新しいスカイラインは古さも残るが手放し機能は革命的。道交法の矛盾まで見えてくる
掲載 更新 carview! 文:五味 康隆 /写真:菊池 貴之
掲載 更新 carview! 文:五味 康隆 /写真:菊池 貴之
自動運転関連の技術では、今までBMWやメルセデスやテスラなど、海外勢の制御レベルに先を越されていた感があったが、プロパイロット2.0によって日産は世界のトップランカーとなった。それほどこの制御は凄いし、価値観が変わる。感覚として、運転者はパッセンジャー(乗客)にもなるのだ。
運転から解放されると、両足はペタッとフロアに置き、手は肘置きか腕組みなど楽な姿勢を取るようになる。するとハンドルからの情報がなくなり、運転感覚が一気に変わる。従来のプロパイロットとの差は歴然だ。
そうなると、今までは気にしなかった走行振動など、乗り心地に意識が向いてくる。残念だったのは乗り味が硬いことで、245/40R19の大径ランフラットタイヤの影響もあるが、路面によっては鋭い突き上げ感やゴトゴト音が出る。さらに厳しい意見となるが、突き上げなどの振動が車体全体に響きやすく、慢性的に運転席足元フロアが微振動を起すあたりに、ボディ周りの設計の古さを感じる。
3.5L V型6気筒エンジン+モーターは十分ハイパワーで、スポーツ系のV6ターボモデルなど要らないと思わせる速さを備えているから、スポーツセダンですと言われればしょうがない面もあるが、もう少し快適性と静粛性が欲しいところだ。
ちなみに同時に試乗したV6ターボモデルには電子制御サスが入っており、突き上げや走行振動が緩和されていたが、ハイブリッドにもOP設定がほしい。ちなみに後席はシートクッションがフロントシートより厚く、快適だった。
最後にひとつだけ課題を指摘しておきたい。高速道路でもジャンクションなどでは法定制限速度が60km/hや40km/hになる。ここをプロパイロットで走れば標識認識機能によって自動的に減速することになる。しかし、良し悪しを置いておくと、現実には周囲の交通はずっと速い速度で流れているため、追突の危険や交通の流れの妨げ、あおり運転を誘発する要因となってしまうだろう。
もちろん法律上は制限速度が絶対だが、この制限速度と実際の交通の流れの乖離をどう踏まえるか? 交通インフラを巻き込んだ政治的な判断が必要になるはずだが、標識認識機能による設定車速変更、もっと言えばジャンクションで設定された制限速度は、リアルワールドでの実情にマッチしていないのではないだろうか。
レベル2の自動運転によってドライバーが部分的にパッセンジャーとなる大変革がスタートした今、ユーザーメリットを踏まえると、それら制限速度まで見直すタイミングになっているのかもしれない。交通の変革の必要を迫るほどプロパイロット2.0は革新的だ。
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