ホンダ クラリティPHEVは今出すべき高級セダンだったのか?
掲載 更新 carview! 文:五味 康隆 /写真:小林 俊樹
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そんななか、ホンダらしいと表現できる味付けは、走りを意識したパドルシフト制御だ。日産やBMWのアクセルを戻すだけで強い回生ブレーキによる減速感を出すワンペダルドライブはあえて行わず、既存モデルから違和感なく乗り換えられる。イメージは「アウトランダーPHEV」に近く、左側のマイナスパドルを操作すると減速率が強まる。減速率は最大0.11Gに抑えられて、EV感や次世代感は弱まるが、ガソリン車で1速シフトダウンした感覚に近く抵抗なく使いこなせる。しかし、これも価格など度外視して言えば、いま出す商品であれば、他メーカーで好評を得ているワンペダルを、モードで選択できるようにしても良かったかもしれない。
一方、EV走行時にメーター内の表示に加えて、ペダルに抵抗感のようなクリック感(ECONモード時)を持たせ、それ以上踏むとエンジンが掛かることを感覚でも伝えているのは好印象だ。プリウスPHVを所有している立場からすると、これは有難い。EVで走りたいときに不意にエンジンが掛かると損した気分になりやすいし、エンジンが掛からないように気を遣う必要もなくなり、気持ちよくEVドライブを使いこなせるからだ。
ハンドリングや乗り味は癖が若干あるが次世代感が出せている。特にバッテリーの床下配置による低重心が効いていて、足回りは路面にあおられて若干フワッとする時もあるが、基本的に柔軟性に富み、突き上げも緩和され、バッテリーの重さを上手く使った味付けになっている。
カーブでの安定感もあるのだが、気になるのはその際のハンドルの感触。高速道路での直進安定性や連続するカーブを曲がる際の操作性はピッタリなのだが、低速走行時は若干重く抵抗感を感じる。スポーツモードにした時だけ今の操作感で、街中はもっと軽いほうがいいかもしれない。
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