ヴァンキッシュ、英国スーパーGTに酔いしれる
掲載 更新 carview! 文:吉田 匠/写真:アストンマーティン
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そのボディ/シャシーのフロントミドシップに収まるエンジンは、基本部分はDB9/DBSと変わらぬオールアルミ製V12可変バルブタイミング式DOHC4バルブで、89×79.5mmのボアストロークによる5935ccの排気量も、従来と変わっていない。にもかかわらず、随所に新設計が施された結果、11.0の圧縮比によるパワーは573ps/6750rpm、トルクは620Nm/5500rpmと、DBSに対して56psと50Nmもの増強を果たしている。
トランスミッションは、先代ヴァンキッシュ以降のすべてのアストンマーティンと同じく、リアアクスル直前に置かれるトランスアクスルを当然のように採用しているが、少々意外にも6段ATが標準で、現在のところ他の選択肢の用意はない。「タッチトロニック2」と呼ばれるこの6段ATはZF製で、DBSなどと同様にドライブやリバースなどの基本操作はコンソール上のボタンでおこない、ステアリングパドルでマニュアルシフトを司る。
オールカーボンファイバー製ボディを纏った新型ヴァンキッシュの車重は、6段ATを標準搭載して1739kgとされる。それに対して、左右フロントフェンダーとボンネット、それにテールゲートだけがカーボンで他はアルミ製だったDBSの車重は、AT仕様で1740kgとされていたから、意外にもスペック上の数値ではたった1kgしか軽くなっていない。だが、その真意はテストドライブしてみると理解できることになる。
もうひとつ意外なのが動力性能数値だ。0-100km/h加速は4.1秒と、MT仕様DB9の4.8秒はおろか、MT仕様DBSの4.3秒、さらにはV12ヴァンテージおよびV12ザガートのいずれもMTによる4.2秒をも凌ぐ素晴らしい数値が公表されている。その一方で、最高速は295km/hと、DBSの307km/hをはじめ、4ドアのラピード以外は軒並み300km/hオーバーを標榜していたV12アストンのなかで、最も控え目な数字が発表されている。
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