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超高級車市場に参戦するBMW M850iは本格スポーツより肩の力を抜いた走りで実力を出す

ピュアスポーツの世界を期待してはいけない

最後にラグジュアリースポーツと表現した理由も書いておこう。

M850iの本質は、ラグジュアリーな内外装のスポーツカーではなく、ラグジュアリーにスポーティな走りを楽しむモデルということ。言葉遊びのようだが、ピュアスポーツ性は薄い。ここを勘違いすると買ってから後悔することになる。

意のままに動くとか、ダイレクト感があるとか、クルマが小さく感じるようなコントロール性といったスポーツ性なら、M850iを上回るクルマはある。それなりの価格帯の2シータースポーツカーのオーナーがM850iに乗ったら、刺激が足りないとか、普通だと言われそうだ。そこはM850iではなく、いずれ登場するはずの「M8」の世界なのだろう。

実際、ボディの四隅にまで意識が行き届くような車両感覚の掴みやすさは薄いし、狙った走行ラインにバシッとクルマを乗せるには操作に気を使う。タイヤを追い込んで使うようなハードなスポーティドライブでは重さが表面化して、アクティブスタビライザーのロール制御に違和感を覚える時もある。

また、特に小さく曲がり込むカーブでは、気持ち良く曲がる感覚は少ない。その状況を一瞬で吹き飛ばす加速力と排気音があるので総合的には走りを楽しめるが、M850iの真骨頂は“能力の8割程度にとどめた”一歩引いたスポーティドライブの世界。そのときに感じる爽快感や優雅さを超えるライバルはそうそうないということだ。

ラグジュアリースポーツなので、先日登場した3シリーズ同様に、「熱い」「寒い」などの口語認識を可能にする人工知能を取り入れた最新ボイスコントロールや、35km/h以下で走行中に直前50mの走行軌跡を記憶して、バックする時に軌跡通りに戻ってくれるといった、最新の支援機能も充実している。まさに、ファーストカーとして乗れるラグジュアリースポーツクーペの優等生としてM850iは登場した。

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