6シリーズグランツーリスモ試乗 4輪エアサスのリゾートエクスプレス
掲載 更新 carview! 文:山田 弘樹/写真:篠原 晃一
掲載 更新 carview! 文:山田 弘樹/写真:篠原 晃一
そんな640iグランツーリスモに搭載されるエンジンは、3リッターの直列6気筒ターボ。最高出力は340ps/5500-6500rpm、最大トルクは450Nm/1380-5200rpmと、GTを名乗るグレードとしては十分なステイタスと実力を持ち合わせている。また今となっては大排気量の部類に入るこの3リッター直6ユニットをラインナップし続けるためにBMWはエンジンをカプセル化。遮音性を高めながらコールドスタート時の暖気時間を短縮させるなどの工夫も行っていた。
実際そのパワーの出方はウルトラスムーズ。過給の出方は穏やかながらアクセルに対する追従感が高く、踏み込めばほどよくトルキーな押し出しで勢いを付けながら、高回転までキレイに吹け上がっていく。
その際回転上昇感とメカニカルサウンドがリニアにシンクロして気持ちが良い。ここにはツインスクロールターボの柔軟さと、可変吸排気機構であるダブルVANOSの恩恵、そしてグランツーリスモ用に設えられたECUセッティングの妙が感じ取れる。トルコン式8速ATの変速もスムーズ。リミットまでしっかり引っ張ったあとのシフトアップも、ピッチングを起こすことなくクリアしてくれた。
穏やかとは言いつつもそれ相当に出ているパワーに対して、ソフト設定なシャシーはどれほどマッチングするのか?その答えとしては、明確に「スポーツよりではない」と言っておこう。
Mスポーツということもありその足下にはピレリ P ZEROが履かされている。このタイヤは操舵に対してきびきびと素早くグリップを立ち上げる性格で、直列6気筒をノーズに搭載する慣性に対しても上手にスタビリティを確保している。
スポーツモードに入れたとしても基本的にはソフトなサスペンションを、リアステアが信じられないほどコンパクトに曲げてくれる。しかしカーブの曲率がきつくなればきつくなるほど、そのフワフワとしたロール感が大きくなっていき、切り返しが続くような場面でもクルマはしっかり曲がっているのだが、乗り手の視点が定まりにくくなってしまう。
とはいえここでダンパー制御やエアレートをさらに固めたとしたら、この上質な乗り味が損なわれてしまうだろう。それはより開口部が小さいツーリングの走りを思い出しても納得できる。このシャシーは軽量化を推し進めた結果か、セダンとツーリング、そしてグランツーリスモの剛性差が激しいと思う。
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