この走破力、ハンパじゃない!
大改良したスバル フォレスターでいろんな“道”を走ってみた

スバルらしさがいっそう強調されたフロントフェイスが勇ましい

今日一日、今年8月に新しくなったスバル「フォレスター」を自由にしてよいという。2018年6月にフルモデルチェンジしたフォレスター。歴代どのモデルも進化を果たしてきたが、現行の第5世代で車台にSGP(スバルグローバルプラットフォーム)を得て、動的質感が一足飛びに進化した。登場直後に試乗し、操作に対する反応が素早く、正確で、快適性も一気に増したことに驚いたのを思い出す。今回改良が加えられ、どう進化したのか。行き先はすぐに決まった。東京を抜けて西へ向けて出発した。

新型を眺める。デザインが少し変わった。すぐに気づくのはフロントグリルの変化だ。より明確なヘキサゴン形状となったほか、サイズ自体が大きくなった。一方でヘッドランプはやや小型化し、一部が内側へ食い込む形状に。スバルが「BOLDER(より大胆な)」思想を取り入れたという通り、フォレスターらしさがさらに際立った。遠くからでも「スバルがきた!」と認識されやすくなったはずだ。アルミホイールも新意匠となった。新たに採用されたシートは座り心地がよいだけでなく、ナッパレザーの質感が高く、見て、触れて楽しむことができる。

Advanceにメーカーオプション設定される、ブラウンのナッパレザーとブラックの合成皮革のコンビネーションで仕立てたシート。見た目の上質感だけでなく、座り心地も良好だ。
ユーザーからの要望で追加されたというカーゴアッパーフックは天井部に2箇所設置され、1箇所当たりの許容荷重は3㎏。荷物を直接引っかけておけるだけでなく、カラビナやロープを通して吊るすことも可能だ。

0次安全という「目で見えること」へのこだわり

ステアリングホイールと運転席の前後、高さを調節し、ルームミラーとドアミラーも正しく合わせて運転環境を整える。調整代が十分で、これならだれでも好みのポジションを得られるはずだ。感じるのは視界のよさ。ワイドでパノラミックに広がるフロントウインドウは運転のしやすさ、安心感につながる。フォレスターの車体サイズは小さくないが、SUVならではのちょっと高い目線とボクシーなスタイリングのおかげで車両感覚をつかみやすい。

視界のよさは前方のみにとどまらず、Aピラーとドアミラーの間にあえて隙間を設け、小さなウインドウ越しに斜め前方の視界を得やすいデザインになっていることにも感心する。前後左右のどのウインドウからでも1m程度の高さの物が視認しやすいよう設計しているとのこと。このあたりの細かい工夫からもスバルが掲げる0次安全の思想を見てとることができる。

今回のマイナーチェンジで追加されたエアコンの設定温度をジェスチャーで調整できる「ジェスチャーコントロール」も、ドライバーの視線移動を減らすためのものであり、0次安全に代表されるスバルの人を中心としたクルマ作りに基づく機能だ。
2.0L直噴エンジン(最高出力145ps/最大トルク188Nm)とモーター(同13.6ps/同65Nm)を組み合わせた「e-BOXER」を搭載。発進時や加速時にはモーターでアシストし、エンジンと協調しながらスムーズで軽快な加速を生みだす。

賢くなったCVTがe-BOXERの実力をさらに引き出す

混んだ都心を抜けて高速道路へ。2リッター4気筒水平対向エンジンとハイブリッドシステム「e-BOXER」の組み合わせは、スペックに派手さはないものの、実用域のトルクが厚く、速度域を問わず扱いやすい。気づけばスバル車も静粛性が高くなった。往時の野太いボクサーサウンドが懐かしくないわけではないが、多くの人にとってはこの静かさは歓迎すべきものだろう。今やクルマ好きだけのスバルではない。

高速道路を降り、まっすぐ目的地へ向かうのではなく、グレードを問わず手が加えられたという足まわりをチェックすべく少し遠回りしてワインディングロードへ。正確なハンドリングによって狙ったラインをトレースできるのでコーナリングのたびに頬が緩む。ついついペースが上がるが、それでも自然なロールが保たれ、安心してドライビングを楽しむことができる。走行中はSUVであることを意識させられることがない。

ワインディングを走らせて楽しい理由はCVTの制御にもある。おなじみのSI-DRIVEでスポーツモードを選択すると、アクセルやブレーキの操作状況などからシステムがドライバーの意図をくみ、コーナリング中のエンジン回転を高めにキープして安定性を増すほか、コーナーからの脱出時にモーターアシストを強め、力強い加速を可能とするe-アクティブシフトコントロールが備わったのだ。何かの動きが突出して目立つわけではないが、車台、足まわり、制御系が連携し、総出で走行性能を上げているわけだ。スバルらしい職人技といえる。

新型フォレスターは先代からホイールベースを30mm拡大し、そのすべてを後席スペースに使用。そのため後席の広さはなかなかのもの。大人4人の乗車は「余裕」だ。
リヤドア開口部にあるステップはフォレスターのちょっとした利点。フラットな形状で乗降時だけでなく、ルーフ積載時のアクセスや、洗車時などの足場にもなる。

「X-MODE」まで備えた走破性が、安心感のある走りを下支えする

そしていよいよ目的地へ。富士山麓にある本格的なオフロードコースにフォレスターを解き放った。220mmのロードクリアランスのおかげで、ごつごつとした岩が無数に転がる区間だろうと人工的に左右互い違いの小山を設けたモーグル区間だろうと確実に走破していく。ならばとグラベルの登坂路に挑戦してみた。ここは本格的なオフローダーでしか試したことがない。途中まで順調に進んでいたフォレスターだが、角度が増してくると徐々にズリ、ズリと各輪がスリップし、速度が落ちてくる。ここまでか!?

いやこっちにはX-MODEという隠し玉がある。別に隠してはないのだが。ダイヤルスイッチを操作して2モードあるうちの「スノー・ダート」を選び、アクセルペダルをふみ続ける。スリップし始めた車輪に瞬時にブレーキがかかり、他の車輪にトルクが回る。またブレーキ制御のみにとどまらず、エンジン、CVT、VDC(横滑り防止装置)などを駆使してトラクションが最大化され、止まりかけたフォレスターが再び力強く前進し始める。

X-MODE作動中は減速を自動制御してくれるヒルディセントコントロールもオンになるため、下り坂に差し掛かっても慌てることはない。ドライバーはステアリング操作に専念し、坂に対しまっすぐ下ることに集中すればよい。本格オフローダーもかくやというフォレスターの優れた走破性は、雪道や突然のゲリラ豪雨といったシチュエーションでも走りを下支えする。頼もしいぞX-MODE! 頼もしいぞフォレスター!

「スノー・ダート」、「ディープスノー・マッド」の2つのモードを持つX-MODE。これまでは作動をONにした後40km/hを超えると機能がキャンセルされ、復帰するには再度スイッチを入れ直す必要があったが、改良で35km/h以下になると自動で復帰するように変更され使い勝手が向上した。
オフロード走破性能と聞くと、デコボコ道や急な上り坂の走破力をイメージしがちだが、「下り坂」もかなり重要。X-MODEには、常に一定の車速を維持する「ヒルディセントコントロール」を採用し、様々なシチュエーションでその威力を発揮する。
前方の死界を減らすフロントビューモニター(メーカーOP)とサイドビューモニターは、街中だけでなくオフロードでも活躍する。例えば急な上り坂の頂上ではその頂点がボンネットに隠れて全く見えなくなるが、フロントビューモニターを使えば頂上の先がどのようになっているのか確認することができる。

性能向上した最新のアイサイトにサポートされながら帰路につく

悪路に差し掛かった際、まず四輪の接地性が高いからトラクションが抜けにくい。そして接地しきれない車輪が出てくれば制御で対応しトラクションを維持するという基本と応用の2段階の対策によって、フォレスターの悪路走破性は一般的なSUVの域を超え、オフローダーと呼ぶべきレベルに達している。飽きるまで悪路を楽しみ、きれいだったクルマを汚した。多少汚れていたほうが“それらしく”見えるのはスバル車あるあるだ。

帰路はアイサイトのお世話になる。正直に言えば往路でもお世話になった。先行車との車間の確保のしかたが適切で、先行車の車速が変化しても近づきすぎることも離れすぎることもないのは相変わらずで安心感が高い。また区画線を認識しての車線中央維持アシストは動きが正確。アシストがこれみよがしでなく、さりげないのがよい。区画線を認識できない場合は先行車を認識して追従する。前方の車両や区画線などを認識するステレオカメラのカバー角度が広がったため、渋滞時の区画線認識能力は明らかに向上した。

もちろん、視線は前方を注視しつつ、手足もいつでも運転に戻れるような態勢でいることがマストだが、この時間は肩の力をしっかり抜いて、ホッとひと息つかせてもらえる。これがどれだけありがたく、その後の運転への活力復活に貢献することか。あらためて実感したのだった。

「新世代アイサイト」は、広角化したステレオカメラの採用やソフトウェアの改良などにより、これまで以上に急なカーブでの追従や近距離での割り込み車両への対応、また交差点での巻き込み事故対応も可能になった。
後席にはUSB電源(全車標準)とリアシートヒーター(TuringはメーカーOP)を装備。後席は居住空間の広さと装備の良さが相まって快適そのものだ。
ちょっとした袋や小物などを吊り下げられるカーゴサイドフック、カーゴルームにあることで様々なシーンで活用できる電源ソケットなど、ユーティリティの充実ぶりもフォレスターの魅力だ。

走りと安全性能だけではなく実用性も高いオールラウンダー

丸一日フォレスターと付き合い、オン/オフ両面での運動性能の高さ、0次安全思想と先進的な予防安全装備の組み合わせによる安心感の高さをじっくりと味わうことができた。

今回同乗したのはスタッフだったが、次は家族や趣味の仲間を乗せたい。520Lもの容量を誇るラゲッジルームに荷物を満載して遠出すれば、私の株は上がるだろう。なぜなら後席の広さは十分で、リクライニングまで可能。さらに後席にもシートヒーターが備わるからだ。後席乗員用のUSBポートが備わるのもスマホを手放せない現代人にはポイントが高い。守備範囲の広さが印象に残るクルマだ。

レポート:塩見智 / 写真:篠原晃一

グレードは2.0L DOHC 直噴+モーター(e-BOXER)を搭載する「Turing」、「X-BREAK」、そして今回試乗した「Advance」の3グレードと、1.8L DOHC 直噴ターボを搭載する「SPORT」の1グレードという計4グレードを設定。
フォレスターで様々な道を体験したのは自動車ジャーナリストの塩見智氏。山陽新聞社、「ベストカー」編集部、「NAVI」編集部を経て、フリーランスのエディター兼ライターに。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

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