アルト・エコが燃料タンク容量を小さくしてきたのは、車重をなんとしても740㎏に収める必要があったからだ。740㎏を1㎏でも超えると燃費試験時の条件(等価慣性重量)が一気に増え、カタログ燃費が落ちてしまう。これはあくまでカタログ数値の話しであり、740㎏が741㎏になったところで実用燃費はほとんど変わらないが、カタログ数値に大きな違いが出る以上、メーカーとしては無視するわけにはいかない。ましてやミライースを凌ぐ燃費を狙うスズキにとって、740㎏に抑えることが開発上のマスト要件だったのは想像に難くない。
しかし、ライバルのミライースが当初から740㎏以下にすることを目標に設計しているのに対し、アルトのCVTモデルは760㎏。前述したような様々な軽量化対策を施したところで、20㎏もの軽量化を実現するのは難しい。そこでスズキは最終手段として燃料タンク容量の削減という方法をとってきた。結果、なんとか740㎏を達成したわけだが、燃料タンク容量の削減は満タンあたりの航続距離減少に直結する。
燃費が34%向上していることを考慮に入れて航続距離を計算すると、アルトはCVTが678㎞、売れ筋の4速ATが654㎞。それに対しアルト・エコは604㎞と、そう目くじらをたてるほどの違いはないとも言える。しかし、できれば残量に余裕があるうちに給油をしておきたいというドライバー心理を考えると、やはり30Lと20Lタンクの違いは大きい。燃費がいいぶん給油頻度が1.5倍になることはないが、必ずしも上記の単純計算通りにはならないことは覚悟しておいた方がいいだろう。あえて満タンにしない(重量を増やさない)という燃費テクニックを、好むと好まざるとに関わらず実践できる(せざるを得ない)という点では評価できるかもしれないが、使い勝手は30Lタンクをもつ普通のアルトやミライースが明らかに有利だ。
もっとも、アルト・エコの実用燃費がそんな不満を打ち消すぐらいに優秀だったのも事実。今回の試乗では、とくにエコランを意識せずにディズニーリゾート周辺の一般道を50分かけて25㎞走ったのだが、車載の燃費計が示した数字は25.3㎞/L。かなり余裕をもって給油しても1タンクで300㎞以上走れることを考えると、20Lタンクが決定的な弱点にはならないというのもまた事実である。
試乗ステージ:幕張周辺 車種:アルトエコ
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