アルファ ジュリアの走りは3シリーズに匹敵。残るはドイツに負けない先進感
掲載 更新 carview! 文:山田 弘樹/写真:篠原 晃一
掲載 更新 carview! 文:山田 弘樹/写真:篠原 晃一
しかし伊達なだけじゃなく、中身が伴っているのがこのジェネレーションのアルファロメオである。小径のステアリングを切って行くと、まさに思い通りにクルマが曲がる。これだけパワステが軽いにも関わらず手の平にはタイヤからの接地感が伝わってきて、だからこそ自信を持ってこれを切り込んで行ける。サスペンションはしなやかにロールし、これが深まるほどタイヤのグリップが上がって行く。この横Gを支えるシートも、歴代で一番体にフィットする。「156 GTA」の、ものすごくカッコよいけれど全く体を支えなかったシートがウソのようだ。
5500rpmからレッドゾーンが始まるエンジンは、6000rpmまできっちり回る。低回転でトルキーに走らせても何ら文句はないが、高回転まで滑らかに回るターボユニットのフィーリングをスポーティかつ優雅と感じさせてくれるほど、シャシーには余裕がある。8速のギアを持つトランスミッションは、ロックアップの確かさと歯切れの良い変速スピードによってトルクコンバーターを意識させない。まさに280PSが手の内にある。それがQ4 ヴェローチェの美点だ。
その最大の秘訣となるのは、ジュリアとステルヴィオのために開発されたプラットフォーム「ジョルジオ」だ。このボディは歴代アルファロメオの中でも、文句なしに一番の剛性と完成度を持っている。ここまで見事にサスペンションを動かせるボディは、初代ジュリア以来だと断言できる。あまりにも長すぎた復活劇だ。
そしてこれを支える駆動方式は、今回のQ4 ヴェローチェはFRベースの4WDとなる。折しも当日は生憎の天候だったが、そのスタビリティは文句なし。むしろ4WDをまったく意識させずに素直な旋回性を維持しながら、安心してパワーをかけていくことができる。
この完成度はBMW3シリーズに匹敵すると思う。そして両者を区別するという意味では、ジュリアの方が若々しくて軽やか。3シリーズは日常域でやや老獪(ろうかい)なコンフォート性がベースとなり、走らせるほどに質感が深まって行く。すなわちジュリアの方がわかりやすいスポーティさを持っていると言える。3シリーズも先代に対して軽さをまとったとは言え、そのまったり、しっかりとした味わいはジュリアに比べるとドイツの肉料理のよう。対してジュリアは、トマトベースの美味しいスパゲティや、薄い仔牛肉をさらっと揚げたコトレッタ(カツレツ)のようだ。
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