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パリモーターショー2018

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ニューモデル
2019.7.20

【メルセデスベンツ EQC】メルセデス初のEVはなぜミドルクラスSUVなのか? 開発責任者に聞いた

メルセデス・ベンツ日本は、7月4日にブランド発信拠点の「Mercedes me Tokyo」」(東京都港区六本木)で、日本におけるメルセデスベンツ初のピュアEV(電気自動車)、『EQC』のプレス発表会を行った。

電気のみを動力とするEQCは、クーペの魅力も併せ持つクロスオーバーSUVである。デザインやメカニズムに先進性の表現を積極的に採用し、メルセデス・ベンツの特徴である卓越した安全性や操縦安定性、快適性、利便性、品質なども高いレベルで実現した。最初に発売されるのは、EQCの日本発表を記念して55台だけ限定発売される特別仕様車のEQC400エディション1886(販売価格1200万円)だ。

◆EVもフレキシブルな生産体制で対応

発表会の会場にはEQCの開発責任者を務めたダイムラーAGのミヒャエル・ケルム氏も姿を見せ、EQCの商品説明を行った。また、発表会の終了後、プレスとのラウンドテーブル・インタビューを実施し、開発の経緯やさらに細かい解説を加えている。

----:EQCの開発プロジェクトは、どのような形でスタートを切ったのでしょうか?

ミヒャエル・ケルツ氏(以下:敬称略):動き出したのは2009年です。電動化を視野に入れた「MRA1(メルセデス・リアホイール・ドライブ・アーキテクチャー)」を誕生させました。EVの可能性を討論したものの、このときは時期尚早と判断し、正式なプロジェクトには発展させていません。動き始めるのは2014年です。このプラットフォームを使い、電動パワートレインを備えた「EVA1」を試作しました。

取締役などの役員を集めた会議で承認されたのは翌2015年の4月です。ここからEQCの製品化に向けて動き出しています。2016年のパリモーターショーでコンセプトカーの『ジェネレーションEQコンセプト』を発表しました。ミッドサイズのクロスオーバーSUVです。量産に向けた試作車は2017年6月に完成し、正式発表は2018年9月です。スタートしてから3年半ほどで発表にこぎつけることができました。

----:専用設計ではなく、MRAをベースにしたプラットフォームを採用した理由は何なのでしょうか?

ケルツ:工場レベルにおいて柔軟性を確保したいと思ったからです。EQCの開発を開始したとき、私たちはどれくらいの台数が売れるのか、予想がつきませんでした。補助金などもどのようになるか分からなかったからです。そこで状況によって生産量を迅速に上下に調整できるように、ハイブリッド車や内燃機関のクルマと基本的な設計を同じくし、同一ラインで流せるようにしています。

----:EQCの生産を行うのはブレーメンの工場ですね。ブレーメンを選んだ理由は?

ケルツ:ブレーメンの工場は、『GLCクーペ』など、他のメルセデスのクルマと同じラインを使って生産することができます。EQCは全体の85%が新しい専用パーツです。しかし、この工場にはフレキシブルな生産体制が整っています。だから他のメルセデス車と同じラインで流すことができ、専用となるのはアームを用いてフロア下に駆動用バッテリーを組み付ける工程だけとなっているのです。

GLCベースにした理由とメルセデスらしいEVの魅力

----:ミドルサイズと呼ばれる『GLC』クラスのクロスオーバーSUVからEVをスタートさせた理由を教えてください。

ケルツ:EQCがGLCをベースにした最大の理由は、このセグメントが世界で見てもっとも大きく成長しているからです。また、GLCは私たちが想定したよりも走りのポテンシャルが高かった。だからGLCと同じセグメントにEVを投入すれば多くの人を獲得できると思ったのです。もうひとつ付け加えると、このミッドサイズSUVをベースにした理由は、このセグメントが大きく成長している市場であることに加え、そのパッケージングが利便性に優れていることです。多くのユーザーは利便性を求めています。駐車しやすいし、速く走りたいという要求にも応えられます。

----:車種を共用化したことのほか、重要視したのは何でしょうか。

ケルツ:ひとつはコスト削減することですね。EVはバッテリーの生産量によってクルマの生産台数は大きく変わってきます。そのため生産はできるだけ柔軟に対応できるようにしたかったし、変更も迅速にできるようにしました。工場の稼働についても、できるだけ高いレベルを維持できるようにし、コストアップを招かないように気を配っています。

----:このEQCでは、メルセデスベンツらしさを出せたのでしょうか? デザインは誰が見てもメルセデスベンツですね。他メーカーのEVと違うところは何でしょうか。

ケルツ:メルセデスらしさと言うと、圧倒的な静粛性と上質な乗り心地などの快適性です。サスペンションは乗り心地を重視してセッティングしていきました。また、見た目ですね。近づいたときに他のメルセデス車と変わらない印象を持つことができます。ホームフィーリングと呼ぶ、自宅に戻ってきたような心地よさを大事にしました。

----:苦労したのはどういった点ですか?

ケルツ:開発で苦労したのは、セダンより表面積の大きいSUVなので、空気の抵抗が大きいことです。空力性能は徹底的に詰めていきました。空気抵抗係数はCd=0.28まで減らしましたが、最後に頑張って最終的に0.27を実現しています。また、街乗りで最良な乗り心地を得られるように、こちらもファインチューニングを施しました。もうひとつの課題は車両重量ですね。SUVはタイヤが大きいし、EVは重いので軽量化に努めました。

◆今後の電動化ビジョンは?

----:日本での正式発表が2019年7月になった理由は? 右ハンドル化と日本の急速充電への対応で苦労した点はありますか?

ケルツ:グローバルでの正式発表は2018年9月にスウェーデンのストックホルムで行いました。が、量産車の生産は2019年3月になっています。そして7月に日本で正式発表を行いました。正式発表から10カ月で日本向けの右ハンドル車を送り出したのだから、導入が遅いとは言えないと思います。海外で発売するためには多くの難問があるので、生産するほうも複雑になります。日本では認証を取る問題があります。だから一つ一つ、国ごとに入念な対策を行っていきます。右ハンドル車への変更は、生産レベルでは6週間で終えることができました。もちろん、日本の急速充電器でも不具合が出ないように対策と検証を行っています。

----:ヨーロッパの2030年排ガス規制は、かなり厳しいものですが、メルセデスベンツはどうやって乗り切っていくのでしょうか。

ケルツ:内燃機関を含め、規制を乗り切るために柔軟な対応をしていきます。EVと呼ばれる電気自動車は10車種の展開を予定しています。軌道に乗ってくれば、EV専用のプラットフォームを採用することも考えています。また、内燃機関も電動化は不可欠なので、EQパワーやEQブースターといったハイブリッド車やプラグインハイブリッド車も積極的に投入していきます。期待してください。

(レスポンス 片岡英明)

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