズ:全長4645 全幅1810 全高1445mm

ホイールベース:2810mm

トレッド:前1540 後1555mm

車両重量:1660kg

エンジン:直列6気筒DOHCツインディーゼルターボ

総排気量:2992cc

ボア×ストローク:84.0×90.0mm
圧縮比:16.5

最高出力:257kW(350ps)/4000rpm

最大トルク:700Nm/1500-3000rpm

トランスミッション:8速スポーツAT(アルピナ・スウィッチ・トロニック付)

駆動方式:RWD

サスペンション形式:前ダブル・ジョイント・スプリング・ストラット 後インテグラル・アーム

ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク
タイヤサイズ(リム幅):前245/35ZR19(8J) 後265/35ZR19(9J)

燃料消費率(JC08):17.0km/L

車両本体価格(税込):1059万円[右ハンドル] 1031万円[左ハンドル]

【問い合わせ先】

ALPINA CALL

TEL 0120-866-250

(GENROQ Web 高平高輝)

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