掲載期間:2016年9月21日〜2016年10月20日

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ニューモデル 2018.8.15

公道対決 日産GT-R vs フォード・フォーカスRS 後編 回顧録

もくじ

ー GT-Rに食らいつくフォーカス
ー 現実世界という制約
ー バランスのとれたフォーカス
ー 公道ではフォーカスを振り切れない
ー ハッチバックの完全勝利

GT-Rに食らいつくフォーカス

GT-Rの疾走ぶりをとらえた画像をご覧いただきたい。一見したところ完璧である。だが、中でドライブしているわたしにとってはそうではない。実はGT-Rのバックミラーには、直後で踊るフォーカスの姿が常に映っていたのだ。

正直にいえば、これは最初からある程度は予想していたことで、それほど驚くような事態でもなかった。この道はどう考えてもフォード側に有利な舞台であって、重量が250kgほど軽く、テールで5cmはスリムで、しかも(これが最大の要因だが)14cmもホイールベースが短いのだから当然であろう。

フォーカスに比べると、GT-Rをドライブするときにははるかに注意を払う必要がある。極限的には、横方向の加速度でフォーカスに勝っているのは疑問の余地はない。だが、ことこの公道上においては、まるで滑稽に見えるほどひょいひょいと身軽に方向を変える敵を前に、その優位点はなんの役にも立たなかった。

GT-R自慢のDCTがここで優位を発揮する機会はほとんどなかった。この場でフォーカスがGT-Rに対して決定的に不利になる要素といえば、パワーとグリップだけだ。しかしそれも、ただ定期的に片手をステアリングから離してクラッチをひと踏みし、もっともパワフルなギアレシオをキープしていればそれでいい。コンパクトなボディを利して難なく食いついていける。

ここまでが第1ラウンドである。事実上の勝利はフォードのものとなった。この情報を確定事項として記録したわれわれは、もっと開けた幅の広い新しいコースへと移動し、日産側に有利な場所で勝負の行方を見極めることにした。

現実世界という制約

わたしは依然としてGT-Rがその潜在能力を完全に発揮したらどれだけ速い走りになるか想像もつかなかったが、それは要するにここまでのところは決してそれを試そうとしなかったからだ。考えただけで身震いがする。走行中のほとんどでフル加速を控えさせた唯一のリミッターは、単純にわたしの「良識」だった。

われわれは速く走ったし、その速さはわたしにとってはこの道路の場所を公表するのがはばかられるほどだ。しかしいつでも、そして誰が運転していても、われわれは意識して手綱を引き締めており、このクルマを可能な限り速く走らせたいという自然な欲望をがっちりと抑制していたのである。

だから、どれほどグリップが驚異的にすごくても、どれほど加速が爆発的であっても、どこか網にとらわれたライオンのような欲求不満につきまとわれていた。

フォーカスにはそんな問題はどこにもない。公正のためにいっておくと、低速コーナーの脱出でフォーカスがパワーを路面に伝えきれずにもたつき、GT-Rに一気に離されそうになる局面もあったのだが、それでもはるかに遠慮なく持てる力を存分に発揮できたので、ついていくのは予想したほどにむずかしい作業ではなかった。

バランスのとれたフォーカス

それだけでなく、ある批判的な視点で判断するなら、こちらのほうがGT-Rより完全に優れているともいえる。公道でクルマを走らせて楽しむには、フォーカスのようにドライバーが自信を持って走れるだけの性能を備えていれば、それだけで十分なのだ。クルマにできる最善のこととは、ステアリングを握る者に一体感を与え、そして走りへの情熱を満足させつつ失敗を見逃してくれるという寛容さではなかろうか。

そしてフォーカスは、素晴らしく切れのいい明晰なステアリングと優れたシャシーのフィール、それに別世界のようなバランスのよさを備えている。それに比べるとGT-Rは、ちょっと切れの悪いリモコン操作のような感触がある。

3速で走り抜ける中速コーナーで誤ってわずかに速い進入速度をとってしまい、いきなりリフトとターンインが発生しても、リアサスが平然とクルマの姿勢を修正して見事にニュートラルに戻してくれるとしよう。ここがもしサーキットだったら、そのままスロットルペダルを踏み続けてどこまでドリフトが持続できるか見極めたくなるところだ。

しかし、このような公道では、スロットルペダルを踏むのはノーズが無事にアペックスを通過してから、クワイフのデフと素晴らしくクレバーなフロントサスが脱出時のトラクションを確保してくれるのを確認するためでしかない。加えて、どちらも同じようなハイチューンエンジンながら、ラグが少なくスロットル操作への反応に優れるのはフォーカスのほうのそれだった。

公道ではフォーカスを振り切れない

この峠道を走って過ごした2日間は、今の世代でもっとも注目に値するクルマ2台とともに過ごした2日間であり、その秘密を数百kmを超える真剣な走り込みによって徹底的に解明した2日間であった。終わりを迎える頃には、結論は疑問の余地のないものとなっていた。

このテストでは、前輪駆動のハッチバックが現在最高にして最速のスーパーカーと対等に走るところを目の当たりにしたが、それ以上に重要ななにかを、フォーカスRSからは学んだ。本来の質問に対する回答はシンプルで、フォーカスに有利な道で得られた結論そのままだ。

このクルマは常にGT-Rの後ろに張り付き、決して離されることはなかった。GT-Rは自分に有利な後半戦でこそフォーカスを抜き去って見せたが、公道を走るにあたって必然的に課せられた制約という呪縛を振り払えはしなかった。

さらに、興味深くも予想もしていなかった発見は、どの道を走るかにまったく関係なく、戻ってくるたびに奪い合いになったのはフォーカスのほうのキーだったという事実である。

ハッチバックの完全勝利

これほどまでに運転して心の底から楽しめるなら、グリップやパワーに劣るという弱点などまったくどうでも良くなってしまう。わたしにとっては、速さは運転を楽しむための手段である。決してそれ自体が目標ではない。要するに、そういうことだ。

誤解のないよう補足しておくが、ここが北ヨークシャーではなくニュルブルクリンクだったなら、パドックに放置されるのはフォーカスのほうだっただろう。今回のテストでフォーカスがいかに素晴らしい成績を達成しようとも、GT-Rの信じがたい業績の価値を下げることには決してならない。

しかし、単純な真実として、この現実の世界ではフォーカスのほうが性能を発揮する機会がはるかに多い(これは簡単に予測できるだろう)だけではなく、乗っていてはるかに楽しくもあったというだけのことなのである。

何年か前、廉価なハッチバックがスーパーカーを相手に引き分けに持ち込むという名誉を記録したことがあった。今日はハッチバックの完全な勝利であると、包み隠さず断言できる。

(AUTOCAR JAPAN 編集部)

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