トヨタ86遂にお目見え 初走り&完成度check!
掲載 更新 carview! 文:河口 まなぶ/写真:中野 英幸
掲載 更新 carview! 文:河口 まなぶ/写真:中野 英幸
こんなに低い位置にルーフがあるクルマなんてホント久しぶりだな、と思いつつドアを開けてコックピットに収まる。
ドアを閉めようと、ふと横を見るとやはり久しぶりの感覚で、地面が近い。そんな何気ない瞬間に、スポーツカーであること、を感じ嬉しくなる。こんな時代でも僕らには再び、存分に愉しめるクルマがもたらされたのだ。
着る、という感覚を与えるのは国産車ではロードスター以来か。そんな風に、適度にタイトな室内を確認しつつシートを合わせ、シフトノブの前方、センターコンソールに置かれたスターターボタンを押す。
目覚めは正直どこか冴えない。セルが回る高い音の後、ボクサーの、あの低く広がる音が来るから、この時点では“フツーのクルマ”の感覚がある。でも、低い着座位置と目の前に広がるスポーティだけどちょっと安っぽさもある雰囲気のメーター回りに不思議とワクワクさせられる。書体とか色使いとかに、MR-Sやセリカに漂っていたあの感じが漂う。なんだか懐かしい、と思う。
走り出し、つまりタイヤが回転する感覚は軽やかだが、微低速では未だ聞こえるサウンドは低く重ったるい。だが、回転の上昇に連れてどこからかボロボロという、これまでのトヨタでは絶対に聞くことのできなかったサウンドが広がり始め、さらに回転が上がるとコーォっという響きが室内に広がる。それはまさに、フラット4ならでは。
僕は思わずニヤリとなった。想像以上にエンジンの音が気持ち良くこれだけでもうかなり楽しい! 環境と燃費の時代にあって、このエンジンの音は、思わずそれを忘れるほどなのだ。
ついに走らせることができたトヨタ86。その印象は走り出しから極めて良かった。そうして僕は、最初のコーナーへと向けて減速し、操舵していったのだった。
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