4種のドライブモードから「スポーツ」を選ぶと、ステアリングホイールの手応えはグッと骨太になり、トランスミッションもエンジンを高回転まで引っ張る設定に変わる。サスペンションも引き締まり、スポーツセダンらしいファン・トゥ・ドライブを満喫できる。
一方、「コンフォート」を選ぶと、「ノーマル」で感じたしっとりとしたやわらかさが、“ふんわりやわらか”へと印象を変える。いずれにせよ、ドライブモードによってクルマの性格がかなり変わるから、シチュエーションに応じて積極的に選ぶ意味がある。
感心したのが、アクティブクルーズコントロールとレーンポジショニングアシストなどの運転支援機能だ。アクティブクルーズコントロールは、ウィンカーレバーの下に位置する操作レバーで設定する。一度覚えてしまえば直感で操作できるインターフェイス自体は、いまやこのクラスではあたりまえであるけれど、先行車両に追従して驚いた。セッティングがキメ細やかなのか、加速時も減速時もスムーズに付いて行くのだ。おまけにストップ&ゴー機能もついているので、条件はあるものの渋滞時も前走車に追従して自動発進してくれる。
車線内のポジションを維持するように作動するレーンポジショニングアシストや、車線からの逸脱を抑止するレーンキープアシストも同様。介入しすぎて鬱陶しいなと感じる直前、まさに寸止めのタイミングを心得ながら、効果的に働く。追従にしろ、車線逸脱抑止にしろ、単に機能するところから一歩踏み込んで、ドライバーの心に沿った形で働くところに感心したのだ。
といったように、装備やスペックの比較では、新型プジョー 508はライバルと横一線になった。あとはデザインとか乗った時の手触りといった官能評価、もっと言えば好き嫌いで選べるようになった。フランス車好きにとっては何かを我慢して選ぶ必要がなくなったわけであり、いままでフランス車に乗ったことがない方にとっては選択のバリエーションが増えたことになる。いずれにせよ、新型プジョー 508の登場はクルマ好きにとって慶事だと言っていいだろう。