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東京モーターショー2017

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ニューモデル
2019.4.15

レクサスRC F 初試乗! 走り出してすぐに分かる改善と進化【動画レポート】

LEXUS RC F

Performance Package

レクサス RC F パフォーマンス パッケージ

エンジニアが真っ先に取り組んだのは軽量化

カリフォルニア州のサンタモニカからフロリダ州のジャクソンビルまでを繋ぐアメリカの横断高速道路、通称“アイテン”(インターステイト・ハイウェイ 10)。これを、ロサンジェルス市内からクルマで2時間ほど走ると、それまでしばらく続いていた無機質で見るからに乾いた山肌や荒地の中に、数多の風力発電用風車が忽然と現れる。人間が作った“動く”巨大建造物をこれほど間近で見られる機会は他にあまりないからかもしれない。数え切れないくらいの風車がみな同じ方を向き、早くもなく遅くもない速度でヴォンヴォンと低いうなり声を立てながら淡々と回転する様は、そこはかとなく恐怖すら感じてしまう。その先にパッと広がる砂漠のオアシスのような明るい街がパームスプリングスである。

パームスプリングスは、生い茂るパームツリーと地下の源泉から湧き出る水がその名称の由来とされ、多くの著名人がそこに別荘を建てたことから高級リゾート地として知られている。そこからクルマで約30分のところにあるのがザ・サーマル・クラブ。ここは会員制のプライベートサーキットで、サーキットを取り囲むように分譲地が用意され、いずれも瀟洒な戸建てにはサーキット内にせり出すようにバルコニーが設けられている。すぐ隣には小型ジェット機が離発着できる空港もあって、ここに集う会員は休みになるとプライベートジェットで訪れ、ガレージからお気に入りの愛車を出してサーキット走行を満喫したり、バルコニーからサーキットを眺めたりして楽しんでいるという。

我々にとってはちょっと浮き世離れしたこうしたライフスタイルの雰囲気を少しでも味わってもらおうというのが、レクサスRC Fの試乗会の地としてここが選ばれた理由のひとつだという。

レクサスRCがデビューしたのは2013年11月の東京モーターショーで、翌年10月にハイスペックのRC Fと共に販売が開始された。RCは昨年10月にマイナーチェンジを受けて内外装の意匠変更などが施され、それに伴いRC Fも生まれ変わり、今年のデトロイトショーで初お披露目となった。

RC Fをマイナーチェンジするにあたり、エンジニアが真っ先に取り組んだのは軽量化だという。従来型は1.8トンに近い1790kgもの車両重量を抱えており、これがサーキット走行でのパフォーマンスをアピールする足を引っ張っていた。だからといってあくまでもRCをベースとするモデルである以上、ひと声10kgなどとたやすく重量を削れるはずもない。彼らが行ったのはグラム単位での積み重ねだった。例えば、インテークマニフォールドの機械切削工程のアップデートにより700グラム、フロントサスペンションのスプリング・サポート・ブラケットをスチールからアルミ製に変えて700グラム、リアのバンパーリンフォースにカーボンとアルミを使って500グラムといった具合に可能な限り削ぎ落とせる箇所を削ぎ落とし、結果として日本仕様で20kgのダイエット(1770kg)に成功したという。

シャシーの刷新にも注目

車両重量が軽くなれば、当然のことながら車体の物理的動きも従来型とは異なってくるわけで、シャシーの刷新も図られている。ステアリングラックのマウントブッシュを150%も硬くしたのは、ブッシュのたわみによって前輪のトー変化を誘発しアンダーステアが強くなることを避けるためで、同時にステアリングレスポンスとステアリングインフォメーションの向上を狙ったものである。この他にも、リアのサブフレームのブッシュ類、リアサスのブラケット、エンジンマウントの一部などを刷新したそうだ。

標準装着タイヤはミシュランのパイロットスポーツ4Sだが、これはRC F専用スペックとなる。量販型のパイロットスポーツ4Sとの違いはショルダー部分のプロファイル、ビード部分の延長、そして台形のフォルムなどに加えて、ドライでのグリップ性能を高めるべくトレッド外側のエッジ部分のシリカの配合をオリジナルとしている。ここまですると、名称は同じでもほとんど別のタイヤと言えるくらいの専用設計である。

スロットルレスポンスを改善したV8自然吸気エンジン

エンジンは5リッターのV型8気筒自然吸気ユニットを従来型からキャリーオーバーしているが、パワースペックは見直され、最高出力は+5ps、最大トルクは+5Nmの472ps/535Nmとなった。このパワーアップは狙ったものというよりも、スロットルレスポンスをアップするために施した改良の副産物と言えるだろう。スロットルレスポンスを向上させる手段のひとつに、吸気側をいじって空気の流れをよりスムーズにする方法がある。新型ではインテーク側のパイプ内にスタビライザーフィンを設け、吸入される空気の流れを最適化したという。また、これまでは3600rpmを超えると作動していたインテーク内のポートインジェクターが2800rpmから燃料を吹くようになり(このエンジンは直噴とポートインジェクターの併用)、エンジン音がよりスポーティに変化するとともに、低回転域でのドライバビリティも向上している。トランスミッションはトルクコンバータ付きの8速ATのままであるものの、最終減速比は2.977から3.133に変更され、あらたにローンチコントロールも装備された。

パフォーマンスパッケージはさらに軽量

そして今回の最大のトピックは、主にサーキット走行に主眼を置いた“パフォーマンスパッケージ”(輸出名は“トラックエディション”)が追加された点にある。パフォーマンスパッケージはさらなる軽量化が図られており、従来型のRC Fよりも70kg、新型のRC Fよりも50kgも軽くなっていて、標準装備のブレンボ製カーボンセラミックブレーキローターだけで、バネ下が22kgも軽くなったそうだ。またエキゾーストシステムの触媒から後方をチタン製にすることにより、従来のスチール製よりも7kgの軽量を実現。ルーフやボンネットのみならず、フロントのロワーリップスポイラーやリアウイング(固定式)、リアシート後方のパーティションブレースをCFRP製にするなどお金をかけたダイエットを実行しているが、スポイラーやウイングは整流効果、ブレースはシャシーの剛性アップという機能性も備えている。

改善された剛性感とフィーリング

ノーマルのRC Fもパフォーマンスパッケージも、走り出してすぐに感じたのは剛性感の高さだった。具体的には、重いパワートレインがしっかりと支えられていて、ボディやシャシーと一体化しているような感じ。従来型はパワートレインが若干動いてしまい、サーキットなど繊細なステアリングワークが求められる局面ではそれが操縦性や車両の挙動に少なからず影響を及ぼすようなこともあったが、新型では完全に払拭されている。ステアリングの手応えは良好で、レスポンスもいい。レスポンスがいいというのはゲインが高くてナーバスという意味ではなく、あくまでもステアリングを介したドライバーの入力に対する反応がビビットで素直という意味である。やはりフロントの重さは実感するものの、前輪にすぐに荷重が乗ってしまうような所作はあまり見られず、例えばターンインでは荷重移動のことを意識せず普通にステアリングを切っていくだけで、後輪には適度な荷重が残ったままだった。FRで前後重量配分に偏りがあって(=フロントのほうが重い)、これくらいのトルク(=500Nm以上)があるクルマでは、後輪のトラクション不足が懸念されるけれど、RC Fにその心配は不要だった。

的確な反応をみせるV8エンジン

エンジニアの狙い通り、スロットルレスポンスも従来型より明確に向上している。ただこれもステアリングレスポンス同様、決して敏感過ぎるレベルではない。スロットルペダルの微少な動きに対してそれを見逃さず、的確に反応する。まるでゴムを伸ばすような加速感はまさにNAならではで、最近の過給機付きのエンジンの感触が染みついてしまった身体にはなんとも心地いい。ターボの加速は動く歩道の上を走っているような、明らかに外的サポートを受けている感じであるのに対して、NAの加速はあくまでも自分の力だけで速度に乗っていく感触がたまらない。おそらく、大排気量の自然吸気エンジンの余命はもう幾ばくもないだろう。それを思うと、このエンジンだけでもRC Fを所有する価値があると言えるかもしれない。

狙いが明確な「TVD」と「機械式LSD」

ノーマルのRC Fとパフォーマンスパッケージのスペック上での大きな違いは車両重量くらいだが、リアデフで差別化が図られている。ノーマルのRC Fは従来型と同様にTVD(トルク・ベクタリング・ディファレンシャル)と呼ばれる電子制御式ディファレンシャルが装備され、パフォーマンスパッケージはトルセン式LSDのみ。TVDのほうがその効果が分かりやすく、一般道を普通に走っていても面白いように曲がって嬉しさが容易に享受できる。いっぽうで、サーキットを本格的に走ろうとするならば、電子制御デバイスは腕に覚えるのあるドライバーにとって時におせっかいな代物になりかねない。その点、機械式のLSDのほうが作動が自然でドライバーのコントロールの邪魔をしないし、重量もTVDより軽い。だからノーマルにEデフ、パフォーマンスパッケージにトルセン式LSDという選択は大変賢明なのである。

新型RC Fで唯一、気になったのはブレーキペダルの剛性感だった。減速Gの立ち上がり方や制動力自体にはまったく不満はないものの、特に強く踏み込んだ時にしっかりと受け止めてくれペダルの剛性感が足りずなんだか心許ない印象を抱いてしまう。加えて、吊り下げ式ペダルの取り付け角度とストロークの関係なのか、踏み込んでいくに従って足の裏の当たる位置が微妙にずれていくような感覚があって、その点だけが残念だった。

ロングドライブはキツい?

両車にはサーマルクラブのトラック以外に一般道でも少し試乗することができた。ノーマルのRC Fはドライブモードをコンフォートにすれば乗り心地は良好で、これなら長時間でも十分耐えられるし同乗者からも文句は言われないだろう。電子制御式ダンパーのセッティングが異なるパフォーマンスパッケージのほうが明らかに減衰が早く、身体が上下に動く回数が多い。感覚的には、ノーマルのスポーツS+がパフォーマンスパッケージのコンフォートくらいの乗り心地だったように思う。パフォーマンスパッケージでのロングドライブは少々キツいかもしれない。

ノーマルのRC Fならロングドライブの後でサーキット走行を楽しんで、また帰るという楽しみ方ができるだろう。パフォーマンスパッケージは、まさにサーマルクラブの会員のガレージに収まるにふさわしい1台と言える。

REPORT/渡辺慎太郎(Shintaro WATANABE)

https://www.youtube.com/watch?v=PSZAJ7Smbpc

【SPECIFICATION】

レクサス RC F パフォーマンス パッケージ

ボディサイズ:全長4710 全幅1845 全高1390mm

ホイールベース:2730mm

トレッド:前1555 後1560mm

車両重量:1720kg

エンジン:V型8気筒DOHC32バルブ

総排気量:4969cc

圧縮比:12.3

最高出力:472hp/7100rpm

最大トルク:536Nm/4800rpm

トランスミッション:8速AT

駆動方式:RWD

サスペンション形式:前ダブルウイッシュボーン 後マルチリンク

ブレーキ:ベンチレーテッドディスク

ディスク径:前380×38 後380×28mm

(ノーマル:前380×34 後345×28mm)

タイヤサイズ(リム幅):前255/35R19(9J)後275/35R19(10J)

最高速度:270km/h

0 – 60mhp加速:3.96秒(ノーマル:4.2秒)

【問い合わせ】

レクサス インフォメーションディスク

TEL 0800-500-5577

(GENROQ Web GENROQ Web編集部)

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