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試乗記 2018.8.2 レポート:山田 弘樹 / 写真:小林 俊樹

シリーズ第5弾、ホンダS660モデューロXが意識したのは初代NSXのタイプS

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S660 モデューロ X

スプリングレートを高めても硬さを感じない

S660 モデューロ Xで一番特徴的なのは、その乗り心地だ。のっけから乗り心地なんていうと「あぁ、やっぱり快適仕様か」と思うかもしれないが、ちょっとだけ話につきあって欲しい。当日はノーマルのS660(基準車)との比較試乗ができたのだが、その違いは走り出した瞬間から明確にわかる。モデューロ Xはサスペンションの縮み側に張り感があり、路面からの入力をグッと支えてくれる。そして段差を乗り越えたあとにちょっとバウンスするような感じで、ショックを和らげてくれるのだ。

対して基準車はこの縮み側のコンプレッションが少なく、段差を乗り越えるときにサスが“スッ”と縮む。ここまで聞いていると基準車の方が乗り心地は良さそうに思うだろうが、違いはここから。こちらはタイヤが路面に着地するときに“ドスッ”と落ちるのだ。別に基準車の乗り心地が、とりわけ悪いというのではない。むしろスポーツカーとしては良い部類に入るだろう。言い換えればモデューロ Xは、基準車よりも「さらに乗り心地がよい」のである。

これはセッティングに対する考え方の違いだと思う。基準車のセットは車体にGが掛かったときの車輌姿勢をダンパーの伸び側で主にコントロールしているのだ。縮み側を固めない分乗り心地は良く、しかもブレーキングやコーナリングでは車体が浮き上がらないから、路面に吸い付くように走ることができる。これはサーキットを走るツーリングカー的なセッティングで、まさにホンダのイメージそのままだと言える。

逆にモデューロ Xは体感的にはダンパーの伸び・縮み側を均等に高めており(実際の減衰力配分はまた別だろう)、足回りの動き方がナチュラル。基準車と比べると大げさに言えばラリー車のような、箱のクルマとして自然な動きをしてくれる。だからドライバーは乗りやすさを感じ、これが乗り心地の良さへとつながっているのだ。

ちなみにそんなモデューロ Xの足回りは、基準車よりも高いスプリングレートを採用している。それなのに乗り心地を硬いと感じないのは、まずS660のボディ剛性が非常に高いことがひとつ。そしてモデューロ Xの選んだレートが絶妙であり、伸縮に均等感のあるダンパーがスプリングを跳ねさせることなく、しっかりコントロールしているからだと思われる。

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